act#26
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サームは随分と古い夢を見ていた
あれはいつだっただろうか
確か絹の国の使者が王宮に来たときだった
使者たちとの宴の最中、サームは夜風に当たろうと廊下を歩いていた
するとどこからか、拙い絹の国の言葉が聞こえてきた
それはいつも聞く声だった
【アリアス王女…?】
廊下の先の庭の一角で絹の国の若い使者と話しをしているアリアスを見つけた
若い使者はしゃがみ、アリアスと目線を合わせてアリアスと話をしている
覚えたての絹の国の言葉を必死に話す姿は健気であり、小さいながらもパルスの王族の一人としての役目を果たそうとする姿は王女そのものである
若い使者もアリアスの必死な姿と可愛らしい姿にすっかり骨抜きのようで、その手はアリアスの頬を撫でていた
撫でる姿は一人の女性を触るようである
【アリアス王女】
【わ、サーム!】
サームは自然と身体が動いていて後ろからアリアスを抱き抱えた
【勉強熱心なのはいいですが、そろそろお休みになる時間ですよ】
【あ、う…でもせっかく覚えた絹の国の言葉が通じたのだ。それにこの人、優しいからたくさんおもしろい話をしてくれるし…】
サームはその言葉にむっとし若い使者を見た
使者はにっこりと笑みを見せている
【絹の国の使者はまだエクバターナに滞在するのですから明日でもいいでしょう】
サームは降りようと駄々をこねるアリアスをしっかりと抱き抱える
【む…わかった。じゃあ……あしたも、できる、お話?】
アリアスは片言の絹の国の言葉で使者に聞く
【可愛い王女が望むのならもちろん。いつでも一緒にお話しましょう】
使者はそう言い、あろうことかアリアスの手を取りその甲に口付けをして二人の前から立ち去った
サームの眉間の皺が増えた瞬間だった
【明日もお話できるだろうか】
アリアスは初めて女性扱いされたことが少しだけ嬉しかった
【……明日は別の方からお聞きくださいませ】
【なぜだ?】
【何でもです】
サームの頑なな態度に今度はアリアスがむすくれた
【サームだって絹の国の若くてきれいな女性と話すくせに】
【な、】
【こんな子どもの相手をするよりきれいな人のほうがいいだろう】