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それから福良さんはよく家に来るようになった。私は福良さんが気になって、福良さんが来た日は必ずリビングで勉強をするようになっていた。
すると必ず福良さんが私のところに話しかけに来てくれるのだ。日が経つにつれ、私たちの会話は勉強以外のことにも及んだ。
「へぇ、みんなで勉強するんだ。偉いね」
「私はあんまり関係ないけどまだみんなは受験生なので...」
「麗結ちゃんはもう大学決まってるって言ってたもんね。あ、じゃあ彼氏に勉強教えてあげたりするんだ?」
「彼氏っ...?」
「え?あ、なんか変な事聞いちゃった?」
お兄ちゃんもいるし話にあげちゃダメなことだったかごめんごめん、と顔の前で手を合わせて小声で言ってるけどそうでは無い。現に福良さんの背後で兄は笑ってるし。
私に彼氏が出来たことがないのを知ってるから。
「彼氏いないので...」
「タブーじゃなかった?でもさ、可愛いから男の子たち狙ってるんだろうなぁ、麗結ちゃんのこと。ほら、もうすぐバレンタインだってあるし。高校生いいなぁ...羨まし」
「...福良さんは...?」
「ん?俺?」
「彼女とか...」
私にしてはよくやった方だ。
この時もう既に福良さんのことが好きだと気づいていたからかなりの挑戦だった。
この質問にニコッと笑った福良さんは「いないよ」とあっさり答えると「可愛い女の子が彼女になってくれたらいいよね」なんて私の方を見るから勘違いしそうになる。
福良さんがたまに私にかけてくれる「可愛い」という言葉もお世辞で、本心だったとしても妹として可愛い、という意味だということは分かっているのに。
男の人馴れもしてないし、こんなことされたら期待しちゃうじゃん...
「でも俺さ、結構周りの目とか気にしちゃうタイプなの。こんなんだから彼女もできないんだよね」
「周りの目?」
「うん。好きになった人がいるでしょ?で、向こうもね俺のこと好きなのかなぁって思う節はいくつもあるの。でも踏み出せないんだよ、周りの目が気になっちゃってね」
「...難しいです...そんなの...」
「難しいよね。大人の世界ってこういうものなんだよ」
「大人の世界...?」
「だって!俺24だよ?麗結ちゃんより...6歳も年上のおじさんだし笑 好きー!って気持ちだけでぶつかるのはさすがにもう出来ないよ」
心臓がドクッと重たく音を当てた。
目の前が真っ暗になるような、高いところから真っ暗な底に突き落とされたような気分。
大人な自分と、あなたは違うと、言われたような気がした。
ううん、言ったんだ。
・
2月14日、バレンタイン。
私にとっては友達とお菓子を交換してクラスの男子に義理もいい所な残り物を配り歩く日だった。
今年は違う。
人生初めての本命を渡すという緊張と、興奮と。
福良さんのあの言葉で諦めなきゃいけなかったのかもしれない。
確かに私は福良さんに比べたらお子ちゃまな高校生だ。
でも、諦めるなんて嫌だ。
あんな話をしても福良さんは変わらずに私の相手をしてくれたし、仲もどんどん良くなっていると思う。
もちろん困らせることはしたくない。
お兄ちゃんのお友達だし、本当に大好きな人だから。
「よし...」
可愛いプレゼントボックスにいれたマフィンとハートが散りばめられたメッセージカード。
福良さんはどんなのが好きかな。
福良さん喜んでくれるかな。
福良さんは、福良さんが、福良さんに...
最近の私の頭の中はほとんどそればかりで、恋は病ってよくできた言葉だなぁなんて思ったり。
「今日帰りお時間もらえますか?」
福良さんが好きだと気づいてからは、福良さんと話すときはいっつも緊張。上手く話せないし、目も上手く合わせられなくなる。
今日はいつも以上だ、この声は少し震えていたかもしれない。
福良さんは「なんだろう?」って笑ってたけど、きっと気づいてる。
これが大人の余裕?
大人はバレンタインにソワソワしたり緊張したりしないんだきっと。
すると必ず福良さんが私のところに話しかけに来てくれるのだ。日が経つにつれ、私たちの会話は勉強以外のことにも及んだ。
「へぇ、みんなで勉強するんだ。偉いね」
「私はあんまり関係ないけどまだみんなは受験生なので...」
「麗結ちゃんはもう大学決まってるって言ってたもんね。あ、じゃあ彼氏に勉強教えてあげたりするんだ?」
「彼氏っ...?」
「え?あ、なんか変な事聞いちゃった?」
お兄ちゃんもいるし話にあげちゃダメなことだったかごめんごめん、と顔の前で手を合わせて小声で言ってるけどそうでは無い。現に福良さんの背後で兄は笑ってるし。
私に彼氏が出来たことがないのを知ってるから。
「彼氏いないので...」
「タブーじゃなかった?でもさ、可愛いから男の子たち狙ってるんだろうなぁ、麗結ちゃんのこと。ほら、もうすぐバレンタインだってあるし。高校生いいなぁ...羨まし」
「...福良さんは...?」
「ん?俺?」
「彼女とか...」
私にしてはよくやった方だ。
この時もう既に福良さんのことが好きだと気づいていたからかなりの挑戦だった。
この質問にニコッと笑った福良さんは「いないよ」とあっさり答えると「可愛い女の子が彼女になってくれたらいいよね」なんて私の方を見るから勘違いしそうになる。
福良さんがたまに私にかけてくれる「可愛い」という言葉もお世辞で、本心だったとしても妹として可愛い、という意味だということは分かっているのに。
男の人馴れもしてないし、こんなことされたら期待しちゃうじゃん...
「でも俺さ、結構周りの目とか気にしちゃうタイプなの。こんなんだから彼女もできないんだよね」
「周りの目?」
「うん。好きになった人がいるでしょ?で、向こうもね俺のこと好きなのかなぁって思う節はいくつもあるの。でも踏み出せないんだよ、周りの目が気になっちゃってね」
「...難しいです...そんなの...」
「難しいよね。大人の世界ってこういうものなんだよ」
「大人の世界...?」
「だって!俺24だよ?麗結ちゃんより...6歳も年上のおじさんだし笑 好きー!って気持ちだけでぶつかるのはさすがにもう出来ないよ」
心臓がドクッと重たく音を当てた。
目の前が真っ暗になるような、高いところから真っ暗な底に突き落とされたような気分。
大人な自分と、あなたは違うと、言われたような気がした。
ううん、言ったんだ。
・
2月14日、バレンタイン。
私にとっては友達とお菓子を交換してクラスの男子に義理もいい所な残り物を配り歩く日だった。
今年は違う。
人生初めての本命を渡すという緊張と、興奮と。
福良さんのあの言葉で諦めなきゃいけなかったのかもしれない。
確かに私は福良さんに比べたらお子ちゃまな高校生だ。
でも、諦めるなんて嫌だ。
あんな話をしても福良さんは変わらずに私の相手をしてくれたし、仲もどんどん良くなっていると思う。
もちろん困らせることはしたくない。
お兄ちゃんのお友達だし、本当に大好きな人だから。
「よし...」
可愛いプレゼントボックスにいれたマフィンとハートが散りばめられたメッセージカード。
福良さんはどんなのが好きかな。
福良さん喜んでくれるかな。
福良さんは、福良さんが、福良さんに...
最近の私の頭の中はほとんどそればかりで、恋は病ってよくできた言葉だなぁなんて思ったり。
「今日帰りお時間もらえますか?」
福良さんが好きだと気づいてからは、福良さんと話すときはいっつも緊張。上手く話せないし、目も上手く合わせられなくなる。
今日はいつも以上だ、この声は少し震えていたかもしれない。
福良さんは「なんだろう?」って笑ってたけど、きっと気づいてる。
これが大人の余裕?
大人はバレンタインにソワソワしたり緊張したりしないんだきっと。