マイスイートハニーに「好きだよ」と伝えて、気分は最高潮のまま電話を切って気づいた。

後でオフィスでね、ってやばくね？


「やっべぇ、よなぁ...」


今オフィスにいる人を確認する。
河村さんと山本か。
山本はまぁいいとして、河村さんはごちゃごちゃ突っ込んできそうだ。

というかそんなことより、オフィスだろうがなんだろうが麗結が目の前に現れたらいつもの俺でなくなることは確かだ。


「やっぱ会わない方がいいな」


1人ポツリと呟いて、オフィスに入ると山本がいたから「あとちょっとしたら俺の荷物届けに女性が来るけどそれ受け取っておいて」とだけ残して用もないのに外に出た。

すぐに麗結から「今から届けに行くよ」と連絡が来て「ありがとう」という言葉とともにこの前ゲットしたうさぎがハートを飛ばしてるスタンプを送ってみた。

こんなことをしてる俺をメンバーが知ったらどんな表情をするだろうか。


そろそろ帰ったかな、というタイミングでオフィスに戻ると玄関に今日は無いはずの女物の靴。
しかも俺はこの靴の持ち主を知っている。
俺のシンデレラの靴だ。
俺はこの靴を持って真っ先に麗結のところに走っていくんだ！実はこの靴麗結にはちょっと大きいのを知ってるからやらないけど。


山本は気を使ってくれたようだから、責めるのはやめてそのままリビングに行くと河村さんの隣にちょこんと座る妖精がひとり。

なんで、そんな可愛い格好してるんだ？
仕事帰りじゃねぇのかよ。
あとで説教だ。


「じゃあね」


気持ちを鬼にして、目を合わせる隙もなく部屋を出た。

さすがに素っ気なさすぎた。
仕事とプライベート分けれて無さすぎ。
さすがに引いた。

今日は麗結が好きなプリンでも買って帰ろう。