act#36
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「申し訳ございませぬ…」
馬を走らせ、ペシャワールへ向かっているとザンデが謝ってきた
『何故謝るのだ…』
「先ほどのナルサスとかいう軍師と会ったときのことです…俺が先に近くにナルサスがいると、申していれば…」
まさか不意討ちで会うこともなかっただろう
「それにあ奴…何かと銀仮面卿の正体を掴もうと、質問ばかり…」
『探られているのは前から分かっていた…わたしの正体が一体何者なのか…』
もし、本当の正体に気づかれたらどうなるのか…それは全く想像がつかない
そもそも、アリアスと同世代、そしてそれよりも若い世代の人はパルスの王家に王女がいたことを知る者はいるのかすら、詳しくアリアスは知らない
というよりは怖くて、サームやカーラーンから直接聞くのを躊躇った…というのもある
『気づかれたら…そのときだ…』
気づかれたからといって、アリアスの進む道は変わらないのだから
突き進む道は茨の道、ただそれだけ
『さて…ペシャワール城が見えてきたな』
アリアスの眼下には、険しい赤みがかった岩肌の中にペシャワール城塞が見える
幼い頃に何度か、訪れたことのある城塞は昔から何一つ変わらず、パルスの威厳を示すかとのように構えていた
「…一人で乗り込む気ですか」
ザンデは不安そうに聞く
『そのつもりだ』
「危険過ぎます。いくら貴女が強くてもあまりにも無謀かと…二人の万騎長とその部下…それからアルスラーン一党を相手にするということなのですよ」
先ほど揃って、ペシャワール城塞へ雪崩れるように入城したのだ
『無謀なのは分かっている…それでも行かねば…』
「銀仮面卿…」
『一人…どうしても会わねばならぬ人がいるのだ』
「会わねばならぬ人…?」
『あぁ、本当なら一番最初に会って謝らねばならぬ人だ…』
甦るのは、平穏だったあの頃の記憶
【バフマン!今日もよろしく頼む】
【今日も気合い十分でよろしいですぞ】
女王になるために、自らと民を守れる人になるために、武芸とたくさんの教養を叩き込んでくれた万騎長バフマン
父であるオスロエスが病床についてからは、父のように接してくれたあの人に謝りたかった
『わたしがこうして生きて剣を振ることができるのもその人の教えがあったからだ』
その人は今、どんな気持ちでペシャワールにいるのだろう
恐らくは、パルスにルシタニア軍を送り込んだ自分のことはただの得体のしれない軍師として耳に入っているだろう
それでも構わなかった
生きている顔を見て、一言謝罪の言葉を申せればそれでいい
この機会を逃せば、二度と会えない気がした
「銀仮面卿がそこまで仰るのでしたら俺は止めませぬ」
『ザンデ…』
「しかしちゃんと戻って来てくだされ。近くで待ってますから」
ザンデは真剣な眼差しをアリアスに向けた
『あぁ、必ず戻る』
アリアスも力強く頷き、馬を走らせた
その姿をザンデはしっかりと見送った
あそこまでアリアスを動かすことのできる人を羨みながら
~END~
(素直に羨ましかった)
馬を走らせ、ペシャワールへ向かっているとザンデが謝ってきた
『何故謝るのだ…』
「先ほどのナルサスとかいう軍師と会ったときのことです…俺が先に近くにナルサスがいると、申していれば…」
まさか不意討ちで会うこともなかっただろう
「それにあ奴…何かと銀仮面卿の正体を掴もうと、質問ばかり…」
『探られているのは前から分かっていた…わたしの正体が一体何者なのか…』
もし、本当の正体に気づかれたらどうなるのか…それは全く想像がつかない
そもそも、アリアスと同世代、そしてそれよりも若い世代の人はパルスの王家に王女がいたことを知る者はいるのかすら、詳しくアリアスは知らない
というよりは怖くて、サームやカーラーンから直接聞くのを躊躇った…というのもある
『気づかれたら…そのときだ…』
気づかれたからといって、アリアスの進む道は変わらないのだから
突き進む道は茨の道、ただそれだけ
『さて…ペシャワール城が見えてきたな』
アリアスの眼下には、険しい赤みがかった岩肌の中にペシャワール城塞が見える
幼い頃に何度か、訪れたことのある城塞は昔から何一つ変わらず、パルスの威厳を示すかとのように構えていた
「…一人で乗り込む気ですか」
ザンデは不安そうに聞く
『そのつもりだ』
「危険過ぎます。いくら貴女が強くてもあまりにも無謀かと…二人の万騎長とその部下…それからアルスラーン一党を相手にするということなのですよ」
先ほど揃って、ペシャワール城塞へ雪崩れるように入城したのだ
『無謀なのは分かっている…それでも行かねば…』
「銀仮面卿…」
『一人…どうしても会わねばならぬ人がいるのだ』
「会わねばならぬ人…?」
『あぁ、本当なら一番最初に会って謝らねばならぬ人だ…』
甦るのは、平穏だったあの頃の記憶
【バフマン!今日もよろしく頼む】
【今日も気合い十分でよろしいですぞ】
女王になるために、自らと民を守れる人になるために、武芸とたくさんの教養を叩き込んでくれた万騎長バフマン
父であるオスロエスが病床についてからは、父のように接してくれたあの人に謝りたかった
『わたしがこうして生きて剣を振ることができるのもその人の教えがあったからだ』
その人は今、どんな気持ちでペシャワールにいるのだろう
恐らくは、パルスにルシタニア軍を送り込んだ自分のことはただの得体のしれない軍師として耳に入っているだろう
それでも構わなかった
生きている顔を見て、一言謝罪の言葉を申せればそれでいい
この機会を逃せば、二度と会えない気がした
「銀仮面卿がそこまで仰るのでしたら俺は止めませぬ」
『ザンデ…』
「しかしちゃんと戻って来てくだされ。近くで待ってますから」
ザンデは真剣な眼差しをアリアスに向けた
『あぁ、必ず戻る』
アリアスも力強く頷き、馬を走らせた
その姿をザンデはしっかりと見送った
あそこまでアリアスを動かすことのできる人を羨みながら
~END~
(素直に羨ましかった)