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原作『王家の紋章』について (旧サイトの記事を再掲載)

2024/08/11 00:00

わざわざサイトを開設して二次創作小説を発表しているくらいなので、リドナ=さぞ熱烈な『王家の紋章』ファンだと思われそうですが、白状してしまうと、わたしは現在まったく本編に触れておらず、実はコミックス第38巻までしか読んでいません(^-^;)
キャロルがミノア王国を訪問、そこで出会ったイズミル王子にヒッタイトの船に乗せられ、ちょうど妖女キルケーが登場した場面ですね。わたしの『王家の紋章』本編の把握は、そこで止まっています☆

週刊・月刊の雑誌は見ない、単行本をイッキ読みして、その物語世界にどっぷりひたるというのが、わたしの少女漫画の味わい方でして、この『王家の紋章』もコミックス第1巻~当時の最新刊だった第38巻までを一括購入、そろえたところでイッキに読み進む、というスタイルをとりました。思えば当時すごい出費だった(笑)

もちろんそれまでにも、この超大作の存在は知っていました。主人公キャロルが古代エジプトへタイムスリップするという設定、主要な登場人物たち、だいたいのあらすじなどはつかんでいたものの、書店でも『プリンセス』を手に取る気もなく、この有名大作をきちんと読んだことがなかったのです。

……で、一気に読んでみて、最初はやはり感動しました。時間が経つのも忘れ、ぶっ通しで読みました。
わたしは圧倒的にイズミル王子のファンでした。その頃はまだ頭の中でイズミル×キャロルの妄想を繰り広げているだけでした。

けれど何度か読み返すにつれ、浮かんでくる数々の疑問点、いつまでたっても王子に冷たくて鈍感なままのキャロル、イズミルはじめ各登場人物たちの微妙な印象変化などで、それ以降の物語を追いかける意欲がしだいに薄れてゆきました。そのまま年月が経って、かわりに二次創作小説を書きたい願望が生まれ始めました。

第38巻以降を追う気を失ったのは、ミノア王国でのイズミル王子のやみくもな行動でした。極めつけは揺れる船内でイズミルがキャロルの頬にキスした場面です(第38巻131ページ)
それらの描写が、わたしがイズミルに持っていたいイメージと違ってきた、求めていた憧れ像が崩れたと言いますか、どうも自分の中でしっくり来なくなってしまいました。要するに本編のイズミル王子に幻滅してしまったわけです。

さらに本格的に二次創作小説を作ってしまう要因となったのは、エジプトとヒッタイトの間でミタムン王女の死亡事件が忘れられ放置されていること、その真相を知っていながら黙秘しているキャロルに苦悩や罪悪感が見られないこと、そんなキャロルを問いただすこともなく、ただ盲目的に彼女を追いかけ続けるイズミルの不自然さ、といったところでしょうか。

そしてキャロルが婚儀前にルカとナイル川を下って逃げようとし、途中でメンフィスに見つかって連れ戻されてしまうシーンがコミックス第5巻にありますが、メンフィスが激情のままにルカを殺さなかったことを嬉しく感じつつ、その時のキャロルの『だけどもう逃げ出せなくなってしまったわ』というせりふ(第5巻197ページ)
逃げ出せそうな機会があれば、まだ逃げ出すつもり満々なの?、古代が自分の生きる場所なのだと心底から思えていない、メンフィス王の妃になる覚悟がまだ完全でない、婚儀前なのにいまだ逃亡しようという発想がわく複雑な心理のキャロル。ならもしこの時に逃亡が成功し、イズミルと再会していたら、その後の状況が変わっていたんじゃないかな?という想像が加わりました。

『王家の紋章』という偉大なる作品、初期の頃のミステリアスでロマンチックなムード、壮大なスケールで展開してゆくストーリー、少女漫画の王道を行く数々の魅惑的な設定が大好きです♡ あの感動を甦らせつつ、胸に残った疑問点を解決したり、こうだったらいいなという願望を満たしたり、わたしの中で氾濫する夢想の大河をまとめて整理する意味で、拙作『愛の紋章』を書き始めたのでした。

もちろんこの追いかけるのをやめてしまった本編もいつかちゃんと読み、現在進行中の内容にたどり着きたいと思います。そうしたらまた新たな物語を書きたくなるかも知れませんが、今は当サイトのキャロルが、エジプトかヒッタイト、どちらかの国で、メンフィスかイズミル、どちらかの恋人と、早く落ち着いて暮らせるようにしてやりたいと思います(^-^)


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