act#3
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『(つまらない…)』
外は生憎の雨模様で、庭で剣術や弓の鍛練が出来ないアリアスはぶすくれていた
勉学も一通り終わり、本当に暇をもて余していた
アリアスは一人、宮廷内を歩いていた
『あ!』
そんなアリアスは目の前に二人の男の背中を見つけた
『サーム、カーラーン!』
「…?おぉ、これはこれはアリアス王女ではございませんか」
後ろからたったっ、と駆け寄ってきたアリアスに二人の千騎長は足を止めた
『二人ともすごい荷物だな』
サームとカーラーンの腕には大量の巻物や書物が積まれていた
「今度の戦場になる丘の地図にございます」
カーラーンがそう言った
「今からカーラーンの執務室で先に作戦会議をすることろでしてな……おっと」
そう言ったそばからサームの腕から巻物が二巻ほど落ちた
『わたしが運ぶ』
アリアスはそう言い、落ちた巻物を拾った
「良いのですか」
『暇なのだ』
隠すことなくそう言ったアリアスに二人の千騎長も顔を合わせ、仕方ないと言わんばかりの表情だ
「では、大事な資料ですので頼みますぞ」
『落とした者に言われるまでもないので安心してほしい』
そう言われてしまったサームに、カーラーンは思わず、小さく吹き出した
二人の千騎長の間に小さな王女
その絵は微笑ましく、近くを通る宮女は楽しそうに見守っていた
『勉学も終えたのだ。バフマンはペシャワールだから帰るのもまだだ。城下へ遊びに行きたくともこの間、こっそり抜け出したことが乳母にばれてしまい出来ぬのだ』
「こっそり抜け出したのですか……」
サームはアリアスの行動力に思わず目を丸める
「王女、あまり国王の心配事を増やしてはなりませぬぞ」
カーラーンが心配そうに言い、執務室の扉を開け二人を中に招く
『わかってはいる…しかし、実際に城下で民の話を聞かないと、良い国造りは出来ないだろう』
小さいながらにしっかりとした言葉に二人は目を丸めた
「…王女はどんな国造りをしたいのですか」
カーラーンは荷物を机に置きながら聞いた
アリアスもそれに続き、巻物を机に置いた
『皆が楽しく笑える国がいい。それから───人を平等に扱いたい』
「ほう」
サームはその言葉に興味を示し、続けた
「それは奴隷制度のことを指しておいでですか」
『それもあるが…わたしは…もし女王になったら女性の待遇とか地位をもう少し良くしてあげたい』
「女性の…ですか…」
『二人は男だから、どう思うかわからないが、世の中にはもっと優秀で知的な女性だって沢山いるのだ。それなのに今の世の中は女性をないがしろにしている』
アリアスは自分が宮廷や城下で見てきたことを思いだしていた
『奴隷として売られるときだって女性のほうが安いこともおかしい』
「確かに…そうですな」
『だからわたしが王位を継承したら 、そういうところも見直したいと思う』
そう真っ直ぐと伝える姿は、凛々しく迷いのない顔だった
誰に反対されても貫く…その意志が読み取れた
『こういう考えはやはり、その…変であろうか…?』
アリアスは不安げに二人を見る
「いいえ、女性らしい優しい意見だと思いますぞ」
「宮女たちが喜びそうですな」
カーラーンとサームがそう言うとアリアスは少し照れたように笑った
この王女が王位を継承したら、普通の国王よりも険しい道のりが待ち構えているのは今からでも目に見えていた
ただでさえ、女王誕生に反発する声が未だに絶えないのだ
アリアスが女王となり、少しでも間違えた采配をくだせば、針の穴を刺すようにこと細かい誹謗中傷が起こるだろう
二人の騎士は小さな王女のことをいつも気にかけていた
少女でありながらあのバフマンから剣 や弓を教わっていて、いつも石畳に転がされているのを見ていた
アリアスも自分の進む道のりが険しくなることはわかっていた
だからこそ、自分とそして民を守るための力が必要以上にいること理解していたからバフマンの厳しい鍛練に文句一つ言わずにこなしていた
もちろん勉学もしかり
以前、アリアスが絹の国の使者と必死に舌足らずの絹の国の言葉で会話をしている姿を見つけたことがあった
それだけ、必死な姿を二人はいつも影ながら応援していたし、たまに会えばこうして交流もしていた
出来ることならば、この小さな王女の力になりたい────
二人はいつからか、そう心から思っていた
「「アリアス様」」
『は、はい』
突然、自分に跪く千騎長にアリアスは緊張した
「アリアス様が願う良い国造りの力になれるようわたくし、サームは力になりとうございます」
『サーム…』
「わたくし、カーラーンも同じく。貴方様が立派な女王として務められるよう惜しみ無く力を貸しましょう」
『カーラーン…』
二人の千騎長はアリアスの手を掴みその小さな手の甲に、そっと口付けを落とした
『ありがとう…二人の千騎長にそんなことを言ってもらえるなんて身に余る光栄だ』
アリアスは恥ずかしそうにそう二人に言った
『二人の名に泥を塗らないようにわたしも一層、努力するからよろしく頼む』
窓の外は雨が止み、厚い雲の間からは僅かながら太陽の光が差し込んでいた
~END~
(忠誠を貴女に)
外は生憎の雨模様で、庭で剣術や弓の鍛練が出来ないアリアスはぶすくれていた
勉学も一通り終わり、本当に暇をもて余していた
アリアスは一人、宮廷内を歩いていた
『あ!』
そんなアリアスは目の前に二人の男の背中を見つけた
『サーム、カーラーン!』
「…?おぉ、これはこれはアリアス王女ではございませんか」
後ろからたったっ、と駆け寄ってきたアリアスに二人の千騎長は足を止めた
『二人ともすごい荷物だな』
サームとカーラーンの腕には大量の巻物や書物が積まれていた
「今度の戦場になる丘の地図にございます」
カーラーンがそう言った
「今からカーラーンの執務室で先に作戦会議をすることろでしてな……おっと」
そう言ったそばからサームの腕から巻物が二巻ほど落ちた
『わたしが運ぶ』
アリアスはそう言い、落ちた巻物を拾った
「良いのですか」
『暇なのだ』
隠すことなくそう言ったアリアスに二人の千騎長も顔を合わせ、仕方ないと言わんばかりの表情だ
「では、大事な資料ですので頼みますぞ」
『落とした者に言われるまでもないので安心してほしい』
そう言われてしまったサームに、カーラーンは思わず、小さく吹き出した
二人の千騎長の間に小さな王女
その絵は微笑ましく、近くを通る宮女は楽しそうに見守っていた
『勉学も終えたのだ。バフマンはペシャワールだから帰るのもまだだ。城下へ遊びに行きたくともこの間、こっそり抜け出したことが乳母にばれてしまい出来ぬのだ』
「こっそり抜け出したのですか……」
サームはアリアスの行動力に思わず目を丸める
「王女、あまり国王の心配事を増やしてはなりませぬぞ」
カーラーンが心配そうに言い、執務室の扉を開け二人を中に招く
『わかってはいる…しかし、実際に城下で民の話を聞かないと、良い国造りは出来ないだろう』
小さいながらにしっかりとした言葉に二人は目を丸めた
「…王女はどんな国造りをしたいのですか」
カーラーンは荷物を机に置きながら聞いた
アリアスもそれに続き、巻物を机に置いた
『皆が楽しく笑える国がいい。それから───人を平等に扱いたい』
「ほう」
サームはその言葉に興味を示し、続けた
「それは奴隷制度のことを指しておいでですか」
『それもあるが…わたしは…もし女王になったら女性の待遇とか地位をもう少し良くしてあげたい』
「女性の…ですか…」
『二人は男だから、どう思うかわからないが、世の中にはもっと優秀で知的な女性だって沢山いるのだ。それなのに今の世の中は女性をないがしろにしている』
アリアスは自分が宮廷や城下で見てきたことを思いだしていた
『奴隷として売られるときだって女性のほうが安いこともおかしい』
「確かに…そうですな」
『だからわたしが王位を継承したら 、そういうところも見直したいと思う』
そう真っ直ぐと伝える姿は、凛々しく迷いのない顔だった
誰に反対されても貫く…その意志が読み取れた
『こういう考えはやはり、その…変であろうか…?』
アリアスは不安げに二人を見る
「いいえ、女性らしい優しい意見だと思いますぞ」
「宮女たちが喜びそうですな」
カーラーンとサームがそう言うとアリアスは少し照れたように笑った
この王女が王位を継承したら、普通の国王よりも険しい道のりが待ち構えているのは今からでも目に見えていた
ただでさえ、女王誕生に反発する声が未だに絶えないのだ
アリアスが女王となり、少しでも間違えた采配をくだせば、針の穴を刺すようにこと細かい誹謗中傷が起こるだろう
二人の騎士は小さな王女のことをいつも気にかけていた
少女でありながらあのバフマンから剣 や弓を教わっていて、いつも石畳に転がされているのを見ていた
アリアスも自分の進む道のりが険しくなることはわかっていた
だからこそ、自分とそして民を守るための力が必要以上にいること理解していたからバフマンの厳しい鍛練に文句一つ言わずにこなしていた
もちろん勉学もしかり
以前、アリアスが絹の国の使者と必死に舌足らずの絹の国の言葉で会話をしている姿を見つけたことがあった
それだけ、必死な姿を二人はいつも影ながら応援していたし、たまに会えばこうして交流もしていた
出来ることならば、この小さな王女の力になりたい────
二人はいつからか、そう心から思っていた
「「アリアス様」」
『は、はい』
突然、自分に跪く千騎長にアリアスは緊張した
「アリアス様が願う良い国造りの力になれるようわたくし、サームは力になりとうございます」
『サーム…』
「わたくし、カーラーンも同じく。貴方様が立派な女王として務められるよう惜しみ無く力を貸しましょう」
『カーラーン…』
二人の千騎長はアリアスの手を掴みその小さな手の甲に、そっと口付けを落とした
『ありがとう…二人の千騎長にそんなことを言ってもらえるなんて身に余る光栄だ』
アリアスは恥ずかしそうにそう二人に言った
『二人の名に泥を塗らないようにわたしも一層、努力するからよろしく頼む』
窓の外は雨が止み、厚い雲の間からは僅かながら太陽の光が差し込んでいた
~END~
(忠誠を貴女に)