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キャロルについて (旧サイトの記事を再掲載)

2024/08/12 00:00

本編のキャロルは元気で明るくて素直で、ホントにかわいい女の子だと思います。裕福な家庭に生まれたゆえ苦労を知らず、家族の愛情たっぷりに育ち、友達と楽しい学園生活を送る幸せな毎日。知識と教養をそなえ、自分の意見をしっかりと持ち、かつ他者への優しさも失わない、最高の女の子。さらに容姿にも恵まれ、いつまでも16歳のまんまトシをとらないし(笑)、超うらやましい~~~! 

けれどその反面、物事のネガの部分にはあまりタッチしない・できないところがありますね。人に対して悪意や敵意や嫌悪や憎しみなんてほぼ持ったことがなさそうだし、嫉妬や支配欲や独占欲や殺意、疑ったり騙したり侮蔑したり、そういった負の感情は彼女には理解できないように見えます。
常に運命に守られていて、災難は最小限で食い止められ、時として知らぬ間に回避され、周囲の人々によってたかって助けてもらい、不幸は必ず通り過ぎてゆく。そんな幸運な境遇に慣れ切ってしまい、いつまでも善意の人のままのキャロル。

けれど何も見ず、知らず、考えず、純真でいるのはたやすいこと。大切なのはいろんな苦しみや悲しみを経験して、なおかつ純真でいることです。だから当サイトのキャロルにはいろんな苦難に遭ってもらうことにしました(笑)

とりあえず最大の災難は古代へ飛ばされてしまったことですが、本編の初期の頃と同様、まずは「もとの世界へ帰りたい」というごく自然な願望を強調してみました。いきなり従来の生存空間から引き離されてしまった戸惑い・違和感・不安・苦悩。それらをキャロルの基本心理に置いています。

そして古代では珍しいとされる容貌と独特に見える言動から、どこで何をしても目立つ異端の存在となってしまった身で、暴君メンフィスに目をつけられ、力づくで純潔を奪われ、奴隷として否応なく支配される辛苦と悲嘆。
そんな望んでもいない凶暴な愛にさらされることにより、アイシスの憎悪をかぶる羽目になる不運。
さらに偶然に目撃してしまった殺人現場。それがイズミルとの接点をもたらし、二国間で戦が起こる原因となり、のちにイズミルとの関係の中で重大な出来事ともなり……

それでもしだいにメンフィスの劇的で猛烈な求愛に心を動かされてゆくキャロルですが、それはまだ自発的な愛ではなく、ほとんど彼の激しさに逆らえず巻き込まれている感が強い。民人から神の娘だと崇められはしても、真の自分を理解してもらっている喜びはなく、現代と異なる価値観を受け入れるのも難しく、自分の居場所がないという思いは深刻で、どうしても居心地の悪さが消えない。だから婚儀前に逃げてしまう。しかし戦国の世において軽はずみなその行動が、さらなる災難を招く。

メンフィスから逃げても、次はイズミルに拉致・監禁され、強制的に肉体的快楽を教え込まれ、容赦なく変化させられてゆく心と体。また戦道具として利用される悔しさ、胸にかたく秘していた真実を見透かされる怖さ、どこへも逃げることのできない絶望感にも苛まれます。そのうえ苦渋の選択としてついた嘘さえ成功せず、戦を引き起こしてしまう結果となり、そんな自分に対して募ってゆく無力感。

また、頼りにしていたルカの、思いもかけなかった本心。本編では永遠にバレる気配がなさそうですが、当サイトでは彼の正体がわかってしまい、この件についてもキャロルに傷ついてもらうことにしました(笑)

とにかく古代に来てから、天使のようなキャロルに間の悪いこと、望んでもいないこと、びっくりするような辛いことが連続で起こります(苦笑)
この世の主役みたいに安全で快適に生きていた現代での暮らしと異なり、古代では明日の命さえ危うく、なにひとつキャロルの思うようになりません。そんな環境に落とされたキャロルが、それでもくじけず、生まれ持った純真さを失わずに生きてゆく姿を描けたらなと思ったのです。

さらにそれまでのキャロルが知っていた愛とは、この世でいちばん大切なもの、生きてゆくために必要不可欠な、しかし恵まれた境遇ゆえにあたりまえのようにそこにあり、いつも周囲になみなみと満ちていて、ただ自分を温かく優しく包み込んでくれる空気みたいなものだったと思います。
けれど古代に来てからメンフィスとイズミルはじめ、アイシスやルカやミラなど、関わりを持った人々によって、愛にはさまざまなかたちがあることをキャロルは知ります。
そしてのちに起こり来る、二人の男の愛に挟まれた狂おしい状況。揺れ動く気持ち。激しい葛藤。

現代にいた時のように世界中が愛情で満ちあふれ、誰のことも大好きで、それだけで幸せだったという、ある意味・曖昧な態度はもはや通用しません。どちらの国を取り、どちらの男を愛するのか。その答えを出すことがすなわち、独りぼっちで迷い込み、呪われているかのように困難ばかりが発生した古代において、キャロルが能動的に生きてゆく意志表示をし、自分で自分の居場所を決めたということになります。

そしてその選択をした時、一方で失ったものを想うこともできる感受性も欲しい。凛として潔い中に並存する繊細さ。深い情熱に溶け込む、澄んだ悲哀。清純な輝きを保つ青い湖水のような……キャロルにはそんな愛を持って生きて欲しいと思います。

だから早く続きを書け!って話ですよね☆
ハイ・がんばりまーすっ(*^o^*)


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