act#29
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
自分の部屋に戻ると、アリアスは銀仮面をはずした
外套を脱ぎ、仮面をテーブルに置き、タオルで顔をふく
素顔に触れる空気は心地よいものだった
そして壁際の鏡を見る
そういえば、最近は忙しくて油薬を塗っていなかった
油薬をとりに、机の引き出しへ向かおうとすると、部屋の扉が開き、盆を持った一人の侍女が入ってきた
鏡の中でまだ若く、少女の面影のある侍女と目が合った
侍女は小さく息を飲み、盆を落とし乗っていた果実酒の壷、杯、干した果物を乗せた皿などがカーペットに転がった
その目は大きく見開かれている
アリアスは反射的に左腕をあげて顔を隠した
それは十六年前のあの火事以来の、悲しむべき習性になっていた
顔の半分を生け贄にさしだし、生命をまっとうすることができたのだ
どれだけこの顔のせいで苦労をしただろうか
旅をしている途中で何度か恋もした
どれだけ優しく気立ての良い男もアリアスが意を決して素顔を見せると驚き、汚いものを見るような目で見てきた
結局、顔で判断されるのだ
アリアスは顔を隠したまま振り返った
『さっさと出ていけ、片付けは、』
「待ってください!」
しかし侍女は声をあげた
「あ…貴方はあの日…私を助けて下さった方ですよね?」
『…なんだと』
「貴方は覚えていなくても私はしっかりと覚えております。マルヤムから近いパルスの宿場町で貴方は情婦館に売られそうになった私を助けてくださいました」
『情婦館……』
アリアスは侍女の顔をじっくりと見て、思い出した
そうだ、あの日、娘を助けてカーラーンと再会したのだ
『お前は……あの時の娘か』
「!覚えておいでだったのですか」
『あぁ、あの時は男どもの、汚い血と亡骸を見せたな』
アリアスは自然と侍女の傍に足を向けた
「あの後、私はカーラーン様に引き取られ王宮の宮女として身を置かせていただいてました」
『そうだったのか……頬が腫れているな』
アリアスは侍女の左頬が赤く腫れていることに気づいた
「あ……これは、この屋敷に来る前にルシタニア兵にぶつかってしまい、ぶたれたのです」
『ぶたれた……』
「でも私はぶたれただけで、大丈夫ですから。他の宮女は貶されたり私より酷い目に合ったり……それこそ情婦と同じ扱いを受けた挙げ句、殺された者もいます」
そう話す姿は震えている
『申し訳ない』
アリアスは侍女の前に膝をおり、頭を下げた
「だ、旦那様!?」
突然のアリアスの行為に侍女は驚くしかなっかった
『せっかく宮女として新な人生を歩んでいたのに、わたしがルシタニア兵を引き連れて来たばかりにまた不安を抱かせてしまった』
「!そんな…」
外套を脱ぎ、仮面をテーブルに置き、タオルで顔をふく
素顔に触れる空気は心地よいものだった
そして壁際の鏡を見る
そういえば、最近は忙しくて油薬を塗っていなかった
油薬をとりに、机の引き出しへ向かおうとすると、部屋の扉が開き、盆を持った一人の侍女が入ってきた
鏡の中でまだ若く、少女の面影のある侍女と目が合った
侍女は小さく息を飲み、盆を落とし乗っていた果実酒の壷、杯、干した果物を乗せた皿などがカーペットに転がった
その目は大きく見開かれている
アリアスは反射的に左腕をあげて顔を隠した
それは十六年前のあの火事以来の、悲しむべき習性になっていた
顔の半分を生け贄にさしだし、生命をまっとうすることができたのだ
どれだけこの顔のせいで苦労をしただろうか
旅をしている途中で何度か恋もした
どれだけ優しく気立ての良い男もアリアスが意を決して素顔を見せると驚き、汚いものを見るような目で見てきた
結局、顔で判断されるのだ
アリアスは顔を隠したまま振り返った
『さっさと出ていけ、片付けは、』
「待ってください!」
しかし侍女は声をあげた
「あ…貴方はあの日…私を助けて下さった方ですよね?」
『…なんだと』
「貴方は覚えていなくても私はしっかりと覚えております。マルヤムから近いパルスの宿場町で貴方は情婦館に売られそうになった私を助けてくださいました」
『情婦館……』
アリアスは侍女の顔をじっくりと見て、思い出した
そうだ、あの日、娘を助けてカーラーンと再会したのだ
『お前は……あの時の娘か』
「!覚えておいでだったのですか」
『あぁ、あの時は男どもの、汚い血と亡骸を見せたな』
アリアスは自然と侍女の傍に足を向けた
「あの後、私はカーラーン様に引き取られ王宮の宮女として身を置かせていただいてました」
『そうだったのか……頬が腫れているな』
アリアスは侍女の左頬が赤く腫れていることに気づいた
「あ……これは、この屋敷に来る前にルシタニア兵にぶつかってしまい、ぶたれたのです」
『ぶたれた……』
「でも私はぶたれただけで、大丈夫ですから。他の宮女は貶されたり私より酷い目に合ったり……それこそ情婦と同じ扱いを受けた挙げ句、殺された者もいます」
そう話す姿は震えている
『申し訳ない』
アリアスは侍女の前に膝をおり、頭を下げた
「だ、旦那様!?」
突然のアリアスの行為に侍女は驚くしかなっかった
『せっかく宮女として新な人生を歩んでいたのに、わたしがルシタニア兵を引き連れて来たばかりにまた不安を抱かせてしまった』
「!そんな…」