act#13
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そして、幾人の欲望が渦巻き、戦は始まりを告げた
アリアスは、小高い丘から数人のカーラーンの部下とともに眼下で繰り広げられる戦を冷静に見ていた
霧の中、黒い煙が上がっている
武器のぶつかる音、馬蹄の音、人々の雄叫びと絶叫
それらは渦巻き、さらに強大な狂気を生み出す
全て、計画通りだった
「銀仮面卿」
一人の兵士が傍までやって来た
「アンドラゴラスが逃げたと触れ回り、こちらへ向かってきております」
『カーラーンは?』
「ご無事です。後で合流する手筈にございます」
『わかった。では我々も向かおう』
アリアスは外套を翻させ、馬に乗った
『ルシタニアの者どもに弓の準備を』
「はっ」
兵士はそう言い、その場を去った
アリアスも兵を引き、岩肌を進む
ここまでは計画通り
果たしてこれからアンドラゴラスに会い、自分は冷静でいられるだろうか
「銀仮面卿」
『あぁ、あそこか』
目を遠くにやるとそこには矢の雨を受けるパルスの一行が見える
アリアスは手を上げ、弓を止めさせた
アリアスの前には矢を受けた国王アンドラゴラスと大将軍ヴァフリーズのみが生きて立ち尽くしていた
『カーラーンめが、うまくやってくれたわ』
銀仮面から覗く二人の目には驚きが現れていた
『恥知らずにも、部下を見捨てて逃げ出しおったか、アンドラゴラス。貴様のやりそうなことよな』
無敗の王がなんとも無様な姿でアリアスは仮面に空いた穴から冷たい視線を送った
「王よお逃げくだされ!!ここはこの老骨が防ぎます」
矢を身体に受けたまま、ヴァフリーズは剣を抜き、王を守りアリアスの前に馬を立ちはだからせた
アリアスはヴァフリーズに用などなかった
元々、古くからパルスに仕える騎士ではあるがアリアスがまだ王宮にいた頃からヴァフリーズはアンドラゴラス派だったために交流は殆どなかった
ただ、先王である父を裏切り大将軍に就いた、それしか思っていなかった
『敗残の老いぼれが!!出すぎた真似をするな!!』
アリアスは怒声とともに剣を抜き、ヴァフリーズの頭部を突き刺した
老将軍といえど、パルスの大将軍を一撃で沈めた剣技は驚くほど優雅で無駄のない動きだった
これが女の腕から放たれたものだとは戦場にいる誰もが気づかなかった
ヴァフリーズは地上へと落ち、アンドラゴラスは、喪神したような表情で見ていた
「お前は……何者だ…」
身体に刺さる矢を押さえながらアンドラゴラスは振り絞るように聞いた
『…これほどの憎しみを受けながら相手が誰しもかもわからぬほど悪業を重ねてきたか…』
激情に似た感情を抑え、考えているのか悟られぬように言葉を続ける
『十六年……この日が来るのを待ち続けたぞ!アンドラゴラス!』
しかしついに、激情へと解放された言葉は戦場を支配し
長きに渡る歴史変革の幕開けを告げたのだった
~END~
(捕らえたもの)