ep.28 ふたりの場所。/ izw
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バレンタインにいい思い出がない。
例えば、中学生の時は憧れの先輩に勇気をだしてチョコを渡したけど、お返しはおろかありがとうすらもらえなかった。
例えば、高校生の時は半強制的に片思いのクラスメイトに告白をさせられたけど、結果はあっさりダメで笑いものにされた。
例えば、大学4年生の時なんて思い出したくもない。
バレンタインは自分が傷つく日だというイメージがついたのはこの時だったかもしれない。
・
大学から歩いて10分ほどのところにあるカフェ。
2人がけの席が3席しかないここは完全に穴場スポット。
少し暗い照明も、お店にピッタリな雰囲気の音楽もなんだか落ち着いた。
課題をやるのもここ。
本を読むのもここ。
空きコマを埋めるのもここ。
たまに近所のおじいちゃんがコーヒーを飲んでるくらいで人は滅多に来ない。
私だけのお気に入りの場所だった。
「へぇ、こんなところあったんだ」
「拓司くん絶対気に入ってくれると思って」
「ちゃんとした秘密基地じゃん」
「なんだと思ってたの」
「小学生がここ秘密基地なー!っていう空き地に連れていかれるかと」
「失礼な」
入口から1番近い席が私の指定席。
いつものように席についてホットコーヒーをお願いすると、店内をキョロキョロと見渡していた拓司くんも「俺も同じの」と言って私の向かいに腰掛けた。
ある日彼氏である拓司くんが、なんか落ち着いて勉強できる場所ねぇかなぁと言っているのを聞いて、友達にも話したことがなかったこの場所を共有したいと思った。
その時に、私の秘密基地教えてあげるなんて言ってしまったから拓司くんはよからぬ想像をしていたみたい。
「麗結ならやりかねないでしょ」
「それでも拓司くんは喜んでくれそう」
「まあたしかに大学4年にもなって見つける山奥とかの秘密基地には興味あるよ」
「探しに行かないでよ」
「行かないよ」
だって麗結が来れないじゃん虫嫌いだし、彼がそう言った時注文したコーヒーが届いた。
自分は愛情を伝えるのが苦手だという拓司くんはきっと気づいてなかった。
君が無意識に放つその言葉にいつも頬が緩むのを阻止するのが必死だったこと。
言葉が不器用でも行動で愛を伝えてくれていたこと。
「ミルク2つ入れるでしょ」
私が最後の恋にしたいと思った人だった。
例えば、中学生の時は憧れの先輩に勇気をだしてチョコを渡したけど、お返しはおろかありがとうすらもらえなかった。
例えば、高校生の時は半強制的に片思いのクラスメイトに告白をさせられたけど、結果はあっさりダメで笑いものにされた。
例えば、大学4年生の時なんて思い出したくもない。
バレンタインは自分が傷つく日だというイメージがついたのはこの時だったかもしれない。
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大学から歩いて10分ほどのところにあるカフェ。
2人がけの席が3席しかないここは完全に穴場スポット。
少し暗い照明も、お店にピッタリな雰囲気の音楽もなんだか落ち着いた。
課題をやるのもここ。
本を読むのもここ。
空きコマを埋めるのもここ。
たまに近所のおじいちゃんがコーヒーを飲んでるくらいで人は滅多に来ない。
私だけのお気に入りの場所だった。
「へぇ、こんなところあったんだ」
「拓司くん絶対気に入ってくれると思って」
「ちゃんとした秘密基地じゃん」
「なんだと思ってたの」
「小学生がここ秘密基地なー!っていう空き地に連れていかれるかと」
「失礼な」
入口から1番近い席が私の指定席。
いつものように席についてホットコーヒーをお願いすると、店内をキョロキョロと見渡していた拓司くんも「俺も同じの」と言って私の向かいに腰掛けた。
ある日彼氏である拓司くんが、なんか落ち着いて勉強できる場所ねぇかなぁと言っているのを聞いて、友達にも話したことがなかったこの場所を共有したいと思った。
その時に、私の秘密基地教えてあげるなんて言ってしまったから拓司くんはよからぬ想像をしていたみたい。
「麗結ならやりかねないでしょ」
「それでも拓司くんは喜んでくれそう」
「まあたしかに大学4年にもなって見つける山奥とかの秘密基地には興味あるよ」
「探しに行かないでよ」
「行かないよ」
だって麗結が来れないじゃん虫嫌いだし、彼がそう言った時注文したコーヒーが届いた。
自分は愛情を伝えるのが苦手だという拓司くんはきっと気づいてなかった。
君が無意識に放つその言葉にいつも頬が緩むのを阻止するのが必死だったこと。
言葉が不器用でも行動で愛を伝えてくれていたこと。
「ミルク2つ入れるでしょ」
私が最後の恋にしたいと思った人だった。