半径10メーターの世界
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高校生の私にとって、学校というその空間は日常のほとんどを占めていた。
たった半径10メーターほどのこの世界で、私たちは一喜一憂する。
まだまだ青い私たちはそれが全てで、それしかないと思っていた。
お風呂からあがるとすぐにベットに倒れ込む。
拓朗からのLINEも途切れてて、きっと寝てしまったんだろうなって、眠っている彼を想像するだけでニヤニヤする。
私には、寝る前に必ず今日あったことを思い出す癖があった。
昼休みに学食で友達とラーメンを食べた。
なんか気分でコーラを回し飲みして飲んだ。
たくさん笑った。
拓朗の自転車の後ろに乗った。
いつも通りの体温があたたかかった。
「また明日ね」と言い合った。
手を振った。
ほんとにさ、周りの人から見たら石ころみたいな小さすぎる楽しかったことがポンポンと頭に浮かぶ。
なにか特別なことが起こった訳では無い。
本当に他愛もないことが、私にとっての当たり前で、宝物で、特別だった。
「ん...??」
そろそろ寝るかとスマホのアラームをセットしようとした時、最近見ていなかったけど、その名前を見た瞬間心がぽっと温まるような彼からのLINE。
【麗結、久しぶり】
「拓司だ....」
驚いてバッと勢いよく体を起こして、何を思ったか真っ暗な部屋の明かりをつけた。
【やっとこっちに帰ってきた、麗結に会いたい】
LINEの相手は伊沢拓司で、彼もまた獣医ではなく医者の息子だった。
同い年の拓司とは家がご近所さんで、小さい頃からずっと一緒。
アルバムを開けば拓司との写真が沢山あって、ふたりで一緒に大きくなってきたらしい。
だけどお父さんの仕事の都合で、中学生になる前に遠くの雪がよく降る県に行くことになってしまってその時はずーっと泣いていたらしい。
【元気だった?】
【俺めっちゃ背伸びたよ】
【麗結見下ろせるわ】
中学生の私たちに連絡を取る便利な携帯なんてなかったから、自然と連絡を取ることはなくなって。
拓司は分からないけれど、私は拓司のことをだんだん忘れていった。
彼のいない日々が当たり前になって、新しい友達もたくさんできて、拓司もきっと拓司なりに楽しんでいると思ったらあんまり苦しくなくなったの。
たった半径10メーターほどのこの世界で、私たちは一喜一憂する。
まだまだ青い私たちはそれが全てで、それしかないと思っていた。
お風呂からあがるとすぐにベットに倒れ込む。
拓朗からのLINEも途切れてて、きっと寝てしまったんだろうなって、眠っている彼を想像するだけでニヤニヤする。
私には、寝る前に必ず今日あったことを思い出す癖があった。
昼休みに学食で友達とラーメンを食べた。
なんか気分でコーラを回し飲みして飲んだ。
たくさん笑った。
拓朗の自転車の後ろに乗った。
いつも通りの体温があたたかかった。
「また明日ね」と言い合った。
手を振った。
ほんとにさ、周りの人から見たら石ころみたいな小さすぎる楽しかったことがポンポンと頭に浮かぶ。
なにか特別なことが起こった訳では無い。
本当に他愛もないことが、私にとっての当たり前で、宝物で、特別だった。
「ん...??」
そろそろ寝るかとスマホのアラームをセットしようとした時、最近見ていなかったけど、その名前を見た瞬間心がぽっと温まるような彼からのLINE。
【麗結、久しぶり】
「拓司だ....」
驚いてバッと勢いよく体を起こして、何を思ったか真っ暗な部屋の明かりをつけた。
【やっとこっちに帰ってきた、麗結に会いたい】
LINEの相手は伊沢拓司で、彼もまた獣医ではなく医者の息子だった。
同い年の拓司とは家がご近所さんで、小さい頃からずっと一緒。
アルバムを開けば拓司との写真が沢山あって、ふたりで一緒に大きくなってきたらしい。
だけどお父さんの仕事の都合で、中学生になる前に遠くの雪がよく降る県に行くことになってしまってその時はずーっと泣いていたらしい。
【元気だった?】
【俺めっちゃ背伸びたよ】
【麗結見下ろせるわ】
中学生の私たちに連絡を取る便利な携帯なんてなかったから、自然と連絡を取ることはなくなって。
拓司は分からないけれど、私は拓司のことをだんだん忘れていった。
彼のいない日々が当たり前になって、新しい友達もたくさんできて、拓司もきっと拓司なりに楽しんでいると思ったらあんまり苦しくなくなったの。