永遠

 「貴方の死に顔ももう見飽きた。」
そう言われない幸せを分かってくれないのが残念だわ。どうせこんな終わり方をする世界なのだから、貴方に手を下すのは私の方が良いでしょう?もう何万回も繰り返されて擦り切れた世界なのに、貴方の顔は色褪せることなく美しい。これは私にとっての小休憩なのよ。
 いつここを離れても良いのだけれど、私は貴方を気に入ったの。仕様がないわ。こういう終わり方をするのはなんら珍しいことではないけれどね。この世界がここまで真っ直ぐにこんな所まで落ちるのは貴方がいなければ成しえなかったことなのよ。
 それなのに、貴方の本質はこんな純白なの!貴方は一体何を考えているのかしら?素敵な人ね。
 貴方が「希望」と言ってうるさかったあの子も貴方のおかげであんな有様になってしまったし。
 貴方がこんな宴を開いていなければ、あの子もあんな姿で存在しなくて済んだのに。
 貴方がきっと前を向いていれば私達もっと正しく再会できた筈なのよ。
 わかってるわ。同じ話をずっとし続ける私だっておかしいの。小休憩なんてものじゃない。悪足掻きなのよ。
 本当は貴方を逃がしたかった。生き延びたとてその後の救いなんてないだろうけど、それでも貴方に死んでほしくなかった。でも、「本当の神様」の目を逃れることは出来ないから。
 私の方が良い、なんてものじゃない。貴方の死は貴方のせいに他ならないけれど、だからといって私以外の誰かが貴方を殺すなんて許さないわ。
 ねえ、聞こえてる?アリスはここにいるわ。貴方を見飽きることなんてない。もういいの。この魂から貴方の全てが抜け去るまで、生きている貴方の姿を目に映していたいの。
 兄様、約束通り、ずうっとそばにいてね。
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