SS(呪夢)
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髪を切った。ショートボブくらいにはなっただろうか。
失恋したからとか、何かしらの心機一転とか、そんな明確な目的があったものではない。ただ整えようと思って行った先で、割と長い髪のケアをするのが面倒に感じて切ってもらっただけのこと。
私に対して髪が長いイメージを周りの人間は持っていたようで、皆会った時初めはぎょっとしていた。けれど大抵は「似合ってる」とか「さっぱりしていいじゃん」と好印象で終わっていた。
しかし、五条はどこか様子がおかしい。最初は深刻そうな顔で何があったか問い詰めてきたのだ。何もないと答えても信じてくれそうな気配はなく、誰かに何かされたんだろ、と過保護なコメントをするだけ。
「いや、本当に色々面倒で切っただけだって」
「……マジ?」
「こんなことで嘘なんかつく?」
ようやく理解してくれたらしく、彼の纏っていた雰囲気が少し柔らかくなった——と思えば怒ったような顔になる。そして、なんで切るんだよ、と一言。いや理由言ったじゃん。
「それだけ切るなら言えよ」
「衝動的だったし……。てか、五条に関係ある? 私の髪じゃん」
流石の五条もそれには反論できなかったようで、大きく舌打ちをしてドスドスと足音を立てながら教室を出ていってしまった。それと入れ替わるようにして夏油と硝子が入ってくる。多分やりとりを見ていたのだろう2人は訳知り顔でこちらに近づいてきた。
「五条、変だったでしょ」
「まあ……」
「硝子、あの事話してもいいのかな?」
珍しく歯切れの悪い返事をした硝子と、2人の間でしか分からないような口ぶりでその硝子に話を振る夏油。夏油はともかく、硝子ならばっさり言ってくれそうだったのに。
ひそひそと2人でやりとりをした後、硝子が携帯の画面をこちらに向けてきた。そこには夏油の髪を弄る五条の写真が映っている。
「どういう状況? これ」
「あー……アイツ、最近人にヘアアレンジするのハマって」
「私だけじゃなくてナマエにもしてあげたかったみたいなんだ」
2人の言葉を聞きつつ携帯を操作して写真を遡る。そこそこの量が残っていて、どれも真剣そうな表情で夏油の髪を扱っている写真ばかりだった。遊びではないらしいことが分かる。
「でも私が髪切っちゃったから」
「怒った」
それに納得しかけて、あれ?と首を傾げる。私以外にも髪の長い人はいるはずだ。
「なんで私だけ? 他にもいるよね」
私の言葉を聞くなり、お手上げ、といった顔に2人はなってしまった。そんなところに落ち着いたらしい五条が戻ってきた。2人がいることに驚いた顔をしたが、すぐ元に戻る。怒っていた理由がなんとなく分かった私はとりあえず五条に謝っておくことにした。
「なんかごめんね。五条が人にヘアアレンジするのハマってるって知らなくて。頑張って髪伸ばすよ」
「いや、それは……」
「したかったら知り合い紹介するよ? 夏油も付き合うの大変だろうしさ」
ね、と夏油へ視線を送ると静かに逸らされてしまった。友人といえどしょっちゅう髪を弄られるのも嫌なんじゃないかって思っての提案だったんだけどなあ。
「知り合いはいらねーし。でも髪は伸ばせ」
「分かった。毎日わかめ食べるよ」
五条の大きなため息が教室に響いた。
失恋したからとか、何かしらの心機一転とか、そんな明確な目的があったものではない。ただ整えようと思って行った先で、割と長い髪のケアをするのが面倒に感じて切ってもらっただけのこと。
私に対して髪が長いイメージを周りの人間は持っていたようで、皆会った時初めはぎょっとしていた。けれど大抵は「似合ってる」とか「さっぱりしていいじゃん」と好印象で終わっていた。
しかし、五条はどこか様子がおかしい。最初は深刻そうな顔で何があったか問い詰めてきたのだ。何もないと答えても信じてくれそうな気配はなく、誰かに何かされたんだろ、と過保護なコメントをするだけ。
「いや、本当に色々面倒で切っただけだって」
「……マジ?」
「こんなことで嘘なんかつく?」
ようやく理解してくれたらしく、彼の纏っていた雰囲気が少し柔らかくなった——と思えば怒ったような顔になる。そして、なんで切るんだよ、と一言。いや理由言ったじゃん。
「それだけ切るなら言えよ」
「衝動的だったし……。てか、五条に関係ある? 私の髪じゃん」
流石の五条もそれには反論できなかったようで、大きく舌打ちをしてドスドスと足音を立てながら教室を出ていってしまった。それと入れ替わるようにして夏油と硝子が入ってくる。多分やりとりを見ていたのだろう2人は訳知り顔でこちらに近づいてきた。
「五条、変だったでしょ」
「まあ……」
「硝子、あの事話してもいいのかな?」
珍しく歯切れの悪い返事をした硝子と、2人の間でしか分からないような口ぶりでその硝子に話を振る夏油。夏油はともかく、硝子ならばっさり言ってくれそうだったのに。
ひそひそと2人でやりとりをした後、硝子が携帯の画面をこちらに向けてきた。そこには夏油の髪を弄る五条の写真が映っている。
「どういう状況? これ」
「あー……アイツ、最近人にヘアアレンジするのハマって」
「私だけじゃなくてナマエにもしてあげたかったみたいなんだ」
2人の言葉を聞きつつ携帯を操作して写真を遡る。そこそこの量が残っていて、どれも真剣そうな表情で夏油の髪を扱っている写真ばかりだった。遊びではないらしいことが分かる。
「でも私が髪切っちゃったから」
「怒った」
それに納得しかけて、あれ?と首を傾げる。私以外にも髪の長い人はいるはずだ。
「なんで私だけ? 他にもいるよね」
私の言葉を聞くなり、お手上げ、といった顔に2人はなってしまった。そんなところに落ち着いたらしい五条が戻ってきた。2人がいることに驚いた顔をしたが、すぐ元に戻る。怒っていた理由がなんとなく分かった私はとりあえず五条に謝っておくことにした。
「なんかごめんね。五条が人にヘアアレンジするのハマってるって知らなくて。頑張って髪伸ばすよ」
「いや、それは……」
「したかったら知り合い紹介するよ? 夏油も付き合うの大変だろうしさ」
ね、と夏油へ視線を送ると静かに逸らされてしまった。友人といえどしょっちゅう髪を弄られるのも嫌なんじゃないかって思っての提案だったんだけどなあ。
「知り合いはいらねーし。でも髪は伸ばせ」
「分かった。毎日わかめ食べるよ」
五条の大きなため息が教室に響いた。