act#49

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城の掃除と死者の弔いが済み、ようやく城内は落ち着きをみせていた
アリアスも宛てがわれた部屋を片付け窓から外を見ていた
崖にそびえ立つだけあり眼下には永遠に地平線が広がり白い砂漠と紺碧の夜空がより一層の美しさを見せていた

「お疲れはとれましたか」

共に部屋の片付けをし、新たに地図や書類を広げていたカーラーンが聞く

『あぁ』

アリアスは短く返事をした

「しばらくはここを拠点と致します。少し遠いですが小さな街もあるようですから生活に不便をきたすことはないでしょう」

『そうか』

「………何を考えておいでですか」

カーラーンはアリアスの隣りに立った

『…こうやって美しく景色を見ていると今戦の最中だとはとても思えぬな』

黙って地平線を見つめる姿をカーラーンは静かに横目で見る

「そうですね。ずっと前から当たり前のように貴女とこの景色を見ていたようです」

『…今頃王太子も同じ景色を見ているのだろうか』

「えぇ、きっと」

決して交わることのない2人はまるで目の前に広がる砂漠と夜空のようだとアリアスは思った

『王太子は空だな』

「何故ですか」

『今は暗くとも必ず明けるから』

輝く星たちも王太子を導くものにも見える

「自分は砂漠だと言いたいのですか」

『もうわたしからは何も生まれぬからな』

自分の代でこのパルス王家の血を終わらせると決めたのだ
もう何も生まれるものなどない
ただ朽ちるのをひたすらに待つのみなのだ

「…私には貴女は砂漠に根を張るまだ花も開かぬ小さな蕾のように思います」

『何故?』

「必死に根を張り少ない水分を得て花を咲かせようとする姿は、自分の目的を果たすために必死な貴女に似ています」

枯れぬように必死に生きる姿は儚くも、強く目的のために生きるアリアスを連想させる

『蕾か……わたしははたして咲き、散ることができるであろうか』

「できます。そのために私どもがいるのですぞ」

カーラーンは胸元に手を当てて答える

咲くことを妨げる害虫が現れたら全てなぎ払うし、目的のために必要な知力だっていくらでも貸す
全てはアリアスが目的を果たし散るためだ

『カーラーンは随分と詩的だな』

「私は自分の思ったことを言葉にしただけです」

『…そうか』

からかったつもりなのに大真面目に返されるのでアリアスの方が照れてしまった
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