ep.28 ふたりの場所。/ izw
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ついにやってきたバレンタイン。
拓司くんとの関係はあまりにも順調というかいつも通りだったから、自分にとって不吉な日だということを忘れるくらいだった。
【講義終わったあとカフェで会える?】
朝一番で送ったLINEはすぐに既読がついた。
【何かあるの?】
照れ隠しで聞いているのか、本心で聞いているのか、彼ならどちらもやりかねない。
【麗結何時に終わるの?】
返信に困っていた時、追ってメッセージ。
これにはすぐ、5時間目まであるよ、と返した。
数分して了解の2文字がきていてほっとする。
今日があたりまえの日に、いや、ほんの少し幸せな日になるだろうと思えて仕方がなかった。
私にも幸せなバレンタインの思い出を下さいと願ってやまなかった。
・
5時間目の講義が少し早く終わったのは想定外で、彼の予定も確認しておくべきだったと今更反省した。大学にいるならいいんだけど、だってお休みだったら拓司くんこの時間まで平気で寝てそうだし。
先にカフェで待ってよう
この選択が間違いだったというなら、もう運命には逆らえないんだと諦めよう。
多分、これは間違いじゃなかった。
【なんか早く終わったから先にカフェで待ってるね】
既読はつかなかった。
彼も今向かって歩いているのかも。
彼も5時間目まで講義なのかも。
嫌な想像はしなかった。
全くといっていいほどしなかった。
「なんていうか...その...」
「なに?急に改まって」
「俺の恋人になって欲しい...んだけど」
「...えっ?」
「いや、まぁ、俺が彼氏になってやってもいいかなってさ?」
「なんでちょっと上からなの」
一歩一歩カフェに近づく。
拓司くんとの思い出がぐるぐると頭の中をめぐる。
不自然すぎる告白を思い出して吹き出しそうになったり。
「ここ落ち着くわ」
「でしょ?」
「ここにいると麗結といるみたいで落ち着く」
「なんじゃそりゃ」
「ふたりだけの場所みてぇだなってこと」
拓司くんがそう言ってくれたからこの空間がより一層愛おしくなった日を思い出してみたり。
そう、ここは2人だけの場所。
ふわふわした気持ちでお店の扉を開ける。
静かにベルの音が響いた。
入口から1番近い席が私たちの指定席。
「あ、麗結」
「伊沢先輩のお知り合い?」
そこに居たのは拓司くん、と知らない女の人。
「知り合いってか」
「何してんの」
「麗結?どうした?」
「どうしたはこっちのセリフだよLINEも返信ないし来てみたら女の子といるとかなんなの今日が何の日かわかってんの?私がどれだけ...」
許せなかった。
ここは私にとっての特別な場所だった。
勝手に私たちだけの特別な場所だと思っていた。
拓司くんにとっては違ったんだ。
いつもの席で他の女の子と....
「バレンタインなんて嫌い」
大事に大切に家から持ってきたプレゼントボックスを拓司くんに投げつけて店を飛び出した。
拓司くんとの関係はあまりにも順調というかいつも通りだったから、自分にとって不吉な日だということを忘れるくらいだった。
【講義終わったあとカフェで会える?】
朝一番で送ったLINEはすぐに既読がついた。
【何かあるの?】
照れ隠しで聞いているのか、本心で聞いているのか、彼ならどちらもやりかねない。
【麗結何時に終わるの?】
返信に困っていた時、追ってメッセージ。
これにはすぐ、5時間目まであるよ、と返した。
数分して了解の2文字がきていてほっとする。
今日があたりまえの日に、いや、ほんの少し幸せな日になるだろうと思えて仕方がなかった。
私にも幸せなバレンタインの思い出を下さいと願ってやまなかった。
・
5時間目の講義が少し早く終わったのは想定外で、彼の予定も確認しておくべきだったと今更反省した。大学にいるならいいんだけど、だってお休みだったら拓司くんこの時間まで平気で寝てそうだし。
先にカフェで待ってよう
この選択が間違いだったというなら、もう運命には逆らえないんだと諦めよう。
多分、これは間違いじゃなかった。
【なんか早く終わったから先にカフェで待ってるね】
既読はつかなかった。
彼も今向かって歩いているのかも。
彼も5時間目まで講義なのかも。
嫌な想像はしなかった。
全くといっていいほどしなかった。
「なんていうか...その...」
「なに?急に改まって」
「俺の恋人になって欲しい...んだけど」
「...えっ?」
「いや、まぁ、俺が彼氏になってやってもいいかなってさ?」
「なんでちょっと上からなの」
一歩一歩カフェに近づく。
拓司くんとの思い出がぐるぐると頭の中をめぐる。
不自然すぎる告白を思い出して吹き出しそうになったり。
「ここ落ち着くわ」
「でしょ?」
「ここにいると麗結といるみたいで落ち着く」
「なんじゃそりゃ」
「ふたりだけの場所みてぇだなってこと」
拓司くんがそう言ってくれたからこの空間がより一層愛おしくなった日を思い出してみたり。
そう、ここは2人だけの場所。
ふわふわした気持ちでお店の扉を開ける。
静かにベルの音が響いた。
入口から1番近い席が私たちの指定席。
「あ、麗結」
「伊沢先輩のお知り合い?」
そこに居たのは拓司くん、と知らない女の人。
「知り合いってか」
「何してんの」
「麗結?どうした?」
「どうしたはこっちのセリフだよLINEも返信ないし来てみたら女の子といるとかなんなの今日が何の日かわかってんの?私がどれだけ...」
許せなかった。
ここは私にとっての特別な場所だった。
勝手に私たちだけの特別な場所だと思っていた。
拓司くんにとっては違ったんだ。
いつもの席で他の女の子と....
「バレンタインなんて嫌い」
大事に大切に家から持ってきたプレゼントボックスを拓司くんに投げつけて店を飛び出した。