act#48
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城門が開かれ、パルス人部隊と煙に追われたルシタニア人は外へ転げだした
二重の暑い扉の外には、パルスの強烈な太陽が輝いている
暗く煙の渦巻く城内から出ると、目がくらんで、すぐには見えない
あとからあとから、ルシタニア人たちは城外へと押し出された
整列し陣形を整えるように命令がとんだが、うまくいかない
「射よ!」
サームの命令が響いた
別部隊を指揮していた彼はら城の出入口に、最初から標準を合わせ、弓箭隊を待機させていた
城外へ駆け出した聖堂騎士団員たちは、振りそそぐ矢の雨の下で、次々め倒れていく
それでも彼らの勇気はおとろえることなく、剣をかざし、陣形目掛けて押し寄せる
サームの戦法は巧妙で、一時的に矢を射るのをやめさせ、兵を後退させた
聖堂騎士団たちの勢いに負けたように見えた
ルシタニア人たちが前進すると、それに応じて後退する
それを繰り返すうちに、ルシタニア人たちの陣列は長く伸びた
しかもそこは、何ひとつ遮蔽物のない平地である
さらに城内でアリアスたちと戦闘し、甲冑を着たまま
体力も底をつきはじめて、立ち止まりかけた
そこへ、逃げ崩れていたパルス兵が、一斉に足を止めて、立ち止まりかけた聖堂騎士団にむけて、ふたたび矢の雨をあびせる
最初の斉射で百人以上が地に倒され、他の者は慌てて盾をかざした
そこへサームを先頭とした騎兵の隊列が、横あいから突きかかった
矢の雨をふせぐために頭上に盾をかざしているため、胴体は横からの攻撃に対してがら空きである
そこに槍や剣を突きこまれ、何人もの聖堂騎士団たちの血が散らばった
ついに信仰心も勇気も底をついた
陣形は完全に崩れ、ルシタニア人たちは逃げ散った
****
ザーブル城は陥落し、城頭にかかげられていた神旗は引きずり落とされた
捕虜たちのうち、聖堂騎士団の主だった者は、アリアスの前に引き出された
傷ついていて血も流れたまま、革紐で縛りあげられた彼らに、アリアスは問いかけた
『ボダンはどうした?あの半狂人の坊主はどこに隠れている』
ボダンは生かして捕らえて、目の前の騎士団員たちのように革紐で縛りあげ、王都エクバターナにいる王弟ギスカールに引き渡すつもりだった
引き渡せばよろこんでボダンを処刑するだろう
だが、百四十人にものぼる聖堂騎士団員たちは、口を割ろうとしなかった
実際にボダンの行方をしらなかったからでもあるが、知っていても告げはしなかっただろう
「イアルダボート神は、われらが信徒としての忠誠心をお試しになっておられる。大司教を裏切ることはできぬ」
『…お前たちの神は、試さないことには、信徒の忠誠心をたしかめることもできぬのか』
アリアスが冷笑すると、その騎士は、両眼に狂熱的な輝きを見せた
そして縛られたまま、酔ったように、目に見えぬ者に語りかけた
「神よ、われらの罪をお赦し下さい。神に背く異教徒どもを地上より根絶やしにし、この世を神の王国となすために戦う、それがわれたの務めでありますのに、無能非才のわれら、邪悪なる異教徒どもに敗れ去ってしまいました。せめてこの上は、わが生命に代えましても、ひとりでもよけいに、異教徒の数を減らしてごらんにいれます。天なる神よ、ご照覧あれ!」
二重の暑い扉の外には、パルスの強烈な太陽が輝いている
暗く煙の渦巻く城内から出ると、目がくらんで、すぐには見えない
あとからあとから、ルシタニア人たちは城外へと押し出された
整列し陣形を整えるように命令がとんだが、うまくいかない
「射よ!」
サームの命令が響いた
別部隊を指揮していた彼はら城の出入口に、最初から標準を合わせ、弓箭隊を待機させていた
城外へ駆け出した聖堂騎士団員たちは、振りそそぐ矢の雨の下で、次々め倒れていく
それでも彼らの勇気はおとろえることなく、剣をかざし、陣形目掛けて押し寄せる
サームの戦法は巧妙で、一時的に矢を射るのをやめさせ、兵を後退させた
聖堂騎士団たちの勢いに負けたように見えた
ルシタニア人たちが前進すると、それに応じて後退する
それを繰り返すうちに、ルシタニア人たちの陣列は長く伸びた
しかもそこは、何ひとつ遮蔽物のない平地である
さらに城内でアリアスたちと戦闘し、甲冑を着たまま
体力も底をつきはじめて、立ち止まりかけた
そこへ、逃げ崩れていたパルス兵が、一斉に足を止めて、立ち止まりかけた聖堂騎士団にむけて、ふたたび矢の雨をあびせる
最初の斉射で百人以上が地に倒され、他の者は慌てて盾をかざした
そこへサームを先頭とした騎兵の隊列が、横あいから突きかかった
矢の雨をふせぐために頭上に盾をかざしているため、胴体は横からの攻撃に対してがら空きである
そこに槍や剣を突きこまれ、何人もの聖堂騎士団たちの血が散らばった
ついに信仰心も勇気も底をついた
陣形は完全に崩れ、ルシタニア人たちは逃げ散った
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ザーブル城は陥落し、城頭にかかげられていた神旗は引きずり落とされた
捕虜たちのうち、聖堂騎士団の主だった者は、アリアスの前に引き出された
傷ついていて血も流れたまま、革紐で縛りあげられた彼らに、アリアスは問いかけた
『ボダンはどうした?あの半狂人の坊主はどこに隠れている』
ボダンは生かして捕らえて、目の前の騎士団員たちのように革紐で縛りあげ、王都エクバターナにいる王弟ギスカールに引き渡すつもりだった
引き渡せばよろこんでボダンを処刑するだろう
だが、百四十人にものぼる聖堂騎士団員たちは、口を割ろうとしなかった
実際にボダンの行方をしらなかったからでもあるが、知っていても告げはしなかっただろう
「イアルダボート神は、われらが信徒としての忠誠心をお試しになっておられる。大司教を裏切ることはできぬ」
『…お前たちの神は、試さないことには、信徒の忠誠心をたしかめることもできぬのか』
アリアスが冷笑すると、その騎士は、両眼に狂熱的な輝きを見せた
そして縛られたまま、酔ったように、目に見えぬ者に語りかけた
「神よ、われらの罪をお赦し下さい。神に背く異教徒どもを地上より根絶やしにし、この世を神の王国となすために戦う、それがわれたの務めでありますのに、無能非才のわれら、邪悪なる異教徒どもに敗れ去ってしまいました。せめてこの上は、わが生命に代えましても、ひとりでもよけいに、異教徒の数を減らしてごらんにいれます。天なる神よ、ご照覧あれ!」