act#39
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大陸公路は静かだった
耳には、馬蹄の響きのみが聞こえる
人の操る馬に乗るのは、本当に久しぶりだった
頭を過るは、ペシャワール城塞での出来事
恐らく今回の件で、アルスラーン一党に思わぬどよめきを生んだのは確かだ
決して、頭の悪い連中ではない
いずれは自分の本当の正体はばれてしまうだろう
パルスの元王女が自国を戦火に巻き込んだ
それは大きな問題として扱われるだろう
それと同時に、アルスラーンがアンドラゴラスとタハミーネの子ではないかもしれない……という問題まで出てきてしまったのだ
加えて今はシンドゥラ国の侵入…
そちらの方も迎え撃たなくてはならない
シンドゥラの方に意識が向かえば、しばらくは自分の正体に気づくのは遅れるだろう
アリアスのペシャワール城塞侵入は思わぬ問題を次々と引き起こしてしまったのだ
バフマンはどう思っただろう
銀仮面の正体に気付き、かつて剣を教えていた王女が国を異国に売った本人だと知ったとき
王太子殿下に剣を振るったとき
自分の部下たちと剣を交えていたとき
そして、謝罪を聞いたとき────
あの頃、バフマンにあげたかった安泰な老後とはかけ離れていた
恐らくだが、もう二度と会えない気がした
『本当に、馬鹿だな……わたしは』
そう呟くアリアスの瞳からは、一筋の涙がこぼれていた
アリアスはこれ以上、涙をこぼさないように、ザンデの甲冑を掴む
その広い背中は、やけにアリアスを安心させた
まるでアリアスの心の中を知っているように、大きく腕を広げ構えているようだった
『ザンデ』
「はいっ?」
ザンデは返事だけした
『待っててくれて、ありがとう』
そして、心の中で謝罪をする
今だけは、何も言わずに背中を借りることを
~END~
(久しぶりに心が苦しかった)
耳には、馬蹄の響きのみが聞こえる
人の操る馬に乗るのは、本当に久しぶりだった
頭を過るは、ペシャワール城塞での出来事
恐らく今回の件で、アルスラーン一党に思わぬどよめきを生んだのは確かだ
決して、頭の悪い連中ではない
いずれは自分の本当の正体はばれてしまうだろう
パルスの元王女が自国を戦火に巻き込んだ
それは大きな問題として扱われるだろう
それと同時に、アルスラーンがアンドラゴラスとタハミーネの子ではないかもしれない……という問題まで出てきてしまったのだ
加えて今はシンドゥラ国の侵入…
そちらの方も迎え撃たなくてはならない
シンドゥラの方に意識が向かえば、しばらくは自分の正体に気づくのは遅れるだろう
アリアスのペシャワール城塞侵入は思わぬ問題を次々と引き起こしてしまったのだ
バフマンはどう思っただろう
銀仮面の正体に気付き、かつて剣を教えていた王女が国を異国に売った本人だと知ったとき
王太子殿下に剣を振るったとき
自分の部下たちと剣を交えていたとき
そして、謝罪を聞いたとき────
あの頃、バフマンにあげたかった安泰な老後とはかけ離れていた
恐らくだが、もう二度と会えない気がした
『本当に、馬鹿だな……わたしは』
そう呟くアリアスの瞳からは、一筋の涙がこぼれていた
アリアスはこれ以上、涙をこぼさないように、ザンデの甲冑を掴む
その広い背中は、やけにアリアスを安心させた
まるでアリアスの心の中を知っているように、大きく腕を広げ構えているようだった
『ザンデ』
「はいっ?」
ザンデは返事だけした
『待っててくれて、ありがとう』
そして、心の中で謝罪をする
今だけは、何も言わずに背中を借りることを
~END~
(久しぶりに心が苦しかった)