act#25
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アリアスは自らが借りている屋敷の応接間で、茶を飲んでいた
今、王宮内で何やら地中から伸びる不可解な腕にルシタニア兵が困惑しようが、どうでもよかった
ルシタニア兵から不信の視線を向けられても、何も思わない
『────それで、なんのようですかな』
アリアスは茶の入った銀杯を置いて、やって来た客人───ルシタニアの王弟陛下ギスカールに視線をやった
相変わらず厳しい顔をしていて、王都を手にしてもまだ安心しきれていないのが顔に出ていた
「アンドラゴラスのことだが…こちらに引き渡さぬか」
ギスカールは絹のハンカチで顔を拭いながらそう言った
『引き渡せと、そうご命令か』
アリアスは鋭い視線を向けた
「命令しておるのではない、考慮してもらえぬか…と言っておるのだ」
『考慮……?』
アリアスはとりあえず理由を聞くことにした
以前にアンドラゴラスの身柄はアリアスが預かるということを約束したがこのようなことを申してくるということは何か理由があるはずだ
『────つまり、アンドラゴラスの生首を見ぬかぎりイノケンティス王と結婚するわけにはいかぬ…とタハミーネは言ったのですな』
タハミーネなりの抵抗なのか、アリアスの采配に委ねたのかは分からないがなかなか面白いことを申したものだとアリアスは銀仮面の奥で目を細めた
「おぬしにも、わかるだろう。アンドラゴラス王を生かしておかぬ、という一点においては兄とボダン大司教の利害は一致しておるのだ。兄にしてみればタハミーネ王妃と結婚するためには、アンドラゴラスが邪魔であることは言うまでもない」
『大司教のほうは?』
「奴はもう最初から異教徒の血に飢えておる。誰が言い出したことであろうと、とにかくアンドラゴラスを殺せればよいのだからな」
『生かしておけば、色々と使い道はありますが…?』
「そう思ったからこそ、おぬしにアンドラゴラス王の身を預けたのだ。その点で、今も考えは変わっておらぬ」
『であれば…』
「誤解するなよ、おぬしが説得せねばならぬ相手は俺でない。兄とボダンだ」
ギスカールの顔に余裕があらわれ、沈黙するアリアスを見る
細いのに剣の腕は恐ろしいこの男は考え事をする姿すら絵になるな、とギスカールは自分が抱えている問題とは全く別のことを考えていた
『王弟殿下は、どうなることをお望みですか』
「今回、俺の出る幕はないだろう。兄とボダン次第だな」
『さようで…』
アリアスはもう一度、茶を飲む
今、王宮内で何やら地中から伸びる不可解な腕にルシタニア兵が困惑しようが、どうでもよかった
ルシタニア兵から不信の視線を向けられても、何も思わない
『────それで、なんのようですかな』
アリアスは茶の入った銀杯を置いて、やって来た客人───ルシタニアの王弟陛下ギスカールに視線をやった
相変わらず厳しい顔をしていて、王都を手にしてもまだ安心しきれていないのが顔に出ていた
「アンドラゴラスのことだが…こちらに引き渡さぬか」
ギスカールは絹のハンカチで顔を拭いながらそう言った
『引き渡せと、そうご命令か』
アリアスは鋭い視線を向けた
「命令しておるのではない、考慮してもらえぬか…と言っておるのだ」
『考慮……?』
アリアスはとりあえず理由を聞くことにした
以前にアンドラゴラスの身柄はアリアスが預かるということを約束したがこのようなことを申してくるということは何か理由があるはずだ
『────つまり、アンドラゴラスの生首を見ぬかぎりイノケンティス王と結婚するわけにはいかぬ…とタハミーネは言ったのですな』
タハミーネなりの抵抗なのか、アリアスの采配に委ねたのかは分からないがなかなか面白いことを申したものだとアリアスは銀仮面の奥で目を細めた
「おぬしにも、わかるだろう。アンドラゴラス王を生かしておかぬ、という一点においては兄とボダン大司教の利害は一致しておるのだ。兄にしてみればタハミーネ王妃と結婚するためには、アンドラゴラスが邪魔であることは言うまでもない」
『大司教のほうは?』
「奴はもう最初から異教徒の血に飢えておる。誰が言い出したことであろうと、とにかくアンドラゴラスを殺せればよいのだからな」
『生かしておけば、色々と使い道はありますが…?』
「そう思ったからこそ、おぬしにアンドラゴラス王の身を預けたのだ。その点で、今も考えは変わっておらぬ」
『であれば…』
「誤解するなよ、おぬしが説得せねばならぬ相手は俺でない。兄とボダンだ」
ギスカールの顔に余裕があらわれ、沈黙するアリアスを見る
細いのに剣の腕は恐ろしいこの男は考え事をする姿すら絵になるな、とギスカールは自分が抱えている問題とは全く別のことを考えていた
『王弟殿下は、どうなることをお望みですか』
「今回、俺の出る幕はないだろう。兄とボダン次第だな」
『さようで…』
アリアスはもう一度、茶を飲む