act#43
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サームはわずかに二十騎ほどの騎兵をつれて、男がいるという洞窟を訪ねていた
洞窟の奥へと近づくにしたがい、中から歌声が聞こえてくる
歌はなんとかうまいと言える程度のものだが、声量は見事だった
「他人の歌をただで聴こうという不埒者は誰だ?」
「クバード、半年ぶりだな。芸のない挨拶だが、元気そうで何よりだ」
「……ほう、サームか」
洞窟の入口に姿を表した片目の偉丈夫は、白い歯をむき出しにして笑った
やはり、サームとカーラーンが予想していた通り、パルスの万騎長クバードだった
サームは騎兵たちを待たせておいて、洞窟の中へと入った
馬にはすでに鞍がおかれており、出発寸前であったらしい
クバードは丸めてあったカーペットを広げ、麦酒(フカー)の壺を取り出した
「まあ、座ってくれ。おぬしが生きていたとら、正直、思わなんだ。とすると、生きているやつらも、けっこう大分かもしれんな。おぬしと一緒にエクバターナを守っていたガルシャースフはどうした?」
「ガルシャースフは、勇敢に戦って死んだ。生き延びてしまった俺とは、大きな違いだ」
自嘲まじりにサームが答えると、クバードは麦酒の壺を手にして笑った
「おぬしがどう思うかは勝手だが、俺は生き恥さらしているという気分はないな。アトロパテネで生き残ったからこそ、酒も飲める、女も抱ける、気に入らないルシタニアのあほうどもをぶった斬ることもできるのだからな」
サームに麦酒をみたした杯を置き、自分は直接、壺に口をつけて飲みはじめた
「…どうだ、クバード、俺はある御方につかえているのだが、共につかえぬか」
「そう言ってくれるのはありがたいのだがな……」
「いやか」
「他人につかえるのは、正直なところ、もう飽きた」
クバードの言うことがサームには、わからないてない
宮廷嫌いは、誰かを連想させた
「だからといって、おぬしほどの勇者が、やることもなく荒野をほっつき歩いているというのも、もったいない話ではないか」
「これはこれで、気楽ではあるのだがな。それよりサームよ、おぬしこそいま誰につかえているのだ。王都エクバターナが陥落したあと、国王も王妃も行方不明になられたそうだが」
そう問われて、サームは少し間をあけて答えた
「アリアス様だ」
「アリアス……?」
その名を聞いて、クバードは首をかしげた
わずかにだが、眉をひそめる
「アリアスというのは、あのアリアス王女か」
「そうだ。あのアリアス様に、いま俺はおつかえしている。カーラーンもアリアス様におつかえしている」
「カーラーン?あの裏切り者もまだ生きていたのか」
クバードは裏切り者のカーラーンがまだ生きていて、しかも亡くなったと思われていた王女につかえていたことに驚いた
洞窟の奥へと近づくにしたがい、中から歌声が聞こえてくる
歌はなんとかうまいと言える程度のものだが、声量は見事だった
「他人の歌をただで聴こうという不埒者は誰だ?」
「クバード、半年ぶりだな。芸のない挨拶だが、元気そうで何よりだ」
「……ほう、サームか」
洞窟の入口に姿を表した片目の偉丈夫は、白い歯をむき出しにして笑った
やはり、サームとカーラーンが予想していた通り、パルスの万騎長クバードだった
サームは騎兵たちを待たせておいて、洞窟の中へと入った
馬にはすでに鞍がおかれており、出発寸前であったらしい
クバードは丸めてあったカーペットを広げ、麦酒(フカー)の壺を取り出した
「まあ、座ってくれ。おぬしが生きていたとら、正直、思わなんだ。とすると、生きているやつらも、けっこう大分かもしれんな。おぬしと一緒にエクバターナを守っていたガルシャースフはどうした?」
「ガルシャースフは、勇敢に戦って死んだ。生き延びてしまった俺とは、大きな違いだ」
自嘲まじりにサームが答えると、クバードは麦酒の壺を手にして笑った
「おぬしがどう思うかは勝手だが、俺は生き恥さらしているという気分はないな。アトロパテネで生き残ったからこそ、酒も飲める、女も抱ける、気に入らないルシタニアのあほうどもをぶった斬ることもできるのだからな」
サームに麦酒をみたした杯を置き、自分は直接、壺に口をつけて飲みはじめた
「…どうだ、クバード、俺はある御方につかえているのだが、共につかえぬか」
「そう言ってくれるのはありがたいのだがな……」
「いやか」
「他人につかえるのは、正直なところ、もう飽きた」
クバードの言うことがサームには、わからないてない
宮廷嫌いは、誰かを連想させた
「だからといって、おぬしほどの勇者が、やることもなく荒野をほっつき歩いているというのも、もったいない話ではないか」
「これはこれで、気楽ではあるのだがな。それよりサームよ、おぬしこそいま誰につかえているのだ。王都エクバターナが陥落したあと、国王も王妃も行方不明になられたそうだが」
そう問われて、サームは少し間をあけて答えた
「アリアス様だ」
「アリアス……?」
その名を聞いて、クバードは首をかしげた
わずかにだが、眉をひそめる
「アリアスというのは、あのアリアス王女か」
「そうだ。あのアリアス様に、いま俺はおつかえしている。カーラーンもアリアス様におつかえしている」
「カーラーン?あの裏切り者もまだ生きていたのか」
クバードは裏切り者のカーラーンがまだ生きていて、しかも亡くなったと思われていた王女につかえていたことに驚いた