act#2
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ガラアァン…!とその音は王都の石畳に響いた
それは弾かれた剣が石畳を転がった音で近くを歩いていたアリアスの元へ飛んできた
「すまぬ、怪我はないか?」
アリアスと同い年くらいの黒い髪の少年が駆けつけてきた
『怪我はない』
アリアスはそう短く伝え転がってきた剣を拾った
『剣の稽古をしていたのか』
「俺の叔父は宮廷に仕える万騎長だ。俺も叔父のように強くなりたい」
『そうなのか』
アリアスは少しだけドキリ、とした
というのも実は今は、こっそりと王宮を抜け出し城下の子どもの振りをして市や見世物を楽しんでいたのだ
もしここで自分がオスロエスの子だと知られるのは不味い
当たり前だがこってりと怒られるだろう
「おぬしも剣が出来るのか?」
少年はアリアスが大して驚くこともなく剣を拾い馴れた手つきでそれを持ったからある程度たしなむ人間なのだと思い声をかけた
まして今のアリアスの格好は城下の子どもの格好
まさか少女だとは思わないだろう
『…多少は』
自分の身は自分で守る───それがアリアスが自分に課した課題だった
女であるからといって他人にばかり守られていては自分が女王になったとき、国の民など守れるわけなどないのだから
「では一手合わせてみないか」
少年はそう言い、もう一本の剣を構えた
『よかろう』
アリアスも拾った剣を構えた
いつも鍛えている腕を確かめたくもあったのだ
「は!」
『やぁ!』
キィン───と金属のぶつかる音が響く
お互いに子どもながらによく動き、互角の実力のようだった
『(重い…!)』
少年の一撃一撃は重くアリアスの剣に響くような攻撃だった
「(よく受け流すな…)」
また、少年もこんなにも容易く自分の攻撃を受け流す相手とは叔父以外には会ったことがなく、驚いていた
受け流すだけではなくその力を上手く使い攻撃に転換する器用さ
二人は互いに好敵手と認めた
「もらった!」
少年はアリアスが疲れてきて、動きが遅くなったと思い思い切り剣を頭の上で振り下ろす体制をとった
「な!? 」
しかしその剣が振り下ろされることはなかった
音もなくアリアスの足技が少年の脛あたりを狙い当たったのだ
少年は不意討ちに気づかず尻をついた
『剣技だけが全てではない』
「!」
少年の頬近くにアリアスの持つ剣の切っ先がある
「…俺の負けだ」
少年は素直に負けを認めた
『なかなか楽しかった』
アリアスは剣を下げ、尻をついた少年に手を伸ばした
「こちらもだ、本当に強いな」
少年は伸ばされた手をとり立ち上がる
その手は思っていたよりも小さく感じた
『未来の騎士殿にそう言われると嬉しい』
このような者が将来、パルスを守るための屈強な戦士となるのだ
『…貴方は将来、騎士となって宮廷に仕えるのか』
「あぁ、強くなり国王をお守りする」
少年は自分の叔父のように強くなることを目標としていた
『……それは国王がたとえ、どんな人でもか?』
「そうだ。この剣に誓ってだ」
『────そうか』
アリアスは少年の真っ直ぐな視線を受け止め、自分の使っていた剣を返す
『今日はありがとう。楽しかった』
「また俺と剣を交えてくれるか」
『機会があれば』
アリアスは短くそう言い、帰ろうと石畳の階段を登る
そろそろ戻らないと流石におこられそうだ
「待ってくれ。俺の名はダリューン。おぬしの名は…?」
『────いずれ分かる』
アリアスはそう言い、くすりとだけ笑みを見せ足早に去った
「────まさか女ではあるまいな」
最後に見せられた笑みは子どもながらに美しく、少年ダリューンは胸が高鳴るのを感じた
この二人がもう一度、剣を交えるときが来るのは
まだ何年も先のことだとは
誰も知らない
~END~
(未来への邂逅)
それは弾かれた剣が石畳を転がった音で近くを歩いていたアリアスの元へ飛んできた
「すまぬ、怪我はないか?」
アリアスと同い年くらいの黒い髪の少年が駆けつけてきた
『怪我はない』
アリアスはそう短く伝え転がってきた剣を拾った
『剣の稽古をしていたのか』
「俺の叔父は宮廷に仕える万騎長だ。俺も叔父のように強くなりたい」
『そうなのか』
アリアスは少しだけドキリ、とした
というのも実は今は、こっそりと王宮を抜け出し城下の子どもの振りをして市や見世物を楽しんでいたのだ
もしここで自分がオスロエスの子だと知られるのは不味い
当たり前だがこってりと怒られるだろう
「おぬしも剣が出来るのか?」
少年はアリアスが大して驚くこともなく剣を拾い馴れた手つきでそれを持ったからある程度たしなむ人間なのだと思い声をかけた
まして今のアリアスの格好は城下の子どもの格好
まさか少女だとは思わないだろう
『…多少は』
自分の身は自分で守る───それがアリアスが自分に課した課題だった
女であるからといって他人にばかり守られていては自分が女王になったとき、国の民など守れるわけなどないのだから
「では一手合わせてみないか」
少年はそう言い、もう一本の剣を構えた
『よかろう』
アリアスも拾った剣を構えた
いつも鍛えている腕を確かめたくもあったのだ
「は!」
『やぁ!』
キィン───と金属のぶつかる音が響く
お互いに子どもながらによく動き、互角の実力のようだった
『(重い…!)』
少年の一撃一撃は重くアリアスの剣に響くような攻撃だった
「(よく受け流すな…)」
また、少年もこんなにも容易く自分の攻撃を受け流す相手とは叔父以外には会ったことがなく、驚いていた
受け流すだけではなくその力を上手く使い攻撃に転換する器用さ
二人は互いに好敵手と認めた
「もらった!」
少年はアリアスが疲れてきて、動きが遅くなったと思い思い切り剣を頭の上で振り下ろす体制をとった
「な!? 」
しかしその剣が振り下ろされることはなかった
音もなくアリアスの足技が少年の脛あたりを狙い当たったのだ
少年は不意討ちに気づかず尻をついた
『剣技だけが全てではない』
「!」
少年の頬近くにアリアスの持つ剣の切っ先がある
「…俺の負けだ」
少年は素直に負けを認めた
『なかなか楽しかった』
アリアスは剣を下げ、尻をついた少年に手を伸ばした
「こちらもだ、本当に強いな」
少年は伸ばされた手をとり立ち上がる
その手は思っていたよりも小さく感じた
『未来の騎士殿にそう言われると嬉しい』
このような者が将来、パルスを守るための屈強な戦士となるのだ
『…貴方は将来、騎士となって宮廷に仕えるのか』
「あぁ、強くなり国王をお守りする」
少年は自分の叔父のように強くなることを目標としていた
『……それは国王がたとえ、どんな人でもか?』
「そうだ。この剣に誓ってだ」
『────そうか』
アリアスは少年の真っ直ぐな視線を受け止め、自分の使っていた剣を返す
『今日はありがとう。楽しかった』
「また俺と剣を交えてくれるか」
『機会があれば』
アリアスは短くそう言い、帰ろうと石畳の階段を登る
そろそろ戻らないと流石におこられそうだ
「待ってくれ。俺の名はダリューン。おぬしの名は…?」
『────いずれ分かる』
アリアスはそう言い、くすりとだけ笑みを見せ足早に去った
「────まさか女ではあるまいな」
最後に見せられた笑みは子どもながらに美しく、少年ダリューンは胸が高鳴るのを感じた
この二人がもう一度、剣を交えるときが来るのは
まだ何年も先のことだとは
誰も知らない
~END~
(未来への邂逅)