case#12
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その血は鮮やかに散る
そんなわけはない
政府にある機関の地下で斬首刑は行われた
防音と吸音に特化した部屋に音は響かない
「君、年齢の割には落ち着いているよね」
斬首刑となった審神者の首を落とした髭切は落ち着いた声でトワに言った
最期まで見届けるためにその場にいたトワは目を逸らさずにその一部始終を見ていた
顔色を変えることなく、その光景に吐くこともなく、黙って見つめていたトワは人ではない刀剣男士から見ても変わって見えるのだろうか
『自分が関わった件だもの、最期まで見届けるよ』
「結構酷い絵面になったと思うんだけどなぁ」
『それは髭切が一振りで首を落とさなかったからでしょう』
トワの言葉に髭切はとって付けたような笑みを見せた
『…わざと一振りで終わらせなかったでしょう』
「あれ、ばれたか」
本来の彼の力量なら一振りで落とせた首は今回一振りでは落ちず、辺りはさながら地獄絵図だった
落ちきれなかった首から飛び散る血と、審神者の絶叫が聞こえた
髭切はわざと力を抜いて時間をかけてその首を落としてみせたのだった
「一振りで落とせない方がリアルだっただろう?」
『髭切の名前が泣くじゃない』
「僕は逸話とか興味ないからねぇ」
髭切は愉快そうに笑いながら懐紙で血を綺麗に取っていく
「というか、酷いことをしてきた人なんだから酷い死に方しても誰も文句言わないだろう」
そう話す髭切の口元は少し歪んでいた
「本当はノコギリみたいに切ってやっても良かったんだよねぇ」
血を吸った懐紙が二人の足元に転がった
「そんな不愉快そうな顔しないでよ。本当はあの審神者の刀で生き残したへし切長谷部君に斬らせる予定だったんじゃないのかい?僕はそっちの方が見たかったかな」
『それは…』
そうだ、本来はあのへし切長谷部に斬らせるという話もあったが、それは却下となり同じ監査課の髭切に声がかかったのだった
「まぁ首を落としたからといって吹っ切れるとは限らないしね。それで彼はこの後どうなるんだい?」
『………うちで預かることになった』
「おや、じゃあめでたく特秘監査課の刀剣男士が増えるのかい。良かったねぇ」
結局ここまでの事件となってしまい、へし切長谷部の処遇は刀解か政府勤めの二択しかなく、彼はここで働くことを選んだのだ
当面の間はトワや雪翔の下で働き、そのうち配属を変えるかはまだ未定だった
『頑張ってもらうしかない、かな』
「仕事出来そうだし、“へし切”って名前なんだから、悪党斬るには持ってこいじゃないか」
『そんな早くには前線には出せないよ。一個解決してもやること山積みだ……』
トワの脳内にはもうこれからの仕事のことでいっぱいだった
「頑張るんだよ、トワ」
髭切は血を拭き終えたのか、身なりを整えた
「あぁそうだ…また首を落とすようなときは呼んでね?今度はちゃんと一振りで落としてあげるから」
髭切はトワの頭を撫でてから部屋を後にしたのだった
その手は熱を持っていた
~END~
(熱い鉄)