彼女の身体を支えて顔を上に向けるとペットボトルを片手で空けて水を口に流し込む。

伊沢はしっかり傘を持ってきてくれてて日陰を作ってくれて、須貝さんはあたふたしてたけど「とりあえず冷たいのもう一本買っとけ！」って自販機でスポーツドリンクを買ってた。

「ん...？」って少し目を開いた彼女に「大丈夫？」と声をかけるとこくりと小さく頷いてくれたからほっと一安心してすっと彼女の身体を抱き上げた。


「大丈夫です...から！」
「大丈夫じゃないでしょ」


まだ無理して動こうとしてる麗結ちゃんを止めて、「ね？」と無理やり納得させる。


「うおおぉ...福良さんやりますね」
「何言ってんのこんな時に」
「いや走り出した時からみんなで言ってましたから」
「あーれはドラマのワンシーンだった」
「あれ、河村は？」
「荷物見てくれてます」


あぁ、そうじゃん、散らけたままなの忘れてた。

それより先に麗結ちゃんを早く涼しいところに運んであげないと。


「僕、麗結ちゃんオフィスに連れていくから2人は戻ってて」
「僕行きましょうか？僕の方が力あるし！」


確かに伊沢の方が力あるけど...好きな人にはかっこいい所を見せたいと一応男な僕も思うわけで、「僕が行く」と即答した。


「あ！伊沢、あの部屋借りていい？」
「あぁ、仮眠室？いいっすよ」
「ありがと。変なもの置いてないよね？！」
「変なものってなんすか、早く行ってください！」
「うん...！」
「あ、福良さんこれ！こっちの方が冷たいから！」


そう言って須貝さんが渡してくれたペットボトルを持って、彼女をお姫様抱っこしながらオフィスに向かった。

背後からの「かっこいいぞー！」って冷やかしの声は無視して歩いた。


オフィスに着くとあとから来る予定だった山本がドアを開けてくれて「えっ？！麗結ちゃん？！」って目を丸くして驚いてる。


「多分熱中症で...動けなくなっちゃって」
「どこ寝かせます？」
「あ、伊沢の仮眠室」
「え、あの部屋仮眠室だったんだ」
「エアコンつけてきてもらってもいい？」


「はいっ！」って元気よく返事をした山本が走って部屋に向かって僕もその後をついていった。


ソファーに彼女を下ろしてずっと寝ている姿を見つめていたけど、何か変な気が起きそうだったから山本に「見ててあげて」と声をかけて、部屋を出た。


あんなにウキウキで公園に向かった行きとは対照的に暑い心配だしでどんよりのまま3人のところに戻った。