｢ああ！麗結！心配したよ、元気だったか？｣

｢先生、元気だったら学校休んでないです｣


職員室に入ると1番に駆け寄ってきてくれた先生は安堵の表情を浮かべた。

この人友達みたいで先生らしくないとか思っておきながら、ちゃんと先生なんだな。

家庭訪問まで持ちかけてくれるなんて。


｢でももう学校終わっちゃったよ？｣

｢先生に顔だけ見せに来たの｣

｢え？まじ？そりゃあ嬉しいな｣


先生は素直に嬉しそうに笑って、｢明日も顔見せに来いよ｣って、無理やり学校に来させるような言い方ではなく、今日みたいでいいよって遠回しの優しさを見せてくれた。


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やっぱり家庭科室の扉はあいていた。

こんなの先生にバレたら大変じゃん。


｢あ、麗結...マジで来てくれた｣

｢うん...なんか...痩せた...よね？｣

｢え？まじ？｣


部屋に入った瞬間に、部屋の中央に立っていた彼が目に入って、その距離のまま会話をした。

彼はかなり疲れた顔をしていて、心做しか痩せたような気がした。


｢もっと近く来てよ...お願い｣

｢うん｣


彼は、私がずっと休んでいたのを知っていたのだろうか。

拓司が死んだことを話そうか？

そうしたらまた付き合える？

拓朗との楽しかった日々かえってくる？

そう頭に過ったのは一瞬だけ。

私にはもう拓司しかいないっていう頭になっていたから。

拓司と私はたった3日だけでも、確かに彼氏と彼女だった。