case#18
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そこは暗い本丸だった
「本当に人がいるのか?」
『うーん……でも若干、人の気配ある』
トワは大包平と共にある日本屋敷の前に立っていた
目の前にある大きな屋敷は山奥にあり、広い敷地の奥に建っていた
屋敷の入口に来るまでの道の両端は恐らく、畑だったのだろう
うっすらと土を盛ったと思われる形跡が残っていたがもう荒地と化していた
「人の気配があるということはこの荒れた屋敷の中で人間が暮らしていると」
『うん』
「刀剣男士は」
『多分、一振かな』
神経を尖らせて屋敷周りを探るが正直いって確信できる自信はなかった
「…刀解した記録がないと聞いているが」
大包平は来る前にこんのすけから聞いた情報を口にする
『審神者の霊力が維持出来なくなったり低下すると刀剣男士は人の姿を保てなくなって本体に戻るって前に話したと思うけど』
「……………そうだったな」
『刀解した記録がないけど人の気配を感じない…つまりそういうことなんだと思う』
二人は目の前の日本屋敷に視線をやる
「突入するか」
『うん、ここで突っ立っても始まらないからね。結界張ります』
トワを囲むように結界を張る
なにかが勝手に出て行ったりすることがあればそれも感知する役割もあふる
「よし、開けるぞ」
大包平は屋敷の入り口である引き戸に手をかけた
しかし引き戸は開かない
『鍵かかってる?』
「そのようだ。斬っていいのか」
『ちょっと待って』
トワは念の為呼び鈴を鳴らしてみた
耳を澄ませて中から音がするか探る
「反応はないな」
『斬ってください』
結局、大包平に引き戸を斬ってもらい中へ一歩踏み込む
明かりがついていない廊下は静かで暗い
人の生活音がまるでしないそこは死んだ家のようだった
『こんのすけ』
〖はい〗
トワは隠れていたこんのすけを呼ぶ
『このまま審神者の探索に入るけど良い?』
〖はい、お願いします〗
『こんのすけは鼻でわたしじゃない人間の気配探れる?』
〖やってみます。審神者だと思われる人物を探せたら鳴いてお知らせします〗
『了解』
こんのすけは先に暗い廊下を進んで行った
トワも式神で明かりを灯して大包平と廊下を進む
『突き当たりが厨……で、』
「その隣りが大広間だったな」
進んで突き当たりの厨を覗く
ここも人の気配はない
『腐敗臭はしない…』
「貯蔵庫に根菜類が少し残っているが芽が出ているぞ」
大包平が先に見た貯蔵庫にはほんの少し根菜類が残っていて、それらから芽が出ていたり若干鼠の被害が見られた
『やっぱり大広間かな…』
トワは厨から白い暖簾の下がってる入口を見据える
おそらくあの先が大広間だ
人の気配はないが大包平は柄に手をかけ念の為構える
『行くよ』
「ああ」
勢いよく白い暖簾を開けて大広間に乗り込む
『……やっぱり』
「う、む……」
二人の目の前に広がる光景は良いものとはいえないものだった
大きな食卓テーブルの周りには鞘に収まった刀剣がいくつも転がっている
大きさは様々で短刀から大太刀まで様々だ
冒頭で話していた通りの光景が目の前に広がっていた
『一振ずつこの本丸の刀帳の記録と照らしていくよ。わたしは他の部屋も見てくる』
「気をつけろよ」
『ん』
大包平に大広間の方を任せてトワは他の部屋を回る
恐らく大広間にない刀は私室として宛てがわれた部屋で同じ形になっているはずだ
トワは廊下を進んで一部屋ずつ見回る
『…………やっぱり』
刀派毎、元の持ち主毎に部屋を割り振られていたようで部屋毎に寄り添うように刀が並んでいた
トワは一振ずつ銘と状態を確認していく
『……………この本丸の長兄は優しかったのね』
粟田口の短刀の部屋の刀たちは並んで布団の上に並べられ上から掛け布団が掛けられていた
恐らく一期一振がやったのだろう
布団の隣りに一期一振と鳴狐の刀が見守るように並んでいた
粟田口の脇差は他の刀派の脇差と仲が良かったのか、別の部屋で脇差組として固まっていた
「やはり刀派毎に部屋にあったな」
大広間と他の刀の方を終えた大包平がやってきた
『ない刀あった?』
「あぁ」
『こんのすけ』
トワはこんのすけを呼んだ
〖はい〗
『審神者の部屋は?』
〖南にある階段を上がった先です〗
『二階ね』
二人は顔を見合わせて進んできた廊下の反対側へ向かう
「…手合わせの道場に俺と鶯丸がいた」
『そう』
「てっきり軒先で茶でも飲みながら本体に戻っていると思っていた」
大包平は歩きながら淡々と話す
『本当は……手合わせの後にお茶をしたかったと思うよ』
「…そうだな」
しかし二人が調べた厨には茶葉の残りも見つけられなかった
ここの本丸に生活に必要なものの気配はまるでない