『花火から逃げて』/ kwkm
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夏。
夏といえば暑いからうざい。
夏といえば麗結が俺から離れていった季節だから嫌い。
夏といえば...
「拓朗!」
「同じ浴衣やん」
「拓朗だって同じ浴衣やん」
花火大会。
今となってはあっという間に時はすぎて、俺らは大学生になった。
そして、あの時泣きながらしたたくさんの約束をいくつか叶えていた。
「テスト死んだ」
「拓朗理系だったのに文転なんかするから~」
「だってどうせ同じ東大なら同じ東大の同じ学部がいいやん」
「ストーカーじゃん」
「彼氏なんやけど」
ひとつは同じ大学に行くこと。
ふたつは3日に1回テレビ電話をすること。
みっつはお互いをずっと大切にし続けること。
「綺麗やなぁ~...」
「懐かしいね。ここで花火見て、拓朗に誘拐されたの」
今日も隣の彼女と焼きそばを半分こ。
とうもろこしは一口しかもらえんかった。
「確かにあれは誘拐やった」
「今日も逃げる?」
「今日は逃げる必要ないやろ。もう大学生やし」
「朝帰りしても誰にも心配されないね」
「うん。やから着替えてから出かけよ」
久々にチャリの後ろ乗っけるのもいいかもなぁ、なんて考えながら彼女の手をとる。
空には無数の花火達が、あの日と同じように今日も人々を楽しませている。
「そんな爽やかに不純な場所に誘わないで。主語なしで」
「じゃあしゃーないから家にする?」
「たくろーママに合わせる顔ないからダメ!」
そっちか。
今日は車に乗って同意の上の誘拐だな。
あの日、俺は現実の全てから逃げるために花火から逃げた。
当然、若すぎた俺の甘い逃げはうまくなんて行かなかったし、2年と少しの日々は地獄だった。
ただ、あの夜を一緒に過ごすことが出来たから乗り越えられたんじゃないかなぁ、と思う節がいくつかある。
たくさんの麗結との約束たちが俺を支えてくれたから。
「やっぱ逃げよ」
「えぇ、これからクライマックスだよ」
「...早く二人きりになりたい」
「え?なに?聞こえんかった!!」
「飽きた」
「うっそー!そんなことある?」
驚き顔の彼女をすっと抱き寄せると、息つく間もなくキスをした。
みんな花火に夢中だからきっと見てないね。
「もうっ...!」と小声で呟く彼女の手を引いて歩き出す。
少し大人になった今日も、花火から逃げて。
夏といえば暑いからうざい。
夏といえば麗結が俺から離れていった季節だから嫌い。
夏といえば...
「拓朗!」
「同じ浴衣やん」
「拓朗だって同じ浴衣やん」
花火大会。
今となってはあっという間に時はすぎて、俺らは大学生になった。
そして、あの時泣きながらしたたくさんの約束をいくつか叶えていた。
「テスト死んだ」
「拓朗理系だったのに文転なんかするから~」
「だってどうせ同じ東大なら同じ東大の同じ学部がいいやん」
「ストーカーじゃん」
「彼氏なんやけど」
ひとつは同じ大学に行くこと。
ふたつは3日に1回テレビ電話をすること。
みっつはお互いをずっと大切にし続けること。
「綺麗やなぁ~...」
「懐かしいね。ここで花火見て、拓朗に誘拐されたの」
今日も隣の彼女と焼きそばを半分こ。
とうもろこしは一口しかもらえんかった。
「確かにあれは誘拐やった」
「今日も逃げる?」
「今日は逃げる必要ないやろ。もう大学生やし」
「朝帰りしても誰にも心配されないね」
「うん。やから着替えてから出かけよ」
久々にチャリの後ろ乗っけるのもいいかもなぁ、なんて考えながら彼女の手をとる。
空には無数の花火達が、あの日と同じように今日も人々を楽しませている。
「そんな爽やかに不純な場所に誘わないで。主語なしで」
「じゃあしゃーないから家にする?」
「たくろーママに合わせる顔ないからダメ!」
そっちか。
今日は車に乗って同意の上の誘拐だな。
あの日、俺は現実の全てから逃げるために花火から逃げた。
当然、若すぎた俺の甘い逃げはうまくなんて行かなかったし、2年と少しの日々は地獄だった。
ただ、あの夜を一緒に過ごすことが出来たから乗り越えられたんじゃないかなぁ、と思う節がいくつかある。
たくさんの麗結との約束たちが俺を支えてくれたから。
「やっぱ逃げよ」
「えぇ、これからクライマックスだよ」
「...早く二人きりになりたい」
「え?なに?聞こえんかった!!」
「飽きた」
「うっそー!そんなことある?」
驚き顔の彼女をすっと抱き寄せると、息つく間もなくキスをした。
みんな花火に夢中だからきっと見てないね。
「もうっ...!」と小声で呟く彼女の手を引いて歩き出す。
少し大人になった今日も、花火から逃げて。