act#41
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「ほう、そうか、やってくれるのか」
アリアスが、ザーブル城攻略の依頼を承知したとき、ギスカールは喜びつつも、意外さを隠しきれなかった
銀仮面が、そう簡単に引き受けると思っていなかったのだから
『むろん、武器と糧食は、充分にそろえていただきます。それと、ルシタニア正規軍の兵力をさいていただくわけにはいきませぬゆえ、こちらでパルス人の兵士を徴募させていただぎすが、よろしいですな?』
アリアスは出された紅茶を飲みながら聞く
その声には有無を言わせぬ威圧があった
先ほどサームが言っていた、神旗の件も指しているようだ
「よかろう、おぬしには神旗の件もあるからな」
ギスカールは、充分な準備と報酬を約束した
『さすが王弟殿下。よくわかっていらっしゃる』
仮面越しに不敵な笑みを見せ、ギスカールに目をやる
ギスカールはその姿に、思わずどきり、とした
「……銀仮面卿、」
『では、俺はこれで』
アリアスはギスカールに、詮索される前に紅茶を飲み干し、部屋を後にした
このとき、ギスカールに忠告めいた口をきいた者がいる
「王弟殿下、聖堂騎士団がほしいままにふるまって、ルシタニアの国威をそこねているのは事実ですが、それを討つのに異教徒たるパルス人を使ってもよいものでしょうか。奴らの矛先がいつこちらへ向かってくるやら、わかりませぬぞ」
宮廷書記官のオルガスという男だった
「おぬしの不安はもっともだが、いまは一兵も惜しい時期だ。各地からの報告をあわせて考えると、いよいよパルス人どもが大挙して、エクバターナに攻めのぼろうとしているらしい」
「それは一大事でございますな」
「どうせ、銀仮面め、やつにもよからぬ、目算があるにちがいないが、さしあたりザーブル城にたてこもるあほうどもと戦ってくれるのだ。戦えば、損害も受けよう。せいぜい気持ちよく戦ってもらおうではないか」
納得したオルガスは、今さらのように声をひそめ、別の疑問を口にした
「それにしてもあの銀仮面の男、正体は何者でございましょう」
「……分からぬ。おそらく、パルスの王族関係者だとは思うが…」
「ま、まことでございますか!?」
「さあな」
ギスカールは、そもそもあの銀仮面が男なのかに疑問を抱いていた
あの手の細身の男など、世の中にはたくさんいるのに、それでも疑問を抱いていた
カーラーンの忠誠心を見れば、銀仮面がパルスの王族関係者であることは分かる
それもかなり地位のある者だと
加えて最近では、サームとかいう万騎長まで増えたのだ
あの男はあの男でまた、カーラーンとは違う雰囲気で銀仮面と接している
忠誠とはまた別の感情のようなもの
「(まさか、な……)」
ギスカールは、一度、アリアスの借りている屋敷を訪れた際に、あの銀仮面ではなく、顔の右半分を眼帯のようなもので覆っている姿を見たことがあった
初めて見た左半分の素顔は白く、秀麗な顔立ちで、見た者を釘付けにする雰囲気をまとっていた
思わず目で追うほどに
その際に、ギスカールはサームと目が合ってしまい、睨みつけられたのだ
あれはまるで、これ以上は見るな、と言わんばかりの視線だった
「(これでは、兄者のことも言えぬではないか……)」
ギスカールは、胸の内でそうごちて仕事に戻った
~END~
(知りたい素顔)
アリアスが、ザーブル城攻略の依頼を承知したとき、ギスカールは喜びつつも、意外さを隠しきれなかった
銀仮面が、そう簡単に引き受けると思っていなかったのだから
『むろん、武器と糧食は、充分にそろえていただきます。それと、ルシタニア正規軍の兵力をさいていただくわけにはいきませぬゆえ、こちらでパルス人の兵士を徴募させていただぎすが、よろしいですな?』
アリアスは出された紅茶を飲みながら聞く
その声には有無を言わせぬ威圧があった
先ほどサームが言っていた、神旗の件も指しているようだ
「よかろう、おぬしには神旗の件もあるからな」
ギスカールは、充分な準備と報酬を約束した
『さすが王弟殿下。よくわかっていらっしゃる』
仮面越しに不敵な笑みを見せ、ギスカールに目をやる
ギスカールはその姿に、思わずどきり、とした
「……銀仮面卿、」
『では、俺はこれで』
アリアスはギスカールに、詮索される前に紅茶を飲み干し、部屋を後にした
このとき、ギスカールに忠告めいた口をきいた者がいる
「王弟殿下、聖堂騎士団がほしいままにふるまって、ルシタニアの国威をそこねているのは事実ですが、それを討つのに異教徒たるパルス人を使ってもよいものでしょうか。奴らの矛先がいつこちらへ向かってくるやら、わかりませぬぞ」
宮廷書記官のオルガスという男だった
「おぬしの不安はもっともだが、いまは一兵も惜しい時期だ。各地からの報告をあわせて考えると、いよいよパルス人どもが大挙して、エクバターナに攻めのぼろうとしているらしい」
「それは一大事でございますな」
「どうせ、銀仮面め、やつにもよからぬ、目算があるにちがいないが、さしあたりザーブル城にたてこもるあほうどもと戦ってくれるのだ。戦えば、損害も受けよう。せいぜい気持ちよく戦ってもらおうではないか」
納得したオルガスは、今さらのように声をひそめ、別の疑問を口にした
「それにしてもあの銀仮面の男、正体は何者でございましょう」
「……分からぬ。おそらく、パルスの王族関係者だとは思うが…」
「ま、まことでございますか!?」
「さあな」
ギスカールは、そもそもあの銀仮面が男なのかに疑問を抱いていた
あの手の細身の男など、世の中にはたくさんいるのに、それでも疑問を抱いていた
カーラーンの忠誠心を見れば、銀仮面がパルスの王族関係者であることは分かる
それもかなり地位のある者だと
加えて最近では、サームとかいう万騎長まで増えたのだ
あの男はあの男でまた、カーラーンとは違う雰囲気で銀仮面と接している
忠誠とはまた別の感情のようなもの
「(まさか、な……)」
ギスカールは、一度、アリアスの借りている屋敷を訪れた際に、あの銀仮面ではなく、顔の右半分を眼帯のようなもので覆っている姿を見たことがあった
初めて見た左半分の素顔は白く、秀麗な顔立ちで、見た者を釘付けにする雰囲気をまとっていた
思わず目で追うほどに
その際に、ギスカールはサームと目が合ってしまい、睨みつけられたのだ
あれはまるで、これ以上は見るな、と言わんばかりの視線だった
「(これでは、兄者のことも言えぬではないか……)」
ギスカールは、胸の内でそうごちて仕事に戻った
~END~
(知りたい素顔)