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「お邪魔しました」
「あの...!」
「麗結ちゃんの用事だよね!俺どうしたらいい?」
ロングコートにぐるぐる巻きのマフラー。
玄関のドアの前で帰り支度バッチリの福良さんを追いかけたけど、さすがにお兄ちゃんがいるここでは嫌だな。
「麗結ちゃん、ちょっとだけ外来てくれない?」
私の心の声を読み取ってくれたのか、福良さんが手招きをする。
こくりと頷いて、上着だけを急いで羽織ると一緒に外に出た。
外の空気はいつも通り冷たいのに、ドキドキで少し身体が熱い。
「寒いね」とポケットに両手をいれた福良さんがこちらを見下ろす。
「えっと...これ!」
ずっと隣を歩いていても胸が張り裂けてしまいそうになるから。
もう緊張で既に苦しいから。
足をピタリと止めると、福良さんも同じように足を止めてくれる。
「ふふ、ごめんね、俺実はあの時気づいちゃって。あ、俺麗結ちゃんにバレンタイン貰えるんだって」
やっぱり...と呟くと「麗結ちゃんちょっと様子おかしかったもん」って紙袋を受け取ってくれた。
「ありがとう。ありがたくいただきます」
「用事はこれだけ...なんですけど...」
「何作ってくれたの?」
紙袋の中をちらっと確認して首を傾げる。
「マフィンです。お兄ちゃんにも味見してもらってるので多分味は大丈夫...」
「凄いね、美味しそう!楽しみだなぁ...あ、お手紙も?」
「あ!それは!!お家に帰ってから!」
ボックスの上に置いていたメッセージカードを手に取った福良さんを急いで止める。
これは絶対に今見られちゃいけない。
これが私の決めた告白なの。
これが私の決めた、あなたを困らせないための告白。
「そうなの?また楽しみが増えちゃった。ありがとね」
「いえ...こちらこそ...」
「ねぇ、俺嬉しそうに見える?」
「...え?」
「俺さぁ、今すっごい喜んでるんだよ?バレンタインにソワソワしちゃうのはこの歳になっても同じだよね」
「こんなのですみません...」
「俺今年唯一のバレンタインプレゼントだよ?嬉しくて舞い上がってるよ!麗結ちゃんのおかげで!」
ちゃんと渡せただけで嬉しかったはずなのに、どんどん欲張りになる。
美味しいって言って欲しい。
私のことだけ考えて欲しい。
この想いを受け取って欲しい。
私のことを、好きになって欲しい。
福良さんが欲しい...なんて贅沢だ。
「麗結ちゃん気をつけて帰ってね」
「家すぐそこですよ?笑」
「そうだった」
ちゃんと渡せた。
メッセージカードを読んで福良さんが困っちゃうかもしれないけど、それはしょうがない。
私はやりたいことをちゃんと出来たんだ。
小さく頭を下げてくるりと身体の向きを変えると、ぱっと手を掴まれた。
「えっ...」
相手はもちろん福良さんで、初めて触れられたそこがすっごく熱い気がする。
心臓のバクバクが繋がったそこから伝わっているんじゃないかってくらいうるさい。
「可愛いねやっぱり」
「あ...あの...?」
「はぁ、ごめん!お兄ちゃんには内緒にしてね」
しーっ、って口の前に人差し指を立てるために繋がれていた手が離れた。
なんで今、私を止めたんだろう。
なんで今、手を...
「ホワイトデー楽しみにしててね」
そう言ってふにゃんと笑う福良さんに「はい...」と可愛くない中途半端な返事しかできなかった。
来た道をとぼとぼと歩きながら考える。
“ 好きです。私が20歳になったら、もう一度告白させてください。 ”
きっと言葉では上手く言えないだろうからあのメッセージカードに自分の想いを託していた。
これを読んでも福良さんは変わらないだろうか。
これを読んでも「ホワイトデー楽しみにしててね」と笑ってくれるだろうか。
福良さんが、好き。
そんなふわふわした気持ちはどんどん大きくなっていくばかりみたいだ。
「あの...!」
「麗結ちゃんの用事だよね!俺どうしたらいい?」
ロングコートにぐるぐる巻きのマフラー。
玄関のドアの前で帰り支度バッチリの福良さんを追いかけたけど、さすがにお兄ちゃんがいるここでは嫌だな。
「麗結ちゃん、ちょっとだけ外来てくれない?」
私の心の声を読み取ってくれたのか、福良さんが手招きをする。
こくりと頷いて、上着だけを急いで羽織ると一緒に外に出た。
外の空気はいつも通り冷たいのに、ドキドキで少し身体が熱い。
「寒いね」とポケットに両手をいれた福良さんがこちらを見下ろす。
「えっと...これ!」
ずっと隣を歩いていても胸が張り裂けてしまいそうになるから。
もう緊張で既に苦しいから。
足をピタリと止めると、福良さんも同じように足を止めてくれる。
「ふふ、ごめんね、俺実はあの時気づいちゃって。あ、俺麗結ちゃんにバレンタイン貰えるんだって」
やっぱり...と呟くと「麗結ちゃんちょっと様子おかしかったもん」って紙袋を受け取ってくれた。
「ありがとう。ありがたくいただきます」
「用事はこれだけ...なんですけど...」
「何作ってくれたの?」
紙袋の中をちらっと確認して首を傾げる。
「マフィンです。お兄ちゃんにも味見してもらってるので多分味は大丈夫...」
「凄いね、美味しそう!楽しみだなぁ...あ、お手紙も?」
「あ!それは!!お家に帰ってから!」
ボックスの上に置いていたメッセージカードを手に取った福良さんを急いで止める。
これは絶対に今見られちゃいけない。
これが私の決めた告白なの。
これが私の決めた、あなたを困らせないための告白。
「そうなの?また楽しみが増えちゃった。ありがとね」
「いえ...こちらこそ...」
「ねぇ、俺嬉しそうに見える?」
「...え?」
「俺さぁ、今すっごい喜んでるんだよ?バレンタインにソワソワしちゃうのはこの歳になっても同じだよね」
「こんなのですみません...」
「俺今年唯一のバレンタインプレゼントだよ?嬉しくて舞い上がってるよ!麗結ちゃんのおかげで!」
ちゃんと渡せただけで嬉しかったはずなのに、どんどん欲張りになる。
美味しいって言って欲しい。
私のことだけ考えて欲しい。
この想いを受け取って欲しい。
私のことを、好きになって欲しい。
福良さんが欲しい...なんて贅沢だ。
「麗結ちゃん気をつけて帰ってね」
「家すぐそこですよ?笑」
「そうだった」
ちゃんと渡せた。
メッセージカードを読んで福良さんが困っちゃうかもしれないけど、それはしょうがない。
私はやりたいことをちゃんと出来たんだ。
小さく頭を下げてくるりと身体の向きを変えると、ぱっと手を掴まれた。
「えっ...」
相手はもちろん福良さんで、初めて触れられたそこがすっごく熱い気がする。
心臓のバクバクが繋がったそこから伝わっているんじゃないかってくらいうるさい。
「可愛いねやっぱり」
「あ...あの...?」
「はぁ、ごめん!お兄ちゃんには内緒にしてね」
しーっ、って口の前に人差し指を立てるために繋がれていた手が離れた。
なんで今、私を止めたんだろう。
なんで今、手を...
「ホワイトデー楽しみにしててね」
そう言ってふにゃんと笑う福良さんに「はい...」と可愛くない中途半端な返事しかできなかった。
来た道をとぼとぼと歩きながら考える。
“ 好きです。私が20歳になったら、もう一度告白させてください。 ”
きっと言葉では上手く言えないだろうからあのメッセージカードに自分の想いを託していた。
これを読んでも福良さんは変わらないだろうか。
これを読んでも「ホワイトデー楽しみにしててね」と笑ってくれるだろうか。
福良さんが、好き。
そんなふわふわした気持ちはどんどん大きくなっていくばかりみたいだ。