『花火から逃げて』/ kwkm
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歩きなれない下駄に2人して苦戦しながら、彼女が食べたいというものを全て屋台でGETした。
もうすぐ花火が打ち上がり始める時間。
人が沢山集まっている川原に腰掛けて、ふたりでひとつの焼きそばを食べた。
あんなに嫌だったのに、花火大会悪くないと思ってる俺は本当に単純だと思った。
彼女が何故、初めてのわがままを言ってまでここに俺と来たかったのかも忘れて。
ドーン...という心臓に響く大きな音で、明るくなった空を見上げる。
「うわぁ...近い!」
「確かに。ばあちゃんの家よりでかく見える」
「すごいすごーい!」
はじめからとばすねぇとツッコミを入れたいくらい連発される花火に目を輝かせる彼女を、花火を見ているふりをして横目でちらっと見る。
すっげぇキラキラしてた。
嬉しそうだった。
楽しそうだった。
幸せそうだった。
離したくないと思った。
「拓朗、あのね」
花火は休むことなく真っ暗な空を華やかに彩り続ける。
人々はずっと空を見上げたまま。
俺もすげーなんて思いながら黙って空を見上げていたけれど、彼女のその声に顔を彼女の方に向ける。
「ん?なに?」
「私、明後日ね」
「ん?なに?聞こえへん」
いつも元気な彼女が寂しそうな顔を浮かべながら、小さな声で何かを言っているんだけど花火の音と人々の歓声でかき消されてしまう。
彼女の方にできるだけ近づいて耳を傾ける。
今度は確かに聞こえた。
こんなに明るい花火で彩られているはずのこの世界を、一瞬で真っ暗にさせるその言葉が。
「私、明後日ね、北海道に引っ越すねん」
とっさに「嘘やろ?」と口が動いた。
ううん、と首を横に振った彼女は何も言わず空を見上げた。
俺も何も言えず、同じように空を見上げた。
花火は何も変わっていないはずなのに、今の俺には綺麗に映らなかった。
もうすぐ花火が打ち上がり始める時間。
人が沢山集まっている川原に腰掛けて、ふたりでひとつの焼きそばを食べた。
あんなに嫌だったのに、花火大会悪くないと思ってる俺は本当に単純だと思った。
彼女が何故、初めてのわがままを言ってまでここに俺と来たかったのかも忘れて。
ドーン...という心臓に響く大きな音で、明るくなった空を見上げる。
「うわぁ...近い!」
「確かに。ばあちゃんの家よりでかく見える」
「すごいすごーい!」
はじめからとばすねぇとツッコミを入れたいくらい連発される花火に目を輝かせる彼女を、花火を見ているふりをして横目でちらっと見る。
すっげぇキラキラしてた。
嬉しそうだった。
楽しそうだった。
幸せそうだった。
離したくないと思った。
「拓朗、あのね」
花火は休むことなく真っ暗な空を華やかに彩り続ける。
人々はずっと空を見上げたまま。
俺もすげーなんて思いながら黙って空を見上げていたけれど、彼女のその声に顔を彼女の方に向ける。
「ん?なに?」
「私、明後日ね」
「ん?なに?聞こえへん」
いつも元気な彼女が寂しそうな顔を浮かべながら、小さな声で何かを言っているんだけど花火の音と人々の歓声でかき消されてしまう。
彼女の方にできるだけ近づいて耳を傾ける。
今度は確かに聞こえた。
こんなに明るい花火で彩られているはずのこの世界を、一瞬で真っ暗にさせるその言葉が。
「私、明後日ね、北海道に引っ越すねん」
とっさに「嘘やろ?」と口が動いた。
ううん、と首を横に振った彼女は何も言わず空を見上げた。
俺も何も言えず、同じように空を見上げた。
花火は何も変わっていないはずなのに、今の俺には綺麗に映らなかった。