窓の外はザーザーと土砂降りの雨。
まるで俺の心を表現してくれてるみたいに。

静まり返った部屋に、ひたすら雨が地面を叩く音が響いていた。


なんでこんなことになってしまったんだろうか。

120％、俺が悪いことだけは分かっている。

俺の頭が足りなかったんだ。


「なんで...」
「ごめん。本当にごめん」
「私のこと...なんだと思ってるの...」


本当に、本当に大好きな彼女だ。

俺が忙しくても嫌な顔1つしないで応援してくれたし

俺が初めてこの人を大切にしたいと、しなければならないと心に誓った相手だ。


「ごめん...ほんとに」
「謝って済むことじゃない...」
「でももう謝るしかないし」
「なんでそんなに偉そうなの...？」


別にそんなつもりはなかったんだ。

君が今週は忙しいと言ったから。

誘われた飲み会に参加しただけ、なはずだった。

ただ、ただ、そこにいた女性1人と行き過ぎてしまっただけで。


「そう聞こえたならごめん」
「...別れよう」
「待ってよ。俺本当に何も無くてさ！」
「ほかの女の人と夜一緒に過ごしててそれはないでしょ？！」


本当に、本当に何も無かった。

その女性は俺に気があったみたいだけど、俺は全くその気は無かった。

酔いに酔いつぶれた女性を押し付けられたんだ。

俺から離れてくれないもんだから。

どうしようか途方に暮れている間に、終電はなくなっていた。

女性を放置しておくなんて到底出来なくて、君の顔を思い浮かべながらビジネスホテルに入った。

この選択が間違いだったんだろうか。

多分そうだろうな。


女性はベットに下ろしたら熟睡していたし、俺もすぐに寝てしまった。

朝起きてからも女性はずっと俺に謝っていたし、俺だって放っておけなかったからと頭を下げる彼女を宥めた。


「...拓司くん、そんな人だと思わなかったよ」
「聞けって...」
「もういい！」


大きな声を上げて彼女が部屋から出て行った。



追いかければよかったんだろうけど、

話を聞いてくれない彼女にイライラして

あの夜の自分の選択を死ぬほど悔やんで

全てが嫌になった今の俺にそんな気力はなく。



ただ、ただ、君が出ていった扉を見つめるしかなかった。