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『天は赤い河のほとり』について (旧サイトの記事を再掲載)

2024/08/13 00:00

いきなりですが、篠原千絵先生の『天は赤い河のほとり』について語ります。こちらも超有名作品なのに、ごく最近に読みました(遅)

王家のマネをしたとか言われている作品だけど──そうかなあ? 舞台が同時代・同地域、同じタイムスリップもの、現代の少女が古代の王様と結ばれるというだけで、作風は違うし、そこまで似てると思わなかったけどなあ?

感想としては、こちらは完結しているゆえ一気に読めて、読後感もすっきり、とてもおもしろかったでした。
主人公ユーリが短期間で武術の達人になれたり、早くも軍隊を率いて戦場へ出たり、運動神経が抜群すぎる(笑) その適応能力の高さと、物事がユーリに有利に運びすぎるゆえ、現代から古代へタイムスリップした少女に見えにくい。次々と事件が起きておもしろいんだけど、もう少し人物の心理描写が欲しい、などの難点も感じましたが、史実と非現実的要素を上手に取り入れ、長いストーリーをテンポよくまとめた、歴史漫画の名作だと思いました。

ちなみにカイルよりも、わたしはラムセスの方がよかった。気に入ったのは皇妃ナキア&神官ウルヒの極悪コンビでした。

──で、<好み>という観点から話をすれば、わたしは王家の方が好きです(*^-^*)
先に世に発表されて有名になったのは王家だし、どっぷりハマって夢中で読んだ者としては、古代エジプトという単語が出れば、ぱっと浮かぶのは『王家の紋章』、ヒッタイトといえば自動的にイズミルを連想してしまうほど、頭の中が王家に強く影響されてますしね♫

絵はどちらも大好きというわけじゃないけど(両先生ゴメン)、王家はあの独特な古さに味があり、画面に華やかさもある。さらに王家の方が古代世界の雰囲気がよく出ていて、舞台を古代エジプトに設定する必然性があり、主人公が古代と現代を行ったり来たりと二つの世界が描かれているので、タイムスリップものとして、よりおもしろい。

そしてラブシーンに関しても、エロスな場面そのものは天河の方が多いんだけど、さりげないコマでもドキドキして印象深いのは王家の方かな。王家ははっきりした場面を出さないから、妄想をかきたてられる。チラリズムの美学というか、奥ゆかしい色気がありますね。

そして特有のせりふ──時代がかった言い回しもいい。鼻血モノの熱ーい告白、意味深な口説き文句、胸に迫る詩的表現がいっぱい。

さらにこれもわたし個人の好みだけど、王家は読んでいてお姫さま気分になれるから好き♡ 初期のキャロルは、守ってやりたくなる深窓の令嬢らしさと、ひとりでも苦境を切り抜けるおてんば度がほどよくミックスされ、とてもかわいかった。
ユーリは勇ましくてカッコいいけど、さっぱりサバサバしすぎで、あまり女の子らしさを感じない。(というのが魅力なんでしょうけども)

男(になったつもり)の目で見ても、キャロルはか弱い小娘と侮っていたら、いざという時に度肝を抜くようなデカいことをやらかしてくれるので、インパクト絶大、ギャップにイチコロ。古代だったら特に、男の興味を惹きつけると思う。モテモテなのもわからなくはない。ついでにキャロルって無理やり抱きしめてキスしたら反応が色っぽいから、男がますますその気になりやすい(笑)

そしてメンフィスやイズミルはじめ、脇役にいたるまで、キャラにハマってしまうのも王家だな。どのキャラも個性満点で、存在感ある人物ばかり。それぞれ定番のポーズやお決まりのセリフを持ち、作中での役割もわかりやすい。たとえ物語が未完で終わったとしても(汗)、好きキャラがどんなに好みじゃない方向へ変化しようとも(涙)、王家キャラたちが最盛期だった頃にもらった感動は、ずーっとわたしの心に残るだろうと思います♡

……と、本編『王家の紋章』への愛を再確認したところで、リドナの妄想の文章化は続く♫ これからも気長におつき合いいただければ幸いです(^^)


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