ep.28 ふたりの場所。/ izw
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「すまん、キモイわさすがに」
さっきまで自信満々そうに私の方を見ていた彼が今度はしゅんと視線を下に向ける。
拓司くんとあんなことがあったあと、私はここに来るのをやめたし、できるだけ2人で行った場所は避けるように過ごしていた。
会わない方がいい、会ったらきっとまた傷つくから。
それでも拓司くんはこのカフェに来て私を待っていてくれたんだ。
「何か言ってよ」
「いや...何も言えないというか」
「キモすぎて?」
「違う逆」
「逆?」
「聞きたいことなんでもどうぞ。キモイなんて思ってないから」
「あのガトーショコラ麗結が作ったの?」
「最初がそれって、そうだよ」
「あれハート型だった?」
「...そうだよ」
「味見した?」
「...してないけど...え?!不味かった?!」
「いや、美味かった」
「よかった...」
あの時投げつけてぐちゃぐちゃになったであろうガトーショコラ食べてくれたんだ。
4年も前のはずなのに昨日の事のように思い出せる。あの時の光景、あの時の気持ち。
「俺の事好きだった?」
「...なにそれ」
「うわ、答えてくんねぇ」
「好きだった!好きだったよ!!」
「うーわ、嘘だよこれ」
「嘘じゃないって...」
「俺も好きだった」
「そっ...そうでしょうね、私たち恋人だったんだし」
「だよな」
目の前の彼ら、悲しそうにそう呟くともう空っぽのコーヒーカップをぼーっと見つめる。
私は彼のこの儚げな表情も好きだった。
彼は表情をコロコロ変えるから一緒にいてとても楽しかったし、口下手でも思っていることはすぐにわかった。変わってない。
これは何かいいたいことがあるけど言おうか迷っている時の彼。
「もう会えねぇかもしれないから言うわ、俺ら別れたの?」
「えっ...それは...」
「いや、今までずっと付き合ってたとは言わねぇけど俺気持ちの整理がついてなくてさ。麗結を怒らせてしまったことは反省してるし言い訳も聞いて欲しい。ただ俺が伝えたいことはそんなんじゃなくてさ...好きなんだよ、どんだけ考えてももういいわとかなんねぇんだよ」
助けてくれ、の言葉が今にも消えてしまいそうだ。
好きだからもう一度やり直そう、ではない。
ここでしっかり別れよう、でもない。
この感情が分からないから、私に答えを教えて欲しいということだ。
さっきまで自信満々そうに私の方を見ていた彼が今度はしゅんと視線を下に向ける。
拓司くんとあんなことがあったあと、私はここに来るのをやめたし、できるだけ2人で行った場所は避けるように過ごしていた。
会わない方がいい、会ったらきっとまた傷つくから。
それでも拓司くんはこのカフェに来て私を待っていてくれたんだ。
「何か言ってよ」
「いや...何も言えないというか」
「キモすぎて?」
「違う逆」
「逆?」
「聞きたいことなんでもどうぞ。キモイなんて思ってないから」
「あのガトーショコラ麗結が作ったの?」
「最初がそれって、そうだよ」
「あれハート型だった?」
「...そうだよ」
「味見した?」
「...してないけど...え?!不味かった?!」
「いや、美味かった」
「よかった...」
あの時投げつけてぐちゃぐちゃになったであろうガトーショコラ食べてくれたんだ。
4年も前のはずなのに昨日の事のように思い出せる。あの時の光景、あの時の気持ち。
「俺の事好きだった?」
「...なにそれ」
「うわ、答えてくんねぇ」
「好きだった!好きだったよ!!」
「うーわ、嘘だよこれ」
「嘘じゃないって...」
「俺も好きだった」
「そっ...そうでしょうね、私たち恋人だったんだし」
「だよな」
目の前の彼ら、悲しそうにそう呟くともう空っぽのコーヒーカップをぼーっと見つめる。
私は彼のこの儚げな表情も好きだった。
彼は表情をコロコロ変えるから一緒にいてとても楽しかったし、口下手でも思っていることはすぐにわかった。変わってない。
これは何かいいたいことがあるけど言おうか迷っている時の彼。
「もう会えねぇかもしれないから言うわ、俺ら別れたの?」
「えっ...それは...」
「いや、今までずっと付き合ってたとは言わねぇけど俺気持ちの整理がついてなくてさ。麗結を怒らせてしまったことは反省してるし言い訳も聞いて欲しい。ただ俺が伝えたいことはそんなんじゃなくてさ...好きなんだよ、どんだけ考えてももういいわとかなんねぇんだよ」
助けてくれ、の言葉が今にも消えてしまいそうだ。
好きだからもう一度やり直そう、ではない。
ここでしっかり別れよう、でもない。
この感情が分からないから、私に答えを教えて欲しいということだ。