ep.28 ふたりの場所。/ izw
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バレンタインにいい思い出がない。
あのあと拓司くんは走って私を追いかけてくれたけど無視した。連絡も拒否した。
正直とても後悔している。
何故そこまでしてしまったのか今思うと分からない。
何故話を聞いてあげなかったのか。
何故勢いであんなことをしたのか。
もう恋愛はするなと神様が言っているのだろう、拓司くんと離れてからというもの、私にそういった話は全くない。
今までバレンタインのせいにしてきたけど、上手くいかないのは自分のせいなのだと気づき始めた。もう遅いけど。
・
26歳になった今でもあの日の出来事が頭から離れない。
今年も途切れることなくやってきたバレンタインの日。
私は4年振りにあのカフェに向かっていた。
誰かのイタズラか、もうずっと近づいてすらいない我が母校である大学に、仕事の関係で訪問しなければならなくなったのだ。
仕事をこれでもかというスピードで終えると、すぐに駅に向かう。このまま何も考えずに電車に乗って帰る。
そうした方がいいのは明確だったのにな。
思い出の場所というのは、どれだけ嫌なことがあったとしても気にしてしまうものらしい。
まだお店があるかだけ確認する予定が、気づけばコーヒーだけと扉を開けていた。
「ホットコーヒーひとつ」
何一つ変わっていない店内をあの日の拓司くんみたいにキョロキョロと見渡す。
やっぱり私の席は入口から入ってすぐのここ。
向かいに座っていた拓司くんの笑顔が今でも浮かんでしまうから、ちょっと失敗したなと思った。
「全然変わってないですね」
コーヒーを運んでくれたお兄さんにひと声。
当時よくお話していたたおじさん元気かな。
「もしかして、よく来てくださっていたんですか?」
「まあ...大学生の時はよくこの席でこのコーヒーをいただいてました」
「失礼ですが、お客様おいくつでいらっしゃいますか?」
「26になりますけど...」
私は気にしないけど聞く人によってはいきなり年齢を聞くなんて本当に失礼だって思われちゃうんじゃない?と心配しながらお兄さんを見る。
「やっぱり...」
そう言って私をジーッと見つめ返す。
「あのなにか」
「いえ、どうぞごゆっくり」
お兄さんはコーヒーと一緒に机に持ってきてくれた、砂糖とミルクがひとつずつのった小皿にミルクを1つ追加して裏へ戻っていった。
あのあと拓司くんは走って私を追いかけてくれたけど無視した。連絡も拒否した。
正直とても後悔している。
何故そこまでしてしまったのか今思うと分からない。
何故話を聞いてあげなかったのか。
何故勢いであんなことをしたのか。
もう恋愛はするなと神様が言っているのだろう、拓司くんと離れてからというもの、私にそういった話は全くない。
今までバレンタインのせいにしてきたけど、上手くいかないのは自分のせいなのだと気づき始めた。もう遅いけど。
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26歳になった今でもあの日の出来事が頭から離れない。
今年も途切れることなくやってきたバレンタインの日。
私は4年振りにあのカフェに向かっていた。
誰かのイタズラか、もうずっと近づいてすらいない我が母校である大学に、仕事の関係で訪問しなければならなくなったのだ。
仕事をこれでもかというスピードで終えると、すぐに駅に向かう。このまま何も考えずに電車に乗って帰る。
そうした方がいいのは明確だったのにな。
思い出の場所というのは、どれだけ嫌なことがあったとしても気にしてしまうものらしい。
まだお店があるかだけ確認する予定が、気づけばコーヒーだけと扉を開けていた。
「ホットコーヒーひとつ」
何一つ変わっていない店内をあの日の拓司くんみたいにキョロキョロと見渡す。
やっぱり私の席は入口から入ってすぐのここ。
向かいに座っていた拓司くんの笑顔が今でも浮かんでしまうから、ちょっと失敗したなと思った。
「全然変わってないですね」
コーヒーを運んでくれたお兄さんにひと声。
当時よくお話していたたおじさん元気かな。
「もしかして、よく来てくださっていたんですか?」
「まあ...大学生の時はよくこの席でこのコーヒーをいただいてました」
「失礼ですが、お客様おいくつでいらっしゃいますか?」
「26になりますけど...」
私は気にしないけど聞く人によってはいきなり年齢を聞くなんて本当に失礼だって思われちゃうんじゃない?と心配しながらお兄さんを見る。
「やっぱり...」
そう言って私をジーッと見つめ返す。
「あのなにか」
「いえ、どうぞごゆっくり」
お兄さんはコーヒーと一緒に机に持ってきてくれた、砂糖とミルクがひとつずつのった小皿にミルクを1つ追加して裏へ戻っていった。