河村さんってやっぱり天才だなぁ。と思う。
心霊写真自分で作ってクイズにするとか面白すぎるだろ。

大盛り上がりでいつもの2倍はテンション高めな撮影。
エアコンがついてるはずなのに汗だくな俺は、待ってましたと彼女から貰ったハンカチをポケットから取り出して汗を拭く。

ほのかに彼女の香りがする。
膝の上に乗っけとこ、って置いておいたせいでハンカチがずっと気になって最後の動画はあんまり集中してなかった。


「うああああー！！」


いきなり出てきた怖すぎる写真に、体を飛び跳ねさせながら驚いたけどなんとかハンカチは落とさなかった、セーフ。

元々幽霊系は得意じゃないからずっとハンカチで気を散らして来たんだけど、さすがにこれは怖すぎてハンカチをぎゅっと両手で握りしめる。

何か嫌なことがあったら私だと思ってぎゅっとしてって彼女も言ってた。

こんなことでって大袈裟な気もするが、ドクドクと早かった鼓動が落ち着いた気がする。

その後も片手で彼女のことを考えながらずっと握りしめてたけどよくよく考えたらこれ動画に全部映ってんじゃね？と気づいたのは撮影が終わってから。

河村さんに「ハンカチ弄りすぎ」ってまた注意されてこりゃ動画でも目立つわやっべー！って焦ってももう遅い。

まぁしょうがない。
このハンカチ、いや、彼女のおかげでそんなにビビリな姿を晒すことなく撮影を終えれたんだから。


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「ちょっと拓司くん！ハンカチ！」
「ん？ああ、動画上がったんだ。Twitter更新しよっと」
「なーんでずっと握ってるの！」
「だって麗結が嫌なことがあったら私だと思ってって言ってたからだわ！」
「最後までずっと持ってるじゃん」
「河村さんにちょっと怒られちった」
「ふふっ...でもちょっと嬉しいね」
「あのハンカチパワーのおかげで俺今日も仕事頑張れてるから」
「ハンカチのおかげ？」
「...いや、やっぱちげーわ。麗結のおかげだね」


「ありがとう」って後ろから抱きしめると「どういたしまして」と頬にキスをして微笑んでくれた。