case#3
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「おかえり、トワ」
『切国…』
トワが監査官長への報告を終え、デスクで報告書をまとめていると山姥切国広が部署に顔を出しに来た
どうやら、山姥切国広も別の仕事を終えて戻ってきたようだ
『ただいま戻りました』
「長かったから戻らないのかと思った」
『あー…今回ちょっと長かった?かも』
トワは今回のようにたまにだが本丸の解体ではなく、審神者だけ据え替えすることにも携わることがあり、次の審神者が決まるまでの代理を行ったりすることが何度かあった
「……そこの俺は大丈夫だったか」
『うん、山伏国広はいなかったけど堀川国広はいたから二人で協力してたよ』
「そうか…兄弟いたのか……」
『だから大丈夫だと思う』
トワはデスクに貼ってある付箋を一つずつ確認しながら答えた
『なに、どうしたの。わたしいない間にまた長義に小言でも言われてたの』
トワはそう言って山姥切国広と向き合う
自分の任務も終わったのに宿舎に戻らないということはそういうことだ
「…………少し」
山姥切国広はそうボソリと言い、ボロボロの布を深く被ってしまった
またか、とトワは心の中でため息をついた
監査課には山姥切国広の本科である山姥切長義がおり、彼は山姥切国広と会う度に小言を言ったりしていた
トワはこの“特秘監査課”がまだ正式に出来る前までは山姥切長義と仕事もしたことがあったため、彼がどういう刀剣男士なのかも知っていた
自信に溢れしっかりと仕事をこなす刀剣男士だと思っていたが、彼には彼のプライドがあり自分の写しである山姥切国広のことはどうやら目の敵にしているようだった
トワが正式発表された特秘監査課でしかも山姥切国広と仕事を共にするようなると、彼の小言の標的は当たり前のようにこの山姥切国広になった
いくら名前の違う部署とはいえ、特秘監査課は監査課内に所属という形になっている訳だから鉢合わせする確率は高い
その度に山姥切長義の口攻撃の標的に山姥切国広はされてしまい、いつもトワや雪翔後ろに隠れていた
トワとしては実力的には大差ないと思っているし、山姥切国広は山姥切国広なんだからそこまで隠れなくても…といつも思っていた
『いつも言ってるでしょう?切国は切国なんだから気にしなくていいって』
「分かっている……けど、俺が、あいつの写しであることは変えられない事実だ…」
『それはそうなのかもしれないけど、』
「また“どうせ写しだし”とか“これだから写しは”とか言われるんだ…」
『切国…』
この山姥切国広は実は今は解体されたとある本丸で虐めを受けていた刀剣男士だった
本来なら彼らを守る立場の審神者も他の刀剣男士と一緒になって迫害していたらしく、本丸の解体の際に事情聴取のために時の政府に引き取られ、そのまま特秘監査課に引き取られ、特秘監査課付きの刀剣男士となった
そういう経歴を持っているせいもあってか元のネガティブに拍車がかかったような性格をしており、トワも時間をかけてゆっくりと向き合ってきて、特秘監査課内では他の人や刀剣男士とも上手く付き合っており、今は雪翔の相棒でもある
二人はどうにかして、本科とも上手く付き合って欲しいと思いながら、日々の業務をこなしていた
『何度も言うけど切国は切国であることも変えられない事実だよ』
トワは器用にデスクチェアの上で丸くなる山姥切国広の肩を引き寄せてポンポン、と叩く
『切国は切国としての物語を作っていけばいいんだよ』
「……分かっている」
『明日からはまた一緒に仕事するこも増えるだろうし、あんまりネガティブ決めないで』
「……精進する」
『約束だよ』
「……あぁ」
山姥切国広がそう言うと、タイミング良く二人の腹の虫が鳴いた
『………食堂いこっか 』
~END~
(相変わらず大きな音だったな)(切国も大差なかったよ)