｢で、俺はどっから聞きゃいいの？｣
｢あの...ごめん...｣
｢あー、そういうのいいから｣


病院を出て、少し歩いたところにあったベンチに少し距離を置いて座る。

拓朗の雰囲気からは今まで感じたことの無いイラつきを感じた。

声、表情、なにもかもが別人のように真っ暗だった。


｢なんなの、お前最近おかしいと思っとったわ｣
｢あの...拓司はね..！｣
｢うーわ...無理無理無理｣


少し取り乱したように勢いよく立ち上がった彼は、私を正面から潰れるほど強く抱きしめた。


｢無理なんだよ...俺麗結がいないと無理なんだよ...ほかの男の名前なんて呼ぶなよ...｣
｢拓朗...？｣
｢首輪つけといたのに...なんで...｣


私の首にかかっているネックレスをスルスルと指でなぞる。

私は拓朗と絶対別れられない、彼は私がいないと本当に消えてしまいそうなんだ。

ううん、私は拓朗が好きだから別れない。


｢...何もないんだよね？｣
｢なんにもないよ...ただの幼なじみ！｣
｢信じるわ｣


ごめん、と力なく呟くと私から体を離す。
目は少しだけ潤んでいるように思えた。

私は本当に拓朗に愛されてた。

拓朗は心から私のことを大切にしてくれていた。

それを裏切ったのは私。

そんな彼を危険な目に合わせたのも私。


｢今日は家泊まってって｣
｢えっ？！｣
｢俺のもんって感じたい...いいでしょ？｣
｢でもお母さんに言わないと...｣
｢じゃあ今から行くか？堂々朝帰り宣言ってやつ！｣
｢ダメだよー！お父さんがないちゃう｣
｢あ、麗結がもう俺によって汚されてるのバレるから？｣


朝帰りなんてそれしかほぼ理由ないからね？
彼氏の家に泊まるなんて。


｢俺から離れないでね...｣
｢うんっ....｣
｢あの男んところいったら...俺...死ぬから｣


結局友達の家に泊まると嘘をついて拓朗の家に行った。

何回目かの絶頂で、彼がそういった事を今でも忘れていない。