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私が今まで恋愛に興味がなかった原因はなんとなく分かっている。
犯人は、6歳年上のお兄ちゃんだ。
男の人ってこんな感じ、というのはお兄ちゃんを見ていれば大体分かっていたし、6つも歳が離れているお兄ちゃんだ。優しいし甘やかしてくれるし喧嘩もない。
そのせいか出会う男の子たちがみんな子どもに見えて、いいなぁと思う人もおらず今に至る。
そんな私が、出会ったその日に
この人が好きかもしれない、と
これが恋かもしれない、と
思った人がいる。
高校3年生の冬、私は人生初めての恋をした。
「まっさか、福良にね」
「お兄ちゃん絶対黙っててよ!言わないでよ!」
「どうだろうなぁ。あ、これひとつくれたら黙っててやるよ」
たった今完成したマフィンをお兄ちゃんが指さしてるから、どうせ明日渡す予定だったんだけどねと心の中で思いながら「しょうがないなぁ」とひとつ手渡した。
・
私が恋した相手。それは私が恋に興味を持たなかった理由であったはずの兄の友達だった。
未成年でまだまだお子ちゃまだという自覚すらある私が、6つ年上の福良さんに恋をしてしまった。
お兄ちゃんが家に福良さん初めて連れてきたのは2ヶ月前。
研究発表会の準備だとか言ってリビングのダイニングテーブルで何やら作業をしているのを、その日私は偶然同じリビングのローテーブルで勉強をしながら見ていた。
「あ!なんか難しそうなのやってるね」
初めて声をかけられた時のことを今でも覚えている。
すっごい集中してたから福良さんが私の真隣に来て、ノートを覗き込んでるなんて思わなくて「うおっ!」って女子力の欠けらも無い声を出してしまったから。
「えぇ、ビックリさせちゃった?ごめんごめん」
「いえ...」
なんでお兄ちゃんの友達が私のところに?
ダイニングテーブルを覗くとお兄ちゃんがいない。
「あ、ちょっと休憩しよってなったからね、俺麗結ちゃんに話しかけてもいい?って兄ちゃんに許可取ってきたからねちゃんと」
「許可出したんですか」
「うん、普通にいいよーって言ってたよ?」
そう言いながらあまりにも自然に私の隣に腰を下ろす。
全く男の人に耐性のない私は、脚が触れてしまいそうな距離にちょっとだけドキッとした。
何故かこのあと福良さんは休憩中だと言うのに私の勉強の相手をしてくれた。
お兄ちゃんはわかんねぇってあんまりこういうことはしてくれないから嬉しかったのと、こんなに簡単にしかも分かりやすく教えてくれるこの人は普通にすごいと思った。
「おぉー!すごいじゃん。麗結ちゃん天才じゃない?」
すっごい褒め上手。
「ここは...ちょっと待ってね...」
すっごい真面目で真剣な眼差し。
「あ!そうだ、分かったよ!」
すっごい嬉しそうに楽しそうに問題と向き合う姿。
気づいたら見とれていた。
こんなこと言ったらきっと怒られるんだろうけど、この日やった問題のことは覚えていない。
覚えているのは福良さんにかけてもらった言葉たちだけだ。
「麗結ちゃん可愛いね」
「は?何言ってんのお前」
「何言ってんのって思ったことを言っただけなんだけど」
お兄ちゃんとそんな話をしているのを聞いた時にはもう胸の中がモヤモヤしていた。
人生で初めて、異性に抱いた感情だった。
犯人は、6歳年上のお兄ちゃんだ。
男の人ってこんな感じ、というのはお兄ちゃんを見ていれば大体分かっていたし、6つも歳が離れているお兄ちゃんだ。優しいし甘やかしてくれるし喧嘩もない。
そのせいか出会う男の子たちがみんな子どもに見えて、いいなぁと思う人もおらず今に至る。
そんな私が、出会ったその日に
この人が好きかもしれない、と
これが恋かもしれない、と
思った人がいる。
高校3年生の冬、私は人生初めての恋をした。
「まっさか、福良にね」
「お兄ちゃん絶対黙っててよ!言わないでよ!」
「どうだろうなぁ。あ、これひとつくれたら黙っててやるよ」
たった今完成したマフィンをお兄ちゃんが指さしてるから、どうせ明日渡す予定だったんだけどねと心の中で思いながら「しょうがないなぁ」とひとつ手渡した。
・
私が恋した相手。それは私が恋に興味を持たなかった理由であったはずの兄の友達だった。
未成年でまだまだお子ちゃまだという自覚すらある私が、6つ年上の福良さんに恋をしてしまった。
お兄ちゃんが家に福良さん初めて連れてきたのは2ヶ月前。
研究発表会の準備だとか言ってリビングのダイニングテーブルで何やら作業をしているのを、その日私は偶然同じリビングのローテーブルで勉強をしながら見ていた。
「あ!なんか難しそうなのやってるね」
初めて声をかけられた時のことを今でも覚えている。
すっごい集中してたから福良さんが私の真隣に来て、ノートを覗き込んでるなんて思わなくて「うおっ!」って女子力の欠けらも無い声を出してしまったから。
「えぇ、ビックリさせちゃった?ごめんごめん」
「いえ...」
なんでお兄ちゃんの友達が私のところに?
ダイニングテーブルを覗くとお兄ちゃんがいない。
「あ、ちょっと休憩しよってなったからね、俺麗結ちゃんに話しかけてもいい?って兄ちゃんに許可取ってきたからねちゃんと」
「許可出したんですか」
「うん、普通にいいよーって言ってたよ?」
そう言いながらあまりにも自然に私の隣に腰を下ろす。
全く男の人に耐性のない私は、脚が触れてしまいそうな距離にちょっとだけドキッとした。
何故かこのあと福良さんは休憩中だと言うのに私の勉強の相手をしてくれた。
お兄ちゃんはわかんねぇってあんまりこういうことはしてくれないから嬉しかったのと、こんなに簡単にしかも分かりやすく教えてくれるこの人は普通にすごいと思った。
「おぉー!すごいじゃん。麗結ちゃん天才じゃない?」
すっごい褒め上手。
「ここは...ちょっと待ってね...」
すっごい真面目で真剣な眼差し。
「あ!そうだ、分かったよ!」
すっごい嬉しそうに楽しそうに問題と向き合う姿。
気づいたら見とれていた。
こんなこと言ったらきっと怒られるんだろうけど、この日やった問題のことは覚えていない。
覚えているのは福良さんにかけてもらった言葉たちだけだ。
「麗結ちゃん可愛いね」
「は?何言ってんのお前」
「何言ってんのって思ったことを言っただけなんだけど」
お兄ちゃんとそんな話をしているのを聞いた時にはもう胸の中がモヤモヤしていた。
人生で初めて、異性に抱いた感情だった。