act#21
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アリアスはとある地下を訪れていた
陽の当たらないそこは相変わらず湿っていて部屋の棚には、書物や薬剤や動物の死骸や人の手を酒精(アルコール)に浸けたものまで並んでいる
部屋の主である暗灰色の衣の老人───魔導師は樫の椅子に腰掛けたまま、部屋を尋ねたアリアスに口を開いた
「わしだけが座っておるからとて、咎めるでないぞ。"あの術"がどれほど体力の消耗を必要とするか、知らぬおぬしではあるまい。谷や山あいでなく平原に霧をおこし、近隣に敵なきパルス騎兵を昏迷せしめたのじゃからの」
『しゃべる力は充分に残っているようだな』
アリアスは冷淡に答えた
『そんなことよりわざわざ呼び出した用件について話したらどうだ』
「おぉ、それだ」
魔導師はこちらを振り向いた
「カーラーンがやられた」
一瞬、アリアスは身を固くさせた
『…死んではおらぬのだな』
「満身創痍で生き残った部下と今こちらに向かっている」
『カーラーンとやり合った輩は』
「アンドラゴラスの小せがれ……の一党にやられた」
その言葉にアリアスは仮面の奥で目を細めた
やはり、アルスラーン一党は一筋縄ではいかない輩が揃っているようだ
もちろん、それくらいの人物が揃っていないと困るのだが
「それとな銀仮面卿。おぬしに敵対する者が近くに来ておるようだぞ」
魔導師は水晶に手を当てながらそう伝える
『アンドラゴラスの小せがれか?』
「…いや違う。だが、それに近い者のようだ」
『誰だ』
「そこまではわからぬ。言うたであろう?あの術で体力を消耗したと。わしの力が回復するまで今年いっぱいはかかるだろう」
『まぁいい。誰であれ邪魔者は退けるのみよ。これはいつもの礼だ』
アリアスは机に金貨の入った袋を置いて地下の部屋を後にした
「部下の無事にほっとする姿をみると人間らしく見えるな」
*****
アリアスは一人、広い王宮内を迷わず歩いていた
「銀仮面卿!」
慌てたように名を呼ばれたのでアリアスは足を止めた
呼び止めたのはカーラーンの部下だった
「カーラーン様が戻りました」
騎士はアリアスの前に跪きそう言った
『容態は』
「命はありますがかなり重症なようで…ただ今、部屋で治療を受けております」
『わかった。後で伺うとしよう。報告ご苦労様だったな』
「いいえ。それともう1つ報告が」
『なんだ?…あぁ、もう立って良い』
騎士は立ち上がり周りに誰もいないことを確認すると小さな声でアリアスに耳打ちする
「銀仮面卿が仰っていた例のことが終わりました」
『そうか。ルシタニア兵どもには見つかっておらぬな』
陽の当たらないそこは相変わらず湿っていて部屋の棚には、書物や薬剤や動物の死骸や人の手を酒精(アルコール)に浸けたものまで並んでいる
部屋の主である暗灰色の衣の老人───魔導師は樫の椅子に腰掛けたまま、部屋を尋ねたアリアスに口を開いた
「わしだけが座っておるからとて、咎めるでないぞ。"あの術"がどれほど体力の消耗を必要とするか、知らぬおぬしではあるまい。谷や山あいでなく平原に霧をおこし、近隣に敵なきパルス騎兵を昏迷せしめたのじゃからの」
『しゃべる力は充分に残っているようだな』
アリアスは冷淡に答えた
『そんなことよりわざわざ呼び出した用件について話したらどうだ』
「おぉ、それだ」
魔導師はこちらを振り向いた
「カーラーンがやられた」
一瞬、アリアスは身を固くさせた
『…死んではおらぬのだな』
「満身創痍で生き残った部下と今こちらに向かっている」
『カーラーンとやり合った輩は』
「アンドラゴラスの小せがれ……の一党にやられた」
その言葉にアリアスは仮面の奥で目を細めた
やはり、アルスラーン一党は一筋縄ではいかない輩が揃っているようだ
もちろん、それくらいの人物が揃っていないと困るのだが
「それとな銀仮面卿。おぬしに敵対する者が近くに来ておるようだぞ」
魔導師は水晶に手を当てながらそう伝える
『アンドラゴラスの小せがれか?』
「…いや違う。だが、それに近い者のようだ」
『誰だ』
「そこまではわからぬ。言うたであろう?あの術で体力を消耗したと。わしの力が回復するまで今年いっぱいはかかるだろう」
『まぁいい。誰であれ邪魔者は退けるのみよ。これはいつもの礼だ』
アリアスは机に金貨の入った袋を置いて地下の部屋を後にした
「部下の無事にほっとする姿をみると人間らしく見えるな」
*****
アリアスは一人、広い王宮内を迷わず歩いていた
「銀仮面卿!」
慌てたように名を呼ばれたのでアリアスは足を止めた
呼び止めたのはカーラーンの部下だった
「カーラーン様が戻りました」
騎士はアリアスの前に跪きそう言った
『容態は』
「命はありますがかなり重症なようで…ただ今、部屋で治療を受けております」
『わかった。後で伺うとしよう。報告ご苦労様だったな』
「いいえ。それともう1つ報告が」
『なんだ?…あぁ、もう立って良い』
騎士は立ち上がり周りに誰もいないことを確認すると小さな声でアリアスに耳打ちする
「銀仮面卿が仰っていた例のことが終わりました」
『そうか。ルシタニア兵どもには見つかっておらぬな』