『(平和だな…)』

波とおいかけっこをするオンバットを眺めながらそう思った…矢先だった

「ふきゅう！」

『あ！オンバット！』

急に高くなった波にのまれ、オンバットはびしょ濡れになった

『大丈夫？』

「きゅう…」

オンバットを拾いあげると、波でぐっしょりと濡れていた

『あー…タオル置いてきちゃった…』

今日は１日観光する予定だったため、最低限の荷物しか持ち歩いていない

『ハンカチ…』

ごそごそとポケットを探していたときだった

目の前が少し影で暗くなった



「よろしかったらどうぞ」



『え？あ、』

後ろから声がして、振り替えるとそこには、背の高い男がタオルを差し出していた

「このままだと貴女も濡れてしまいます」

背の高い男はそう言いタオルをトワの手に乗せる

『すみません…ありがとうございます』

トワは素直にタオルを受け取りオンバットを拭く

『大丈夫？目に塩水入らなかった？』

タオルで優しく水分を拭き取りながらそう聞くとオンバットはこくこくと頷く

「ずいぶんとなついていますね」

『そう言ってもらえると嬉しいです』

「私はフラダリと言います。貴女は？」

『あ、トワって言います』

トワはフラダリと名乗った男と向き合う

「……カロス出身ではないですね」

『やっぱり分かります？』

「イントネーションが少し違う」

『シンオウ地方から来たんです』

そう答えるとフラダリは驚いた表情を見せた

「随分と遠くから来たんですね」

『ようやくカロスの雰囲気にも慣れたところです』

トワは恥ずかしそうに答える

「そうだったんですか…シンオウからは観光ですか？それとも…こちらのリーグ挑戦に？」

『リーグ挑戦はまだ未定ですけど、観光をしつつ、ジムバッジを集めています』

「成る程……あぁ、こんな日差しの下話させて申し訳ない」

『え！いえいえ！慣れてますので！』

「よろしかったらマスタータワーの中を案内しますよ」