『嫌い、大嫌い、大好き』/ ko-chan
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「航平はちゃんと生きてね」と彼女に言われたことがあった。
「なんかもうすぐ死ぬみたいな話やめて」と冷たく返したのに、彼女は「だって言っておかないと航平弱いから」とまた笑ってたな。
「いっつもヘラヘラしてるのに人一倍努力してて人一倍気にしいなんだもん、心配になっちゃうよ」
「気にしいってなんだよ、」
「気にしいだよ。いっつも他の人のことばっかり考えてるでしょ。私のこともそう。だから、自分のことも大切にしてねってこと!」
「うん、分かったよ」
しぶしぶそう答えたその時の彼女の嬉しそうな顔が忘れられないんだ。
彼女はいつだって俺の事を1番考えてくれていた、1番知ってくれていた。
そんな存在を失った俺は、普通で居られるわけがなかった。
たくさんの人に迷惑をかけたし、たくさんの人に支えてもらった。
そんな中、今俺が必死に前を向こうと思えるのはこの言葉があったからだと思う。
・
「おー!指輪!いいじゃん!」
「いいでしょー!ペアリング!」
「こうちゃんカップルはもう普通に安定だな」
伊沢さん含めみんなには彼女のことは言ってなかったからしょうがないんだけど、初めてリングをつけて行った日そう言われて泣きそうになった。
安定でいたかったね、安定でいるはずだったんだよ。
・
「あ、今日指輪ついてる」
彼女が死んでから、ずっとつけていなかったリングをつけてオフィスに行ってみたら福良さんがさらっとそう言った。
普通なら触れたくないところなんだろうけど、俺は少し嬉しかった。
「やっぱこうちゃんにはその指輪が似合ってるね」
「そうっすよね!僕もそう思います」
「彼女さん愛されてるなぁ」
彼女のことを愛していなかった日は今日まで1度もない。
・
俺は夏が嫌いだ。
彼女がいなくなった夏が大嫌いだ。
「私夏が一番好き!」
「なんで?」
まだ付き合いはじめたばかりの頃。
自転車の後ろに乗った彼女が風でなびく髪を押さえながらそう言った。
「ひまわりが綺麗だし、航平と恋人になれたから!」
「麗結、大好きだよ」
そこにあるのは名前が彫られた石だけで、彼女がいる訳では無いから
もちろん返事はない。当然か。
でも君が好きな夏なら、俺ももう一度好きになってみたいと思うよ。
指につけたお揃いのリングが夏の光を浴びていつも以上に輝いている気がした。
「なんかもうすぐ死ぬみたいな話やめて」と冷たく返したのに、彼女は「だって言っておかないと航平弱いから」とまた笑ってたな。
「いっつもヘラヘラしてるのに人一倍努力してて人一倍気にしいなんだもん、心配になっちゃうよ」
「気にしいってなんだよ、」
「気にしいだよ。いっつも他の人のことばっかり考えてるでしょ。私のこともそう。だから、自分のことも大切にしてねってこと!」
「うん、分かったよ」
しぶしぶそう答えたその時の彼女の嬉しそうな顔が忘れられないんだ。
彼女はいつだって俺の事を1番考えてくれていた、1番知ってくれていた。
そんな存在を失った俺は、普通で居られるわけがなかった。
たくさんの人に迷惑をかけたし、たくさんの人に支えてもらった。
そんな中、今俺が必死に前を向こうと思えるのはこの言葉があったからだと思う。
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「おー!指輪!いいじゃん!」
「いいでしょー!ペアリング!」
「こうちゃんカップルはもう普通に安定だな」
伊沢さん含めみんなには彼女のことは言ってなかったからしょうがないんだけど、初めてリングをつけて行った日そう言われて泣きそうになった。
安定でいたかったね、安定でいるはずだったんだよ。
・
「あ、今日指輪ついてる」
彼女が死んでから、ずっとつけていなかったリングをつけてオフィスに行ってみたら福良さんがさらっとそう言った。
普通なら触れたくないところなんだろうけど、俺は少し嬉しかった。
「やっぱこうちゃんにはその指輪が似合ってるね」
「そうっすよね!僕もそう思います」
「彼女さん愛されてるなぁ」
彼女のことを愛していなかった日は今日まで1度もない。
・
俺は夏が嫌いだ。
彼女がいなくなった夏が大嫌いだ。
「私夏が一番好き!」
「なんで?」
まだ付き合いはじめたばかりの頃。
自転車の後ろに乗った彼女が風でなびく髪を押さえながらそう言った。
「ひまわりが綺麗だし、航平と恋人になれたから!」
「麗結、大好きだよ」
そこにあるのは名前が彫られた石だけで、彼女がいる訳では無いから
もちろん返事はない。当然か。
でも君が好きな夏なら、俺ももう一度好きになってみたいと思うよ。
指につけたお揃いのリングが夏の光を浴びていつも以上に輝いている気がした。