act#17
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「銀仮面卿」
魔導師の男は、王宮を見渡せるそこでアリアスを呼んだ
「どうじゃ?久しぶりの生まれ故郷は」
『何も情が湧かぬ…といえば嘘になるな』
アリアスは眼下に広がる蛮行に目をやった
「哀れみ、が籠っておるな」
『哀れみ?馬鹿なことを言うな。目の前で焼き殺されている者共は全て、アンドラゴラスが王位を継承した際に地位を与えられた者供だ』
アリアスは冷たく言った
『我が父を裏切った報いくらい受けて欲しいと思うのが子の性…おかしいか』
冷笑を含む言い方は、どこかぞくりとさせるものがある、と魔導師は思った
「まさか。人間らしいことよ」
『─────お前たち側に本当に堕ちれば、無情になれたのかもな』
そうすれば、サームのことも一思いに殺せたのだろう
「今からでも遅くはないぞ、銀仮面卿」
魔導師の言葉は半分ほど、本気だった
この哀れで美しい女がこちら側になりザッハーク様の寵姫にでもなればさぞかし面白く官能的な絵になるだろう
『今は止めておこう。わたしに情をかけて付いてくれる者もいるのだ。まだ情は捨てられぬ』
アリアスははっきりと言ってのけた
「今は…とな」
『どうしても人間をやめたくなったら考えてやる』
仮面越しに見える笑みは挑発的で、とても女性的だった
『今は目の前の踊る豚でも見ておけ。餌を与えるとよく踊るものだ』
魔導師とアリアスは再度、視線を阿鼻叫喚の王宮へと移した
『今日の勝利を驕るがよい、ルシタニアの蛮人共…!!』
~END~
(人を捨てぬこと)