『Muffler』/ kwkm
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外は寒いから店内でフラフラしていたら本当にすぐ川上くんはやってきた。
暖かそうなコートにぐるぐる巻きのチェックのマフラー。
真っ赤なのがイメージと違ってなんだか新鮮。
去年はこんなのじゃなかった。
1年って長いもんね、彼女だって...いるかも。
「あれ、肉まん食ってないの?」
「うん。だって外は寒いし」
「うちイートインあるんやけど」
川上くんの視線の先には確かにテーブル席が2つ。
入り口のすぐ横なのに気付かなかった。
座って待ってればよかったのか。
謎の緊張で全然落ち着かなくて意味もなく店内をぐるぐるしてたじゃん、恥ずかしい。
「俺もなんか買ってこ」
そう言って歩き出した川上くんの後ろをちょこちょことついていく。
久々に会うとここまで気まずい感じになるのか。
さっき片思いと言ったけど、ちょっと調子に乗るとほぼ両片思いだった相手なのに。
なんで付き合わなかったかって...
「どこやっけ、名古屋?」
「うん」
「どうなん?」
「川上くんこそ東京はどうなの?」
地元は大阪。
進学先は愛知と東京。
離れ離れになってしまうことがわかっていたから、結ばれて幸せになるという未来が見えなかったから。
っていうのは私の勝手な考えで、当時の川上くんが私のことをどう思っていたかはわからないけど。
「思ってたより楽しいよ。いい仲間もできた」
「そっか」
コンビニを出ると
冷たい風がびゅんと吹いていて
防御が完全な川上くんは平気な顔をしているけどちょっとふらっと家を出てきた私にはかなり冷たかった。
「あ、肉まん冷めるよ。俺も食お」
なんだかこの道もこの光景も懐かしい。
よくふたりで高校の近くのコンビニに寄って肉まんやら何やら買い食いしてたな。
「青木さんも食べよ。あっちぃ...」
「川上くん何買ったの?」
「俺?俺は特製豚まん」
「豪華そう」
がぶりと一口、大きな口でそれを食べると「ええやろ」ってドヤ顔。
口が半分隠れてるんだけど、ちょっと口角が上がってるのが見えるし目がちょっと細くなるの。
「肉まんも美味しいもん」
「マスクしたままじゃ食えへんやろ。風邪?」
あ、忘れてた。
今普通に喋りすぎて自分がスッピンお化けなのすっかり頭から消え去ってたよ。
「あ...いや...」
「あ、俺わかったわ。別にええやろ。俺青木さんのスッピンずっと見続けてたわけやし」
「そういうの無駄に察するよね。昔から」
「特殊能力」
伸びてきた手が私の顔半分くらいを覆っていたマスクをちょんっと下ろして「正直化粧してもそんなに変わらんやろ」って顔を覗き込んむ。
「変わります!」
「へぇ、じゃあ次見せて」
もう隠すものはないとマスクをカバンに入れる。
でも少しでも可愛いと思われたいからいつもの半分くらいの口の大きさで肉まんを一口。
「次って...」
「交換しん?そっちも食いたい」
あっさり次があるみたいな言い方をされたから聞きたかったのに、その言葉は川上くんの言葉に遮られた。
暖かそうなコートにぐるぐる巻きのチェックのマフラー。
真っ赤なのがイメージと違ってなんだか新鮮。
去年はこんなのじゃなかった。
1年って長いもんね、彼女だって...いるかも。
「あれ、肉まん食ってないの?」
「うん。だって外は寒いし」
「うちイートインあるんやけど」
川上くんの視線の先には確かにテーブル席が2つ。
入り口のすぐ横なのに気付かなかった。
座って待ってればよかったのか。
謎の緊張で全然落ち着かなくて意味もなく店内をぐるぐるしてたじゃん、恥ずかしい。
「俺もなんか買ってこ」
そう言って歩き出した川上くんの後ろをちょこちょことついていく。
久々に会うとここまで気まずい感じになるのか。
さっき片思いと言ったけど、ちょっと調子に乗るとほぼ両片思いだった相手なのに。
なんで付き合わなかったかって...
「どこやっけ、名古屋?」
「うん」
「どうなん?」
「川上くんこそ東京はどうなの?」
地元は大阪。
進学先は愛知と東京。
離れ離れになってしまうことがわかっていたから、結ばれて幸せになるという未来が見えなかったから。
っていうのは私の勝手な考えで、当時の川上くんが私のことをどう思っていたかはわからないけど。
「思ってたより楽しいよ。いい仲間もできた」
「そっか」
コンビニを出ると
冷たい風がびゅんと吹いていて
防御が完全な川上くんは平気な顔をしているけどちょっとふらっと家を出てきた私にはかなり冷たかった。
「あ、肉まん冷めるよ。俺も食お」
なんだかこの道もこの光景も懐かしい。
よくふたりで高校の近くのコンビニに寄って肉まんやら何やら買い食いしてたな。
「青木さんも食べよ。あっちぃ...」
「川上くん何買ったの?」
「俺?俺は特製豚まん」
「豪華そう」
がぶりと一口、大きな口でそれを食べると「ええやろ」ってドヤ顔。
口が半分隠れてるんだけど、ちょっと口角が上がってるのが見えるし目がちょっと細くなるの。
「肉まんも美味しいもん」
「マスクしたままじゃ食えへんやろ。風邪?」
あ、忘れてた。
今普通に喋りすぎて自分がスッピンお化けなのすっかり頭から消え去ってたよ。
「あ...いや...」
「あ、俺わかったわ。別にええやろ。俺青木さんのスッピンずっと見続けてたわけやし」
「そういうの無駄に察するよね。昔から」
「特殊能力」
伸びてきた手が私の顔半分くらいを覆っていたマスクをちょんっと下ろして「正直化粧してもそんなに変わらんやろ」って顔を覗き込んむ。
「変わります!」
「へぇ、じゃあ次見せて」
もう隠すものはないとマスクをカバンに入れる。
でも少しでも可愛いと思われたいからいつもの半分くらいの口の大きさで肉まんを一口。
「次って...」
「交換しん?そっちも食いたい」
あっさり次があるみたいな言い方をされたから聞きたかったのに、その言葉は川上くんの言葉に遮られた。