act#37
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「キシュワード、追う必要はない。追うてはならぬ」
「それは何故でござる、バフマン殿。我らを見て逃げるところを見ると、王太子殿下に敵対する者にちがいござらぬぞ。それに、あの銀仮面…」
キシュワードの言葉は正しい
しかし、バフマンは自分の考えたことをそのまま口にすることは出来なかった
「……いや、わしが思うに、あの仮面の者は囮にちがいない」
バフマンは苦しい弁解をした
「囮…?」
「そうじゃよ。おぬしとわしが、兵を率いて奴を追う。ぺシャワール城は空になってしまう。むろん、すぐに陥落させられるはずもないが、城を包囲されれば、わしらは帰るところがなくなってしまうぞ」
「……なるほど」
キシュワードは頷いたが、その目には不満や疑惑がちらついていた
「城にはアルスラーン殿下がおられる。アンドラゴラス王より城の守りを命じられたわれらが、留守をおろそかにするわけにはいかぬ…そうであろう?キシュワード」
バフマンはそう言い、さっさと馬を走らせた
─────脳裏に浮かぶ、懐かしい思い出を振り払うような荒々しさが伺える
【バフマン!今日こそわたしが勝つから】
【まだまだ私も負けを譲る訳にはいきませぬ】
それでも、溢れる思い出は止まることを知らない
十六年も閉ざしていた暗い闇は決壊した
【バフマン】
【なんでしょうか?】
【皆がわたしが女王になったら、バフマンを大将軍に任命する、と噂があるが、バフマンは大将軍になりたいのか?】
【アリアス様が望むのなら引き受けても構いませぬが…私に勤まるでしょうか】
【…わたしはバフマンに長生きして欲しいから大変な役目はあまり引き受けてほしくない。だってバフマンは────】
バフマンは、あのときの続きだけが、どうしても思い出せないでいた
なんて、自分に伝えたのか
一生、大切にしようと思っていた言葉だったはずなのに
「アリアス王女…」
老将軍の呟きは、馬蹄に掻き消された
~END~
(師弟の再会)
「それは何故でござる、バフマン殿。我らを見て逃げるところを見ると、王太子殿下に敵対する者にちがいござらぬぞ。それに、あの銀仮面…」
キシュワードの言葉は正しい
しかし、バフマンは自分の考えたことをそのまま口にすることは出来なかった
「……いや、わしが思うに、あの仮面の者は囮にちがいない」
バフマンは苦しい弁解をした
「囮…?」
「そうじゃよ。おぬしとわしが、兵を率いて奴を追う。ぺシャワール城は空になってしまう。むろん、すぐに陥落させられるはずもないが、城を包囲されれば、わしらは帰るところがなくなってしまうぞ」
「……なるほど」
キシュワードは頷いたが、その目には不満や疑惑がちらついていた
「城にはアルスラーン殿下がおられる。アンドラゴラス王より城の守りを命じられたわれらが、留守をおろそかにするわけにはいかぬ…そうであろう?キシュワード」
バフマンはそう言い、さっさと馬を走らせた
─────脳裏に浮かぶ、懐かしい思い出を振り払うような荒々しさが伺える
【バフマン!今日こそわたしが勝つから】
【まだまだ私も負けを譲る訳にはいきませぬ】
それでも、溢れる思い出は止まることを知らない
十六年も閉ざしていた暗い闇は決壊した
【バフマン】
【なんでしょうか?】
【皆がわたしが女王になったら、バフマンを大将軍に任命する、と噂があるが、バフマンは大将軍になりたいのか?】
【アリアス様が望むのなら引き受けても構いませぬが…私に勤まるでしょうか】
【…わたしはバフマンに長生きして欲しいから大変な役目はあまり引き受けてほしくない。だってバフマンは────】
バフマンは、あのときの続きだけが、どうしても思い出せないでいた
なんて、自分に伝えたのか
一生、大切にしようと思っていた言葉だったはずなのに
「アリアス王女…」
老将軍の呟きは、馬蹄に掻き消された
~END~
(師弟の再会)