act#38
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「止めてくれ……」
バフマンの呟きは、届かない
姿勢を崩したアリアスを狙い、今度はファランギースの剣が伸びてきて、アリアスの剣と衝突し、一転してギーヴの剣と交叉した
剣と剣のがぶつかり、暗闇の中に火花が散る
火花が消えるより早く、ダリューンの長剣が、アリアスの肩を狙ったが、アリアスはそれを、かわし城壁の外へと身を投げ出した
闇の中、水音が響いた
濠へ落ちたのだ
「逃したか……」
誰かがそう呟いた
一瞬にして、その場はいつもの静けさを取り戻した
しかし、まとう空気は冷たく重い
バフマンの発した言葉はそれほどまで衝撃を与えた
「バフマン殿……先ほどの言葉はどういう意味であろうか」
ダリューンは静かに聞いた
しかしその口調に、バフマンに対する敬意はない
先ほどまでアリアスに剣を向けていた四人は今や、バフマンを取り囲んでいた
「バフマン殿!」
今度はキシュワードが声をあげると、アルスラーンが前に出てきた
「私も知りたい。どういう意味なのだ?バフマン」
アルスラーンの肩を抱いているナルサスの手には、アルスラーンが不安で震えているのが伝わる
「おゆるしくだされ。おゆるしくだされ、殿下。わしは血迷ったことを申しました。自分でもどうしてよいのかわからぬのです…」
バフマンはその場に崩れ、頭を下げた
震えているのはバフマンも同じだった
ナルサスはきつく問い質したかった
ここに来るまでに、二度も会ったあの謎の軍師の正体を
「一大事でこざいます!たった今、シンドゥラの軍勢数万、夜の闇に乗じて、国境を突破しつつあると!」
やって来た兵は新たな問題を掲げていた
キシュワードはため息をつき、双刀を鞘におさめ、迎撃の指示を出すために、階段へ向かう
「バフマン、いずれそのことは話してくれよ」
アルスラーンはそう言い、その場を去った
その声には、今はシンドゥラの侵攻に気を向けて、バフマンの口から真実を聞くことから、目を背けたいようにも見えた
他の者もそれに続き、城壁を去っていく
彼らが去った後には、バフマンだけが1人残っていた
「アリアス様…」
仮面越しに自分に向けて、剣を振るうその顔はあの頃とは全く違うものだった
謝らねばならないのは自分のはずなのに、
「申し訳…ござらぬ…」
そして、こんなときに限って忘れていたことを思い出すのだった
【…わたしはバフマンに長生きして欲しいから大変な役目はあまり引き受けてほしくない。だってバフマンは────】
"わたしの師であり、心の父でもあるのだから"
甦るのは、あの頃の無邪気な笑顔ばかりだった
~END~
(駄目な教え子で)(何も出来ない師で)
(本当にごめんなさい)
バフマンの呟きは、届かない
姿勢を崩したアリアスを狙い、今度はファランギースの剣が伸びてきて、アリアスの剣と衝突し、一転してギーヴの剣と交叉した
剣と剣のがぶつかり、暗闇の中に火花が散る
火花が消えるより早く、ダリューンの長剣が、アリアスの肩を狙ったが、アリアスはそれを、かわし城壁の外へと身を投げ出した
闇の中、水音が響いた
濠へ落ちたのだ
「逃したか……」
誰かがそう呟いた
一瞬にして、その場はいつもの静けさを取り戻した
しかし、まとう空気は冷たく重い
バフマンの発した言葉はそれほどまで衝撃を与えた
「バフマン殿……先ほどの言葉はどういう意味であろうか」
ダリューンは静かに聞いた
しかしその口調に、バフマンに対する敬意はない
先ほどまでアリアスに剣を向けていた四人は今や、バフマンを取り囲んでいた
「バフマン殿!」
今度はキシュワードが声をあげると、アルスラーンが前に出てきた
「私も知りたい。どういう意味なのだ?バフマン」
アルスラーンの肩を抱いているナルサスの手には、アルスラーンが不安で震えているのが伝わる
「おゆるしくだされ。おゆるしくだされ、殿下。わしは血迷ったことを申しました。自分でもどうしてよいのかわからぬのです…」
バフマンはその場に崩れ、頭を下げた
震えているのはバフマンも同じだった
ナルサスはきつく問い質したかった
ここに来るまでに、二度も会ったあの謎の軍師の正体を
「一大事でこざいます!たった今、シンドゥラの軍勢数万、夜の闇に乗じて、国境を突破しつつあると!」
やって来た兵は新たな問題を掲げていた
キシュワードはため息をつき、双刀を鞘におさめ、迎撃の指示を出すために、階段へ向かう
「バフマン、いずれそのことは話してくれよ」
アルスラーンはそう言い、その場を去った
その声には、今はシンドゥラの侵攻に気を向けて、バフマンの口から真実を聞くことから、目を背けたいようにも見えた
他の者もそれに続き、城壁を去っていく
彼らが去った後には、バフマンだけが1人残っていた
「アリアス様…」
仮面越しに自分に向けて、剣を振るうその顔はあの頃とは全く違うものだった
謝らねばならないのは自分のはずなのに、
「申し訳…ござらぬ…」
そして、こんなときに限って忘れていたことを思い出すのだった
【…わたしはバフマンに長生きして欲しいから大変な役目はあまり引き受けてほしくない。だってバフマンは────】
"わたしの師であり、心の父でもあるのだから"
甦るのは、あの頃の無邪気な笑顔ばかりだった
~END~
(駄目な教え子で)(何も出来ない師で)
(本当にごめんなさい)