act#23
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アンドラゴラスとの十六年ぶりの面会を終えたアリアスは、宛がわれた屋敷のある一室に足を運んだ
そこはカーラーンが傷を癒している一室だった
見張りの騎士はアリアスに礼をし部屋に招き入れた
『カーラーン』
「銀仮面卿…!」
カーラーンは来訪者に驚き、横にしていた身体を起こそうとするがアリアスはそれを制した
『よく帰ってきてくれたな。礼を言う』
アリアスはカーラーンの横になっている寝台のすぐ傍に腰掛け、そう伝えた
眼帯の反対側の表情は本当に安堵した顔だった
「このような姿で申し訳ございません」
あまりにも素直な言葉にカーラーンの緊張も解れる
『身体は大丈夫か?』
「骨に少しひびが入ったようで、しばらくは安静にしろと…」
『そうか…』
「しかし他は問題ありませぬ。騎士故これくらいの怪我はなんとも、」
『駄目だ。安静にしろ』
動こうとするカーラーンをアリアスは再び制した
『わたしはお前に重荷ばかり背負わせているな。しばらくはゆっくり休んでくれ』
「しかし、」
『これは命令だ』
きっ、と睨まれてしまえば反論はできない
というよりはアリアスの本当に心配そうな表情を目にして無理は出来なかった
「……分かりました。アリアス様の命令なら仕方ありませぬな」
カーラーンがそう言うとアリアスも一息ついた
「ところで銀仮面はどうされたのです?」
ふと、思ったことを口にした
眼帯の姿を見るのは本当に久しぶりだった
『あぁ、ダリューンとかいう騎士に割られたのだ』
「ダリューンに!?」
思ってもいなかった名前にカーラーンは声をあげた
『カーラーンが寝ていた間に、エクバターナにナルサスとかいう男と潜入していた。おそらく、アンドラゴラスとタハミーネ王妃のことを詳しく知ることと現状の把握だろうな』
「貴女こそ怪我は……」
あのダリューン相手にやり合っただけでなく、ナルサスまで相手取ったのだ
『怪我はしておらん。だが、仮面が割られ二人に素顔を見られてしまった』
「そうだったのですか…」
『仮面の変わりはあるから問題はない』
アリアスはカーラーンが何か考えていることを察し、それだけ言い立ち上がった
『しばらくは王弟陛下がなんとかするだろう。その間くらいはゆっくり休んでいてくれ』
「はい……」
アリアスはでは、と告げ部屋を出ていった
あの二人に素顔を見られた……その事実は少しだけ、カーラーンを不安にさせた
二人は幼少のアリアスを知らないはずだから問題はないとは思うが、何せ二人とも通常の人間とはまた違う視点から物事を見る
何かの弾みでアリアスの正体に気づくかもしれない
「(そのときは、そのときだ……)」
正体に気づかれたからといってアリアスの味方が増える訳ではない
なんにしろパルスを混乱に陥れた大罪人なのだ
茨の道は茨のままで、花が咲く訳ではない
安楽は死という形でしか訪れないだろう
それでもカーラーンのすることも変わらないのだ
共に茨の道を進み、なるべく棘で傷つかぬように支える
ただ、それだけだった────
「(俺が動けぬ間支えてくれる者を呼ばねばならんな……)」
カーラーンは部屋に騎士を呼びあることを伝えた
自分の息子を呼んで欲しい、と
~END~
(少しでも支えたくて)
そこはカーラーンが傷を癒している一室だった
見張りの騎士はアリアスに礼をし部屋に招き入れた
『カーラーン』
「銀仮面卿…!」
カーラーンは来訪者に驚き、横にしていた身体を起こそうとするがアリアスはそれを制した
『よく帰ってきてくれたな。礼を言う』
アリアスはカーラーンの横になっている寝台のすぐ傍に腰掛け、そう伝えた
眼帯の反対側の表情は本当に安堵した顔だった
「このような姿で申し訳ございません」
あまりにも素直な言葉にカーラーンの緊張も解れる
『身体は大丈夫か?』
「骨に少しひびが入ったようで、しばらくは安静にしろと…」
『そうか…』
「しかし他は問題ありませぬ。騎士故これくらいの怪我はなんとも、」
『駄目だ。安静にしろ』
動こうとするカーラーンをアリアスは再び制した
『わたしはお前に重荷ばかり背負わせているな。しばらくはゆっくり休んでくれ』
「しかし、」
『これは命令だ』
きっ、と睨まれてしまえば反論はできない
というよりはアリアスの本当に心配そうな表情を目にして無理は出来なかった
「……分かりました。アリアス様の命令なら仕方ありませぬな」
カーラーンがそう言うとアリアスも一息ついた
「ところで銀仮面はどうされたのです?」
ふと、思ったことを口にした
眼帯の姿を見るのは本当に久しぶりだった
『あぁ、ダリューンとかいう騎士に割られたのだ』
「ダリューンに!?」
思ってもいなかった名前にカーラーンは声をあげた
『カーラーンが寝ていた間に、エクバターナにナルサスとかいう男と潜入していた。おそらく、アンドラゴラスとタハミーネ王妃のことを詳しく知ることと現状の把握だろうな』
「貴女こそ怪我は……」
あのダリューン相手にやり合っただけでなく、ナルサスまで相手取ったのだ
『怪我はしておらん。だが、仮面が割られ二人に素顔を見られてしまった』
「そうだったのですか…」
『仮面の変わりはあるから問題はない』
アリアスはカーラーンが何か考えていることを察し、それだけ言い立ち上がった
『しばらくは王弟陛下がなんとかするだろう。その間くらいはゆっくり休んでいてくれ』
「はい……」
アリアスはでは、と告げ部屋を出ていった
あの二人に素顔を見られた……その事実は少しだけ、カーラーンを不安にさせた
二人は幼少のアリアスを知らないはずだから問題はないとは思うが、何せ二人とも通常の人間とはまた違う視点から物事を見る
何かの弾みでアリアスの正体に気づくかもしれない
「(そのときは、そのときだ……)」
正体に気づかれたからといってアリアスの味方が増える訳ではない
なんにしろパルスを混乱に陥れた大罪人なのだ
茨の道は茨のままで、花が咲く訳ではない
安楽は死という形でしか訪れないだろう
それでもカーラーンのすることも変わらないのだ
共に茨の道を進み、なるべく棘で傷つかぬように支える
ただ、それだけだった────
「(俺が動けぬ間支えてくれる者を呼ばねばならんな……)」
カーラーンは部屋に騎士を呼びあることを伝えた
自分の息子を呼んで欲しい、と
~END~
(少しでも支えたくて)