ep.1 言わないけどね。/ izw
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「伊沢くんってクイズ研究会なの?」
「うん、そうだよ」
「へぇ、どんなことするの?」
「クイズしてる」
「それは聞かなくてもわかる!!」
週一の講義の時は必ず予習を見せてもらって、ちょっとずつ英語以外の話もするようになっていた。
伊沢くんも少しずつ私に慣れてきてくれたようで、よく笑うようになった。
「みちのせ」
「ん?」
「クイズだよ。はい答えは?」
急にそんな事言われても。
みちのせってなによ、なんか古典とかに出てきそう。
たった4文字から答えを想像するの?
そんなの出来るわけないじゃん。
「ふっ、なんか考えてるみたいだね」
「なっ、なんで笑うの!そりゃあ考えるでしょ!」
「麗結...さんに分かるわけないじゃん。俺クイズ王だよ?」
「は...?」
「あ、ちなみに正解は湯川秀樹ね」
英語のノートに落書きをしながら、楽しそうに話す。
こんなに目をキラキラさせてる彼を見るのは初めてで、ドキッとした。
「ノーベル賞の人?」
「あ、それは知ってるんだ。賢いね」
「それは知ってるけど...何がみちのせと繋がってるの?」
「『未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅人である』という名言を残した、日本人初のノーベル賞受賞者は誰?っていう問題。俺はみちのせでボタンを押すくらいクイズが好きで得意だってこと」
今度はドヤ顔にも似た、勝ち誇ったような顔。
全力で楽しそうな顔の彼も、ドヤ顔の彼も、かっこいいと思ってしまったなんて、君には絶対言わないけどね。