act#14
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「銀仮面卿」
『カーラーン、無事だったか』
アリアスはエクバターナへ侵攻するルシタニア軍から離れたところで馬を走らせていた
「はい、滞りなく。貴女の言う通りに進ませました」
『少し怪我をしているようだが、大丈夫か』
アリアスはカーラーンの横に馬を並べる
カーラーンは一瞬、たじろいだが今はただの軍師であることを思いだしそのまま隣りを進む
「アルスラーン殿下に無双の騎士がつきました故に少しやり合っただけです」
『なかなか腕の立つ者がついたようだな』
「これも全て貴女の臨むことです。銀仮面卿の方も問題なく?」
『アンドラゴラスは捕らえ、ルシタニ ア軍に引き渡した。大将軍には悪いが……黄泉の世界へ先に向かってもらった』
アリアスは仮面の奥の目を細くさせた
「そうでしたか……」
『元々、関わりは殆どなかったからな。情も何も湧かなかった』
アリアスはそれ以上は語らなかったし、カーラーンもそれ以上は聞かなかった
「……もう少しでエクバターナが見えましょう」
『そうだな』
何年ぶりの王都だろうか
あの火事の後、パルス国内をうろつくことはあったが王都にだけは足を踏み入れなかった
その忌々しい王都が今、目の前に迫っている
『王都の守備には誰が就いておるのだ』
「万騎長のガルシャースフとサームが」
『ほう……サームか』
また久しい名に目を細めた
そういえば昔から籠城戦が得意だったはずだ
「それから東のペシャワール城には万騎長バフマンと若い万騎長キシュワードが」
『バフマンはまたペシャワールなのか』
エクバターナが近くなれば成る程、懐かしい名を聞くことが増えてきた
「恐らくペシャワールには既にことの伝達はあるでしょう。しかし直ぐにあの城を出てエクバターナに駆けつけるかは…」
『王と王太子が無事が分からぬうちはそう簡単には出ないだろう。あそこは他国に睨みを効かせる役目もある』
城の役目、それから真のパルスを考えればペシャワールはそう簡単に堕ちては困るのだ
『しばらくは王族の無事でも祈らせておけ』
そう言ったアリアスの目は冷たかった
『……そういえば王都に残ったお前の部下たちは例のことを上手くやっているのか』
「えぇ。王都がルシタニア軍に攻められれば籠城に駆り出されるやもしれませぬが今のところは問題ないでしょう」
『頼んだ。あれはルシタニアに渡らせたくないのでな』
「真のパルスのため、ことは運んでおります」
~END~
(血塗れた凱旋)