ミアレのジムは異様な高揚に包まれていた
今日は月に何度かある、バトルの生中継なのだ

『(なんで、わたしのときなの…)』

辺りはたくさんの撮影クルー
そしてバトルフィールドとジムリーダー、そして挑戦者を映し出すカメラ
今、トワの姿はカロス中に中継されていた

『さあ、とどめを刺すよ。フライゴン、じしん！』

割れた地面に巻き込まれたミアレのジムリーダー、シトロンの手持ちのレアコイルの目は渦を巻いていた

「レアコイル戦闘不能！フライゴンの勝ち！」

『よし…』

「トワさん強いですね」

『でんきタイプ対策はばっちりですから』

脳裏にはなぜかシンオウのジムリーダーのデンジが浮かんだ

「さぁ、最後まで気を抜かないでいきますよ！いけ、エレザード！」

光と共にシトロンの最後のポケモンが出てきた

『エレザード…初めて見た』

トワは後で図鑑に登録させてもらおうと思いながら、フィールドに立つフライゴンに目をやった

『フライゴンさん、交代する？三連戦出来る？』

トワの問いにフライゴンは任せろ、とばかりに尾を揺らした

『じゃあ三連戦お願いします。勝ったらたくさん貴方の好きなポフィンあげる』

その言葉にやる気を出したフライゴンは気合いを入れて飛び立った

「そのままフライゴンでいくんですね」

『はい。三連勝いただきます』

トワは楽しそうに答えた
フライゴンの期待に答える指示を出したいと、心から思う

『フライゴン、ドラゴンクロー』

フライゴンは勢いよく飛び出した

「エレザード、くさむすび」

『！』

フライゴンは勢いよく転がるように倒れる
先ほど使ったじしんの影響もあり、フィールドは凸凹が激しく尖った地面がフライゴンに容赦なく突き刺さった

『じめん対策…………フライゴン、大丈夫？』

フライゴンは勢いよく地面から立ち上がり、宙に舞った

『よし、いくよ。ストーンエッジ』

鋭い岩が容赦なくエレザードを襲う

「エレザード、でんこうせっか！」

『ドラゴンクローで受け止めて！』

二匹のポケモンの熱い衝突が何度も繰り広げられる
不安定な足元でお互いによく動けるな、と見ている人たちは思っただろう

「！」

『チャンス、もらった！』

じしんで割れたフィールドにエレザードの足が挟まった
それをトワが見逃さない訳がない

『もう一度、じしん！』

地鳴りと共に、フィールドがもう一度ぐらつき、亀裂が入った
土煙がひくと、そこには目を回したエレザードの姿

「エレザード戦闘不能。よって、挑戦者トワ！」

ジム内は拍手に包まれた

『三連戦お疲れ様です、フライゴン』