『花火から逃げて』/ kwkm
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もしかしたらこれで最後かもなぁ、なんて思いながら泣きすぎて熱い目をパチパチさせながら彼女を後ろに乗せて自転車を漕いだ。
気分は少しだけ晴れていた。
部屋を出る時には最後にもう1回やっとけば良かった、と思うくらいには余裕があった。
上手く着付けられなかった浴衣のせいで、ただでさえ漕ぎにくい自転車がまた漕ぎにくい。
動画を見ながら一生懸命やってくれたんだけどなぁ、麗結が。
「麗結不器用すぎん?」
「え?やり直して結構上手くいったじゃん!」
「これでかよ」
昨日の夜逃げた道を戻る。
せっかく逃げたのに、戻ってきてしまった。
2人してボロ泣きしてたから目は真っ赤。
なんて思い出したらまた涙が出てきそうだったから、数学の公式をひたすら頭に浮かべていたら彼女の「怒られるよねぇ」という声に「ん?cos?」と返した。
「ねぇ、反省してないでしょ!」
「え?俺やっぱ怒られるん?やじゃんそれは」
「私だってやだよ!」
麗結だってそんなに楽しそうに笑ってさ、反省してないじゃん。
「いって...」
バチーンというひどい音と同時に頬に痛みが走ったような...走ってないような...
昔から優等生で何もかもそつなくこなしてきた俺が初めて父さんに叩かれた瞬間だった。
麗結のお母さんは「無事ならそれでいいのよ」と優しい声をかけてくれたけど、俺は少し嫌な顔をしていたかもしれない。
離れ離れにならないといけないのは、あなた達のせいだと。
「たくろーパパ!違うの!私が悪いから!」
「麗結ちゃんが悪いことなんかあるか!」
「...」
そして俺はまたここで泣くわけだけど、叩かれた頬が痛かったからではない。
こんな時も俺を庇ってくれる彼女が好きで、離れたくなくて、なんて昨日の夜からずっと思っていることをやっぱり思い出して両親が見ている前でボロボロ泣いた。
「もー...ほんとに拓朗はダメだなぁ...」と空気を和ませるように麗結が言ったその言葉は震えていた。
気分は少しだけ晴れていた。
部屋を出る時には最後にもう1回やっとけば良かった、と思うくらいには余裕があった。
上手く着付けられなかった浴衣のせいで、ただでさえ漕ぎにくい自転車がまた漕ぎにくい。
動画を見ながら一生懸命やってくれたんだけどなぁ、麗結が。
「麗結不器用すぎん?」
「え?やり直して結構上手くいったじゃん!」
「これでかよ」
昨日の夜逃げた道を戻る。
せっかく逃げたのに、戻ってきてしまった。
2人してボロ泣きしてたから目は真っ赤。
なんて思い出したらまた涙が出てきそうだったから、数学の公式をひたすら頭に浮かべていたら彼女の「怒られるよねぇ」という声に「ん?cos?」と返した。
「ねぇ、反省してないでしょ!」
「え?俺やっぱ怒られるん?やじゃんそれは」
「私だってやだよ!」
麗結だってそんなに楽しそうに笑ってさ、反省してないじゃん。
「いって...」
バチーンというひどい音と同時に頬に痛みが走ったような...走ってないような...
昔から優等生で何もかもそつなくこなしてきた俺が初めて父さんに叩かれた瞬間だった。
麗結のお母さんは「無事ならそれでいいのよ」と優しい声をかけてくれたけど、俺は少し嫌な顔をしていたかもしれない。
離れ離れにならないといけないのは、あなた達のせいだと。
「たくろーパパ!違うの!私が悪いから!」
「麗結ちゃんが悪いことなんかあるか!」
「...」
そして俺はまたここで泣くわけだけど、叩かれた頬が痛かったからではない。
こんな時も俺を庇ってくれる彼女が好きで、離れたくなくて、なんて昨日の夜からずっと思っていることをやっぱり思い出して両親が見ている前でボロボロ泣いた。
「もー...ほんとに拓朗はダメだなぁ...」と空気を和ませるように麗結が言ったその言葉は震えていた。