『花火から逃げて』/ kwkm
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あまりにも突然の出来事で、どうしたらいいのか分からない。
わからないと言うよりは、何も考えられないという方が正しい。
何故、こんな大事なことを彼女は今の今まで黙っていたのか。
何故、そんな遠くの地に引っ越してしまうのか。
なぜ、どうして、分からない。
頭の中がグルグルして、心がモヤモヤして気持ち悪い。
「ごめんね」
沈黙を破ったのは彼女の方だった。
弱いのはいつも俺で、強いのはいつも彼女。
こんな時まで彼女に辛い立ち回りをさせるのか。
北海道って飛行機で行くんや。
高校生だからそんなお金はない。
もう会えんのかな?
そんなの嫌だ。
「逃げよ...」
まだ彼女と離れ離れにならない方法があるのではないか、ここでふたりして行方不明になればずっと一緒にいれるのではないか、子どもすぎる俺の頭の中はその場しのぎのことばかりだった。
そんなの分かっていても、いてもたっても居られなくて、麗結の手を取って無理やり立ち上がらせた。
「拓朗...?」
「逃げる。逃げれるところまで」
「無理だよ...無理だって...!」
「無理じゃない。無理じゃない!」
履きなれていない下駄で花火に背を向けて必死に走った。
花火に見とれて立ち止まる人に何度もぶつかりながら走った。
必死だった、もう、どうにでもなれ、という気持ちだった。
やっと人混みを抜けて、一息つくと恐る恐る彼女の顔を見た。
笑っていた。
俺の大好きな笑顔で「ばかだね」なんて微笑んでいた。
「待って、とりあえずチャリ取りいこ」
「家帰るの?」
「チャリありゃどっか行ける。あと貯金も持ってくる」
「でも...そんなのお母さん達心配...」
「知らん」
ごめんな、こんな彼氏で。
心の中でそう言ったのは彼女には届かないだろうけど、俺はもう彼女と離れたくないの一心だった。
わからないと言うよりは、何も考えられないという方が正しい。
何故、こんな大事なことを彼女は今の今まで黙っていたのか。
何故、そんな遠くの地に引っ越してしまうのか。
なぜ、どうして、分からない。
頭の中がグルグルして、心がモヤモヤして気持ち悪い。
「ごめんね」
沈黙を破ったのは彼女の方だった。
弱いのはいつも俺で、強いのはいつも彼女。
こんな時まで彼女に辛い立ち回りをさせるのか。
北海道って飛行機で行くんや。
高校生だからそんなお金はない。
もう会えんのかな?
そんなの嫌だ。
「逃げよ...」
まだ彼女と離れ離れにならない方法があるのではないか、ここでふたりして行方不明になればずっと一緒にいれるのではないか、子どもすぎる俺の頭の中はその場しのぎのことばかりだった。
そんなの分かっていても、いてもたっても居られなくて、麗結の手を取って無理やり立ち上がらせた。
「拓朗...?」
「逃げる。逃げれるところまで」
「無理だよ...無理だって...!」
「無理じゃない。無理じゃない!」
履きなれていない下駄で花火に背を向けて必死に走った。
花火に見とれて立ち止まる人に何度もぶつかりながら走った。
必死だった、もう、どうにでもなれ、という気持ちだった。
やっと人混みを抜けて、一息つくと恐る恐る彼女の顔を見た。
笑っていた。
俺の大好きな笑顔で「ばかだね」なんて微笑んでいた。
「待って、とりあえずチャリ取りいこ」
「家帰るの?」
「チャリありゃどっか行ける。あと貯金も持ってくる」
「でも...そんなのお母さん達心配...」
「知らん」
ごめんな、こんな彼氏で。
心の中でそう言ったのは彼女には届かないだろうけど、俺はもう彼女と離れたくないの一心だった。