act#42
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春が迫る頃、アリアスが率いる、パルス人だけの軍隊は王都を進発した
その兵力は騎兵九千二百、歩兵二万五千四百の他に、糧食を輸送する人夫の一隊がつく
騎兵のほとんどはカーラーンとサームの部下が殆どだった
まさか、三万以上の兵が集まるとはギスカールも思っておらず、わすかに不安を覚えながら、アリアスらの出発を見送った
王都を発して五日、ちょうどザーブル城への道半ばに達したころ、アリアスらは沿道の住民からある噂を聞いた
聖堂騎士団のなかで、イアルダボート教に改宗した旅商人の一団を襲って、殺人と略奪を行った、素行の悪い男たちが、ザーブル城を追放された
追放された十五人ばかりの男たちは、大陸公路に近い山間にて、盗賊と化して、悪行のかぎりをつくしているというのだった
ザーブル城に行く道のりの途中にあるのなら、その盗賊どもを討ちましょう、とザンデが主張し、アリアスもそれに頷いた
ところが軍を進め続けると、噂の内容が変化した
十五人のルシタニア人の盗賊団は、つい先日あらわらた、たったひとりの旅人のために、全員斬殺されてしまったという
サームに話をした農民は、すっかり興奮していた
「いや、あんなに強い男は見たことがございません」
「それほど強いか」
「強いも何も、あんなに強い人間が、この世にいるとは思いませんでした。一人で十五人を殺し、自分はかすり傷ひとつ負わないのでございますから」
こうまで言われると、サームも興味をもった
「どんな男だ」
聞けば、年齢は三十をすぎたくらい
筋骨たくましい長身の男で、左目がつぶれているという
「(まさかな…)」
サームの頭には一人の男が、浮かび上がった
それはさらに話を聞き、確信に近づく
なんでも、甲冑はまとっていないが、褐色の馬に乗り、緑色の鞘におさめた大剣を腰に下げていた、と
男はルシタニア人の盗賊の被害を受けている村を、助けてやるから礼として、酒と女をよこせ、といい一人で盗賊の宿営地に出かけていき、翌日、馬と共に、大きな麻袋に盗賊の生首を入れてやってきた、と
「────なぁ、どう思う?カーラーン」
サームは、農民たちに礼を少し与え、今の話をカーラーンにも伝える
「どうもなにも奴しかおらんだろう」
二人の万騎長の脳裏には、同じ人物が浮かび上がっていた
隻眼で大剣を奮い、酒と女を望む男は一人しかいない
「農民の話によれば、近くの洞窟で馬を見かけたらしいから、まだいるやもしれぬ」
その兵力は騎兵九千二百、歩兵二万五千四百の他に、糧食を輸送する人夫の一隊がつく
騎兵のほとんどはカーラーンとサームの部下が殆どだった
まさか、三万以上の兵が集まるとはギスカールも思っておらず、わすかに不安を覚えながら、アリアスらの出発を見送った
王都を発して五日、ちょうどザーブル城への道半ばに達したころ、アリアスらは沿道の住民からある噂を聞いた
聖堂騎士団のなかで、イアルダボート教に改宗した旅商人の一団を襲って、殺人と略奪を行った、素行の悪い男たちが、ザーブル城を追放された
追放された十五人ばかりの男たちは、大陸公路に近い山間にて、盗賊と化して、悪行のかぎりをつくしているというのだった
ザーブル城に行く道のりの途中にあるのなら、その盗賊どもを討ちましょう、とザンデが主張し、アリアスもそれに頷いた
ところが軍を進め続けると、噂の内容が変化した
十五人のルシタニア人の盗賊団は、つい先日あらわらた、たったひとりの旅人のために、全員斬殺されてしまったという
サームに話をした農民は、すっかり興奮していた
「いや、あんなに強い男は見たことがございません」
「それほど強いか」
「強いも何も、あんなに強い人間が、この世にいるとは思いませんでした。一人で十五人を殺し、自分はかすり傷ひとつ負わないのでございますから」
こうまで言われると、サームも興味をもった
「どんな男だ」
聞けば、年齢は三十をすぎたくらい
筋骨たくましい長身の男で、左目がつぶれているという
「(まさかな…)」
サームの頭には一人の男が、浮かび上がった
それはさらに話を聞き、確信に近づく
なんでも、甲冑はまとっていないが、褐色の馬に乗り、緑色の鞘におさめた大剣を腰に下げていた、と
男はルシタニア人の盗賊の被害を受けている村を、助けてやるから礼として、酒と女をよこせ、といい一人で盗賊の宿営地に出かけていき、翌日、馬と共に、大きな麻袋に盗賊の生首を入れてやってきた、と
「────なぁ、どう思う?カーラーン」
サームは、農民たちに礼を少し与え、今の話をカーラーンにも伝える
「どうもなにも奴しかおらんだろう」
二人の万騎長の脳裏には、同じ人物が浮かび上がっていた
隻眼で大剣を奮い、酒と女を望む男は一人しかいない
「農民の話によれば、近くの洞窟で馬を見かけたらしいから、まだいるやもしれぬ」